
凪良ゆう/街子マドカ
白泉社
花丸文庫 2009-2-25
華族の流れを汲む企業グループ、佐治家の末っ子、花時雨は、蝶よ花よと育てられたまさに深窓の“お姫さま”。祖父の命を受け、ご先祖さまの主筋となる下町の定食屋の危機を救うために、住み込みで手伝いに入る。
とはいえしょせんはお姫さま育ち。慣れない仕事に失敗ばかりしてしまう。
さらに若主人の上月一心を好きになってしまい……。
お姫さまの初恋。だが一心には秘めた想い人(男)が!?
とはいえしょせんはお姫さま育ち。慣れない仕事に失敗ばかりしてしまう。
さらに若主人の上月一心を好きになってしまい……。
お姫さまの初恋。だが一心には秘めた想い人(男)が!?
上月一心(こうづきいっしん・26歳)×佐治花時雨(さじはなしぐれ・20~21歳くらい)
下町の定食屋主人×大企業グループの三男・大学生
花時雨(はなしぐれ)は、銀行、不動産、重工業など幅広い分野で業績をあげる大企業の三男。
佐治家は、江戸時代より中国地方の藩主・上月家を主家として、明治維新の際には殿とともに京まで馳せ参じ、その後、勲功を認められ上月家は子爵、佐治家は男爵の称号を賜ったという名家。
その後、金融業に乗り出した男爵はめきめきと業績をあげ、不動産業にも手を広げるなど大成功を収めるが、反して主家の上月家は衰退の一途を辿る。
しかし、忠心を忘れない男爵は主の行方を捜すのだが、ついに目的を果たすことができずに終わる。
それ以来、佐治家では男爵の遺志を継ぎ、上月の末裔を探し出すことを悲願としている・・・のだが、現実には熱心なのは祖父のみ。
ようやく上月家の最後の直系男子・一心を捜し出し下町の小さな定食屋を経営する一心に援助を申し出るが「そんな話は知らん」とにべなく断られてしまう。
それなら・・・と身を以ってお仕えするため長男に出仕を打診するが、「忙しいのに馬鹿馬鹿しいことで呼び出すな」と断られ、次男も同じく。
そこで、花時雨にお鉢が回ってくることになる。
元は華族で、広大なお屋敷に住み年の離れた兄たちや両親に溺愛され、物心ついたときからのお付役の真田(さなだ)から常に守られ、上げ膳据え膳、文字通り横の物を縦にしたこともないであろう深窓のお坊ちゃま・花時雨。
その容姿は可憐で美しく、まさに佐治家の「姫」。
そんな姫が下町の定食屋に住み込み、店を手伝うというのだから、どうなるかはおして知るべし。店を訪れた初っ端から世間ズレしたところを見せ、スットコドッコイなその言動で笑いを誘います。
凪良さんの四冊目の本ということですが、この方は注目株ですね。
四冊のうち三冊はコメディ風ですが、残る一冊はストーカーを扱った問題作。
シリアスは1冊のみなのでまだなんとも言えませんが(私はわりと好きだった)、コメディはお上手だと思います。
軽々しいドタバタではなく、軽妙なユーモアある文章や間がとても楽しい。
そして楽しいだけでなく、切なさもバッチリおさえられてました。
ハナの浮世離れした可笑しさがとても楽しく可愛らしいのですが、物語が進むと、ハナは実は登場人物の中で一番しっかりしていて常識人で心根の強い真っ直ぐな男の子だという印象でした。かなり赤ペンが入ったようで、そのせいか随分「マトモ」な考え方の人になっています。
攻の一心は、下町の定食屋主人ということもあり、最初は気風が良く男らしそうなんですが・・・こいつはどっちかというとダメなヘタレですね。
ちなみに一心は「ブサイク好き」。
定食屋で一緒に働く、一心の後輩が今回「当て馬」なのですが、彼の学生時代の渾名は「フナ」。顔が魚だから。ハナの第一印象は「ウーパールーパー」で、しかし性格が大変良く、優しくニコニコしているので、ハナからは「オカメ」と呼ばれてしまいます・・・(笑)
オカメへの一心の片想いにしても、ハナへの対応にしても、一心はちょっとイカンと思いましたよ。
しかし楽しませていただきました。
次が楽しみな作家さんですね。
下町の定食屋主人×大企業グループの三男・大学生
花時雨(はなしぐれ)は、銀行、不動産、重工業など幅広い分野で業績をあげる大企業の三男。
佐治家は、江戸時代より中国地方の藩主・上月家を主家として、明治維新の際には殿とともに京まで馳せ参じ、その後、勲功を認められ上月家は子爵、佐治家は男爵の称号を賜ったという名家。
その後、金融業に乗り出した男爵はめきめきと業績をあげ、不動産業にも手を広げるなど大成功を収めるが、反して主家の上月家は衰退の一途を辿る。
しかし、忠心を忘れない男爵は主の行方を捜すのだが、ついに目的を果たすことができずに終わる。
それ以来、佐治家では男爵の遺志を継ぎ、上月の末裔を探し出すことを悲願としている・・・のだが、現実には熱心なのは祖父のみ。
ようやく上月家の最後の直系男子・一心を捜し出し下町の小さな定食屋を経営する一心に援助を申し出るが「そんな話は知らん」とにべなく断られてしまう。
それなら・・・と身を以ってお仕えするため長男に出仕を打診するが、「忙しいのに馬鹿馬鹿しいことで呼び出すな」と断られ、次男も同じく。
そこで、花時雨にお鉢が回ってくることになる。
元は華族で、広大なお屋敷に住み年の離れた兄たちや両親に溺愛され、物心ついたときからのお付役の真田(さなだ)から常に守られ、上げ膳据え膳、文字通り横の物を縦にしたこともないであろう深窓のお坊ちゃま・花時雨。
その容姿は可憐で美しく、まさに佐治家の「姫」。
そんな姫が下町の定食屋に住み込み、店を手伝うというのだから、どうなるかはおして知るべし。店を訪れた初っ端から世間ズレしたところを見せ、スットコドッコイなその言動で笑いを誘います。
凪良さんの四冊目の本ということですが、この方は注目株ですね。
四冊のうち三冊はコメディ風ですが、残る一冊はストーカーを扱った問題作。
シリアスは1冊のみなのでまだなんとも言えませんが(私はわりと好きだった)、コメディはお上手だと思います。
軽々しいドタバタではなく、軽妙なユーモアある文章や間がとても楽しい。
そして楽しいだけでなく、切なさもバッチリおさえられてました。
ハナの浮世離れした可笑しさがとても楽しく可愛らしいのですが、物語が進むと、ハナは実は登場人物の中で一番しっかりしていて常識人で心根の強い真っ直ぐな男の子だという印象でした。かなり赤ペンが入ったようで、そのせいか随分「マトモ」な考え方の人になっています。
攻の一心は、下町の定食屋主人ということもあり、最初は気風が良く男らしそうなんですが・・・こいつはどっちかというとダメなヘタレですね。
ちなみに一心は「ブサイク好き」。
定食屋で一緒に働く、一心の後輩が今回「当て馬」なのですが、彼の学生時代の渾名は「フナ」。顔が魚だから。ハナの第一印象は「ウーパールーパー」で、しかし性格が大変良く、優しくニコニコしているので、ハナからは「オカメ」と呼ばれてしまいます・・・(笑)
オカメへの一心の片想いにしても、ハナへの対応にしても、一心はちょっとイカンと思いましたよ。
しかし楽しませていただきました。
次が楽しみな作家さんですね。
この記事へのコメント
>この方は注目株ですね
私もすごく期待しています。
この本も発売日に即買いしました。
ユーモアのセンスもいいし、コメディとドロドロの両極端の作品を書けるところも、幅の広さを感じさせます。次回作はシリアス系みたいですね。
私もすごく期待しています。
この本も発売日に即買いしました。
ユーモアのセンスもいいし、コメディとドロドロの両極端の作品を書けるところも、幅の広さを感じさせます。次回作はシリアス系みたいですね。
最初に読んだのがシリアスの方でしたが、光るものを感じました。
次にコメディを読んだら、笑いのセンスもいい。
この極端を書き分けられるんですから、次への期待は大きくなりますよね。
次回はシリアスですか。
どんな話なのか・・・すごく楽しみです!
次にコメディを読んだら、笑いのセンスもいい。
この極端を書き分けられるんですから、次への期待は大きくなりますよね。
次回はシリアスですか。
どんな話なのか・・・すごく楽しみです!
2009/02/23(月) 07:36 | URL | mimu #-[ 編集]