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セックスフレンド
菱沢 九月著 / 水名瀬雅良イラスト
徳間書店
キャラ文庫(2007.2)


家賃は身体で返すから、居候させて?
――大学二年の史紀の部屋に転がりこんできたのは、甘い顔立ちで女性に人気の雑誌モデル・鷹巣。突然の居候に戸惑う史紀を、鷹巣は無理矢理抱きしめてきた!!
鷹巣の意外なごど優しい愛撫…。その真意がわからないまま、史紀は鷹巣の熱に囚われていくが!?
鷹巣広青(たかすこうせい・19歳)×見崎史紀(みさきふみのり・19歳)

「セックスフレンド」雑誌掲載
「ベッド・イン・ヘブン」書き下ろしの二編。

大学二年生の史紀は、バーでアルバイトをしています。そこへ、やはり同じ大学の同学年で、モデルとしても活躍している鷹巣が女性連れでやってきます。
そしてなんと、鷹巣は史紀の目の前で女性に酒をかけられ、フラれてしまうのです。
びしょ濡れになった鷹巣を成り行きで自分の家に連れ帰ることになった史紀。服を乾かす間、一晩だけ泊めてやるつもりだったんですが、その日から鷹巣は部屋に居ついてしまいます。

鷹巣にベッドを貸し、自分は床で寝ると、翌日には部屋には大きすぎるベッドが持ち込まれてしまいます。部屋を出ていくときに、お礼として置いていくと言われますが、部屋にふさわしくない、そんな大きなベッドはいりません。
そう答えると、それでは…と身体でお礼をされてしまうんですね。
最後まではされませんが、毎晩のように、鷹巣にいいようにされてしまう史紀。

史紀は、なんというか、感情が薄いというんでしょうか、感情の温度が非常に低くて、自分にも周りにもあまり興味を示さないように見えます。菱沢さんはあとがきで「情緒未発達なイキモノ」と書いておられます。
そんな人なので、鷹巣が居座ってしまうことも「ん?」と思いつつ許してしまうし、毎晩鷹巣に仕掛けられる愛撫も、深く考えることなく受け入れてしまっています。
まるで同棲でもしているような二人なんですが、しかしバイト先の店長につきあってほしいと言われると、それも拒まない。

反応も感情も薄いんですよね。何かトラウマとか、辛い過去があって感情をわざと抑えているのかな?とも思ったんですが、もともとの性格みたいです。
ただ、高校時代先輩に向かってキレたというエピソードとの繋がりが見えなくて、ちょっと考え込んでしまいましたがね。

鷹巣は最初は軽い男のイメージでしたが、お話が進むとそうでもないということがわかりました。モデルをするくらいですから容姿も良く、まわりにチヤホヤされることに慣れていて、恋愛も軽く楽しんできたようなので、そんな感じがしたのかもしれないですね。
そんな手馴れた鷹巣も、初めはちょっとした遊びのつもりでしたが、史紀の反応のなさにムキになり、やがて夢中になってしまうんですね。
史紀本人は全然そんな気はないんですが、この「薄い」感じが、周りの男を惹き付けてしまうようです。

何の罪悪感もなく、夜は鷹巣に抱かれ、店長に誘われればついていってしまう。
やがて、店長に対する気持ちと鷹巣に対する気持ちの違いに気づいて、やっと鷹巣への想いを自覚するのです。
そして、恋人同士になる二人。

書き下ろしは、今まで恋などしたことのなかった史紀が、恋につきものの嫉妬や、執着といった気持ちを知り、初めてのことに翻弄されます。

まだ自分の気持ちにも人の気持ちにも、名前をつけて自覚できるほどには発達していないので、鷹巣の苛立つ様子を、感覚で「いつもとなにか違う」と感じているところが、面白いです。
鷹巣も、ちゃんと一人と向き合う恋愛をしてこなかったので、やはり同じように、恋につきものの苦しい感情に戸惑っています。
そうやって二人が少しずつ、普通に、大人になっていくお話。

あまり感情移入して共感できるタイプの受けではないんですが、気持ちの変化は丁寧に書かれていたと思います。特に大きな事件が起きるということはなく、どちらかというと淡々とした雰囲気でした。
恋とかセックスとか、そういうものに感じる内面に焦点を当てたようで、淡々としてるのに、ジリジリした熱を感じました。「淡々と地味なお話…」と菱沢さんは仰っていますが、雰囲気は“地味”にも思えるけれど、実はそうでもない…ような気もします。

史紀のようなタイプは、好き嫌いあるんじゃないかなぁ。
私はそれほど嫌いではなかったですが、無自覚の誘い受けっぽくて、すごく罪な男、という感じがしました。
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