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4576090224いつでも君の傍にいる
安曇ひかる/桜井りょう
二見書房
シャレード文庫 2009-02-23

by G-Tools

小児科医・望月智は親子ほども歳の離れた小児科部長・西倉と一年以上もの間、歪んだ愛人関係を続けていた。己の心の深い淵を覗き込むことが怖くて、目を逸らす日々。
ところが、赴任してきたばかりの救命救急医・富樫朔矢に関係を知られてしまう。智のことを「天女」とからかう変態と思いきや、救命医としてのプライドを失わない清冽さ。その前では厳重にしまい込んだはずの素顔も隠しきれず・・・。
そんな時、西倉との密会現場に富樫が現れる。
抗う智の心を身体ごと、富樫は誰に構うことなく奪い去るが――。
富樫朔矢(とがしさくや・34歳)×望月智(もちづきとも・27歳)
同じ病院の、救命医×小児科医

「いつでも君の傍にいる」(シャレード新人賞期待賞受賞投稿作、その後電子書店より配信)
「なぜなら君のものだから」(書き下ろし)

ご本人のHPを拝見したら、花丸文庫「フラチな関係」で商業誌デビュー、こちらが二冊目の新人さんのようです。
しかし、投稿歴は結構豊富。
なかなかトップ受賞とはいかなかったようですが、本作も人気投票で電子書店から配信→書籍化となったという経緯は興味を引かれます。
残念ながら「フラチな関係」は拝見していませんのでなんとも言えませんが、ずいぶんトンチキだった模様?
しかしこちらは暗くなりそうな設定を時にギャグ混じりに安心路線に引き上げた(?)読みやすい一作。

小児科医の智は、同じ小児科の部長、西倉と身体を持っている。
BLではよくある話だけど、十年前、口げんかをしたまま別れたあと、事故に遭い植物状態のままになってしまった父の面影を、父に似た西倉に重ねているようなところがあるため、本人は「こんなことはいけない」と思ってはいるが無理矢理というだけでもない。
そして部長も家庭不和の寂しさを智で癒そうとしていて、お互い寂しさや哀しみや後悔を間違った愛情や執着に転化しちゃってる人たちだ。

十年経った今も父は別の病院で昏睡のままで、自分のしたことを後悔し続けている智だが、ある晩、父の好きだったバーでひとり飲んでいた智にしつこく話しかけてきた男・富樫に救われることになる。出逢いはしつこい富樫に智が回し蹴りを食らわしてしまうというものだけど。
この偶然出会ったしつこい男は自分の病院に新しく赴任していた救命医だったわけだが、この富樫は10年前父の事故の際、研修医で治療に加わっていたという偶然の過去もある。
彼との出会いによって、過去から立ち直り自分を取り戻していくというお話。

両親と喧嘩をして家を飛び出したあと、父が事故に遭い、ひっくり返ってしまった日常に母ともどう接していいかわからず大学進学以来、家とは疎遠に。行き場のない後悔と贖罪の気持ちや父への思慕を上司に重ねて不毛な関係を続けている・・・と書き方によってはかなり暗くなりそうな設定なのですが、先に書いたように富樫と智のやりとりなどはかなりギャグ混じりでテンポいい言い合いが続くため、意外に笑ってしまう場面が多いです。智の重そうな背景にちょっと構えても、“ソーセージ”論争と、シンクに熱いお湯を流したとき「バン」と鳴るあの音にこだわる富樫にチカラが抜けた。
笑えるけど軽すぎず、かといってシリアスも重すぎず「暗すぎないタッチで描きたい」という本人の目標は達されていると思います。
「フラチな関係」はかなりぶっとんだ設定だったらしいですが、読んでないからわからないけど、これを読んだ限りではこの人はラブコメディも面白そうだ。
安曇さんのサイトには小説もいろいろUPされているので、本当ならチェックしてから書けばいいんですけど、今は体力的にそこまでの元気がないのでご容赦ください。

智は、周囲には優しいのに好きな人にはツンツンしてる人。
こういう人いますよね(笑)。
コメント
この記事へのコメント
こんにちは、mimuさん。

こちらにも、失礼します。

安曇さん、HPがあるのですね。早速、チェックしてみますvv

そうそう、このお話、暗いほうに転んでもおかしくないのに、攻めの男くさいというか、ある意味ガサツな言動で笑いのツボもちゃんと踏んでいました。
特にシンクのパンには、笑ってしまいました。こういう「あるある」ネタを持ってきて日常性を感じさせるとこ、この作家さん、上手いと思いました。

トンチキ本、ちょっと気になります(笑)
2009/03/10(火) 15:39 | URL | 桃 #-[ 編集]
>桃さん
こちらにもありがとうございますv

これ、結構笑えましたよね?(笑)
話からすればコメディではないんだろうけど、受がいろいろ背負ってるわりには面白い男だった(笑)

ウインナーは確かに茹でた方が添加物とか塩分が落ちるので子供が小さかった頃には茹でていたこともあり、しかし私は焼いた方が旨いと思うので、この論争は現実感ありました(笑)
トンチキ本は、内容は知らないんですがどんなもんなのでしょうね?
ライトコメディとかお上手じゃないかと思うんですが。

安曇さんのHPはお名前で検索すると簡単に出てきましたよ。
そっちまでチェックする気力がありませんでしたが、他の作品もちょっと読んでみたいな、とは思ってます。
2009/03/10(火) 17:18 | URL | mimu #-[ 編集]
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