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4862636721恋愛・教師―Color of Snow
西江彩夏/麻生 海
リブレ出版
ビーボーイノベルズ 2009-10

by G-Tools

「好きになれなんて言わない。だからあと少しだけ、今だけ、側にいたい」
雪が降る夜、佐々井は恋人に振られて混乱する年下の同僚・井瀬崎に抱きしめられていた。
井瀬崎は、普段は温和で優しいが、同性の恋人の存在を知る佐々井を避け続ける片想いの相手。
嫌っているくせに、佐々井は必死に縋る腕の強さに拒むことができない。
彼に触れてもらえる嬉しさと罪悪感を素直になれない態度に隠したまま、佐々井は体を重ねてしまうが――。
井瀬崎周(いせざきしゅう・25歳)×佐々井直人(ささいなおと・28歳)
理科教師×数学教師

「恋愛・教師~Color of Snow~」(雑誌掲載)
「One Side,Narration」(書き下ろし)

前作が大変面白かった西江さん。
真っ直ぐで誠実なあまり口が悪く誤解されやすい、不器用な意地っ張り受けと、ドロドロした恋愛に疲弊し、佐々井に惹かれているのに心の奥に消えない紙魚のように元恋人の存在を抱えている攻め。

二人ともとっても恋愛が上手くない人たちという感じ。
そういう点は前作とも共通しているかもしれない。
お互い教師同士ではあるが、展開は「教師」であることにそれほど拘っているわけではなく、むしろ恋愛における心の奥を掘り下げるような内容なので「恋愛が上手くない」と言ってしまうけど、もっと広い意味でも自分の感情を上手く表現したり逃がしたり抑えたりすることが下手・・・という印象。
つまりはそういう「気持ちの部分」を深く追求したお話ということでしょうか。
タイトルにするほど「教師」である必要はなかったかもしれない。

雑誌掲載分の、佐々井の、「井瀬崎が好き。だけど素直に表現できないからついからかったり意地悪してしまう。相手はすごく迷惑そう。きっと嫌われてる。だけど本当はこっちを見て欲しい」という言動が、身につまされる。
実は私も若い頃はどちらかというとこういうタイプだ(笑)
今はこれじゃ逆効果だってわかるけど(^^ゞ

井瀬崎が恋人と別れて混乱する場に居合わせてしまいなりゆきで体を重ねてしまうけれど、井瀬崎の気持ちはこちらにはない。
それがわかっていても、井瀬崎との関係を切りたくない。
そこでまた強がってしまう佐々井はどこまでも意地っ張りで不器用。

そんな温度差のある恋愛から、少しずつ心の距離が近づいていきます。
それでも元恋人の影が消えないから、それがずっと後を引く。
書き下ろしはそんな風に始まってから更に数年経ち二人とも30代になっていますが、同棲して落ち着いたカップルであるのに、未だその問題は根を残したまま。

別に元恋人が実際に舞い戻ってくるわけでもないので、普通そんなに気にしなくても良さそうだと思うけど、井瀬崎の恋はちょっと普通の恋ではなかったし、恋人としてでななくても多分ずっと顔を合わせることのある関係の相手なのでちょっと厄介かもしれません。

綺麗だと思っている壁に、良く見るとうっすらとシミがある。
一旦気がついたらそこだけが気になってしょうがない・・・みたいな感じかな?
普段は見ないふりをしているけれど、気がつくとそこを見つめてる。

心や視線はお互いを向いているのに、足元にちょっと溝がある。
そんな感じが切ないですね。
ぶきっちょな人の心理をつくのがお上手だなと思います。
コメント
この記事へのコメント
こんにちは、minuさん。

mimuさんのコメントを読んで、あれ?と思いました。

・・・私は自分の感想に「伊瀬崎」を「伊勢崎」と書いていたんですね(汗)。思い込みって恐ろしいです。今更、訂正もおかしいし・・・焦りました。

相変わらず、西江さんは上手いですよね。
お話は教師である必要性は殆どなかったですが、煮詰まった焦燥感はすごく感じました。

他の新刊に横断歩道を渡った直後の二人のお話のSSペーパーが入ってましたね。なんか、伊瀬崎って極端な奴かも(笑)

TBできるようになったんですね。頂いて帰りますvv
2009/10/24(土) 16:47 | URL | 桃 #-[ 編集]
>桃さん
こんにちは、桃さん。

他所様のブログをはしごしていて、私も「?」と思って確かめました。
『井瀬崎』ですよね。
しかし『伊勢崎』と書かれていた方は他にもいらっしゃいましたよ。
“いせざき”と言ったら“伊勢崎町”を思い出しますもん、やっぱり(笑)
PCも“伊勢崎”ってしか出ないし。

それはともかく、西江さんは不器用な人の心の揺れ方を書くのがお上手ですね。
今後も注目の作家さんですね。
そうそう、ペーパー!
一緒に買った他の本に入ってた!
忘れてました(笑)
取り出して読もう・・・。

TB、告知もせずにこっそり再開しましたが気づいて下さってありがとうございますv
またどうぞよろしくお願いします~!
2009/10/24(土) 19:44 | URL | mimu #-[ 編集]
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