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烈火の契り
秀 香穂里著 / 彩イラスト
徳間書店
キャラ文庫(2007.6)


思い出が眠る島を守りたい!!
リゾート開発の視察で離島を訪れた斎たち一行。案内人は褐色の肌をした島の青年・高良――18年前、この島で夏を共にした相手だ。
しかも高良は「おまえは俺のつがいなんだ」と謎の言葉を告げ、斎を無理矢理抱いてきた!!拒みながらも高良の愛撫に囚われていく斎…。
けれど突然、チームの一人が謎の死を遂げ!?
高良光司(たからこうじ・28歳)×大里斎(おおさといつき・28歳)

離島モノ、ミステリー仕立て。
いつもの働く男たち系とは違いますね。
でも『島』舞台のBLも大好きですし、ミステリアスな雰囲気もいい感じです。

10歳のとき、斎は父とともに沖縄本島から船で三十分ほどにある神喜島(かみきじま)で夏の一週間を過ごしました。その時、泊めてもらった家にいたのが同い年の光司。
二人は忘れられない夏を過ごします。

18年後、不動産会社に勤務する斎は、神喜島のリゾート開発に関する調査のため、再び島を訪れます。5人のチームの中で、島の開発に一人反対している斎。
斎は自然の美しさ素晴らしさをチームに認識してもらい、全島開発を何とか阻止したいと考えていました。

島は、現在では無人島となり、住んでいた島民たちはみな沖縄本島へと移住しています。誰も住まなくなり、自然の氾濫する島の案内をしてくれるのが、18年ぶりに再会した光司でした。
最初はそっけない光司でしたが、斎と二人きりになると、光司は斎に突然口付けてきます。
「おまえは俺のつがいなんだ」と言う光司に、戸惑う斎。

そんな中、自分たち以外には人もいない離島に訪れた5人のチームは最初からギスギスした雰囲気なのですが、一日中顔を合わせるうちにどんどんと険悪になっていきます。限られた範囲での、時間に区切りのない団体行動では性格が出ますからね。協調性がないとか自分勝手なやつがいると覿面に乱れてきます。
そして中でも一番問題発言と行動を繰り返していた男が、突然亡くなってしまいます。病死か殺人か。それまでの経緯から、病死は考えにくく、男を殺す動機は誰もが持っている。
疑心暗鬼に陥っていく面々。

同時に光司と斎は少しずつ距離を近づけていきます。
1週間だけ一緒にいて、その後18年間会ってないというと、あまりに長い時間だと思いますが、どんなに離れていても決まっていた運命か?と思わせます。

島に伝わる伝説とその伝え手、というミステリアスに殺人事件を絡め、雰囲気は仄暗く、冒頭の抜けるようなどこまでも続く青い夏の空と白い砂浜のシーンとは対照的。冒頭だけ、青、白、赤(血の色)と色がはっきりしているんですが、その後は対照的に色のないモノクロな感じがします。
古くからの因習や伝説に感じる畏怖の念に、BL的なエロさも加味されると、とても淫靡。

惜しいのは、疑心暗鬼に陥った人たちが精神的に追いつめられていく過程がじっくり書かれていないこと。ちょっと早い。ここをゆっくり盛り上げると、恐怖がじわじわ沁みてきてミステリーらしくなるんですけど・・・ってこれ、ミステリーじゃありませんでした。BLでした。
18年前に会ったときから、斎が自分のつがいだとわかっていたと言う光司ですが、光司が伝え手になることになったのは、それよりずっとあと。ここで言われる「つがい」の意味を考えると、光司の決めセリフは疑問。

細かいところはともかく、なかなか面白かったです。
陰影ある個性的なイラストはそれだけでもとても素敵ですが、お話にも非常によく合っていると思いました。
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