
杉原理生/三池ろむこ
幻冬舎
ルチル文庫 2009-3-20
真野は、親友の栗田に紹介された高東のことが自分でも不思議なほど苦手だった。奇妙なバランスのまま、仲のいい友人として高校生活を送る三人。
その後、他県に進学した栗田とは次第に疎遠になり、同じ大学の真野と高東は距離を縮めていく。
ふたりは互いの気持ちに気づくが、高東は時折見せる態度とは裏腹に、何故か真野と一線を越えるのを拒んでいるようで・・・。
その後、他県に進学した栗田とは次第に疎遠になり、同じ大学の真野と高東は距離を縮めていく。
ふたりは互いの気持ちに気づくが、高東は時折見せる態度とは裏腹に、何故か真野と一線を越えるのを拒んでいるようで・・・。
高東成道(たかとうなるみち)×真野裕紀(まのゆうき)
同い年。
高校二年生~大学二年生の期間を追ったお話です。
真野と栗田(くりた)は同じ中学の顔見知りで、進学で高校に進んだのをきっかけに親友となる。そして高二になって高東が二人と同じ高校に編入。高東と栗田が同じ小学校で顔見知りだったことから三人がつるむようになる。
「三人」という人数が微妙で、誰かが疎外感を感じ仲間ハズレにされたような気になったり自分の知らないことを後の二人だけが知って秘密にしているのではと疑心暗鬼になったりするのは、女子だけでなく男子でも同じなのでしょうか。
真野は、栗田と自分との間に入り込んできた高東がなんとなく苦手で、自分の知らない小学校時代の思い出を栗田と高東が楽しそうに話しているのを見ると、余計にそう感じてつい高東に無愛想に接してしまう。
しかし高東は真野とも仲良くなりたいらしく、そんな微妙な二人の間を栗田の存在が緩和していて、三人は時折微妙な空気になりながらも表立って諍うことなく共にいる。
実は決して表には出てこないけれど、栗田は真野が好きで、高東もそれに気づいている。そしてそれを知りながら高東も真野を好きになってしまっているのだ。さらに栗田も高東が真野を好きなことに気づいている。
ところが二人は真野にはもちろん、お互いにも口に出してそのことは何も言わない。
栗田は真野との友人関係が壊れることも男同士の恋愛に踏み込むことにも躊躇があり、高東は栗田の気持ちを知っていたのに好きになってしまった負い目があって、自分は一歩引き、口には出さなくてもさりげなく栗田の背中を押すようなことを言ったりしたりする。
そんな栗田と高東の想いを知らない真野は、しかし栗田と高東の間にある「何が起きてるのかよくわからない感じ」に、また疎外感を覚えたりする。
それでも三人が「友人」というお互いの立場を大切に思っていて、水面下ではいろんな想いが渦巻いているはずなのに、表面上は何か起きそうで起きない日々が延々と続くことになる。
ところが、栗田が大学を他の二人とは別の離れた場所に決め、二人から遠ざかったことで高東と真野の関係にも変化が起きる。
しかしそれもいきなりではなくて、二人になってもまだ「何かあるのに何も起きない」日々はしばらく続く。
高東は離れていった栗田に「抜け駆けはできない」と思っているし、真野は実は高校時代の高東への苦手意識は、別の意味で意識して惹かれていたからだとなかなか気づけないからだ。
しかしようやく気持ちが通じ合い、高東と真野は栗田と一端ちゃんと話をしようとするのだが、その矢先、栗田は・・・・。
ああ、長々説明しすぎてしまった。
つまり、好きなのに何にも表に出てこない日々がとにかく長く続きにっちもさっちも変化しない話なのだが、そんな中で視線や空気だけで伝わる想いや、友情の暖かさや優しさとかがジンワリと漂う、非常に静かで丁寧な物語でありました。
「攻」位置にいるはずの高東と栗田が、なんせ受に対して何も行動しないでいる「攻」なもんで何も起きるわけないですね(笑)。二人に想われてる受は何にも気づいてないし。
気づいてないけど「なんかある」とは感じてグルグルしてるわけで、読んでるほうは焦れる。
でも、読み飛ばすにはちょっと向かないけど、じっくり時間をかけて読むと優しさとか哀しさとか寂しさがジンワリ沁みてくると思います。
これは、ハッピーエンドになっても、スキッと明るい感じではないんだよね。
「桜」が一貫してイメージアイテムとなっているのですが、桜って、散り始めの雪のような桜吹雪がすごく綺麗で幸せな気持ちになるけど、散ってしまう哀しさも同時にあるじゃないですか。
真野や高東が桜吹雪の中で、思い出や友人を思い返すように、幸せで、でもどことなく愁いある読後感でありました。
同い年。
高校二年生~大学二年生の期間を追ったお話です。
真野と栗田(くりた)は同じ中学の顔見知りで、進学で高校に進んだのをきっかけに親友となる。そして高二になって高東が二人と同じ高校に編入。高東と栗田が同じ小学校で顔見知りだったことから三人がつるむようになる。
「三人」という人数が微妙で、誰かが疎外感を感じ仲間ハズレにされたような気になったり自分の知らないことを後の二人だけが知って秘密にしているのではと疑心暗鬼になったりするのは、女子だけでなく男子でも同じなのでしょうか。
真野は、栗田と自分との間に入り込んできた高東がなんとなく苦手で、自分の知らない小学校時代の思い出を栗田と高東が楽しそうに話しているのを見ると、余計にそう感じてつい高東に無愛想に接してしまう。
しかし高東は真野とも仲良くなりたいらしく、そんな微妙な二人の間を栗田の存在が緩和していて、三人は時折微妙な空気になりながらも表立って諍うことなく共にいる。
実は決して表には出てこないけれど、栗田は真野が好きで、高東もそれに気づいている。そしてそれを知りながら高東も真野を好きになってしまっているのだ。さらに栗田も高東が真野を好きなことに気づいている。
ところが二人は真野にはもちろん、お互いにも口に出してそのことは何も言わない。
栗田は真野との友人関係が壊れることも男同士の恋愛に踏み込むことにも躊躇があり、高東は栗田の気持ちを知っていたのに好きになってしまった負い目があって、自分は一歩引き、口には出さなくてもさりげなく栗田の背中を押すようなことを言ったりしたりする。
そんな栗田と高東の想いを知らない真野は、しかし栗田と高東の間にある「何が起きてるのかよくわからない感じ」に、また疎外感を覚えたりする。
それでも三人が「友人」というお互いの立場を大切に思っていて、水面下ではいろんな想いが渦巻いているはずなのに、表面上は何か起きそうで起きない日々が延々と続くことになる。
ところが、栗田が大学を他の二人とは別の離れた場所に決め、二人から遠ざかったことで高東と真野の関係にも変化が起きる。
しかしそれもいきなりではなくて、二人になってもまだ「何かあるのに何も起きない」日々はしばらく続く。
高東は離れていった栗田に「抜け駆けはできない」と思っているし、真野は実は高校時代の高東への苦手意識は、別の意味で意識して惹かれていたからだとなかなか気づけないからだ。
しかしようやく気持ちが通じ合い、高東と真野は栗田と一端ちゃんと話をしようとするのだが、その矢先、栗田は・・・・。
ああ、長々説明しすぎてしまった。
つまり、好きなのに何にも表に出てこない日々がとにかく長く続きにっちもさっちも変化しない話なのだが、そんな中で視線や空気だけで伝わる想いや、友情の暖かさや優しさとかがジンワリと漂う、非常に静かで丁寧な物語でありました。
「攻」位置にいるはずの高東と栗田が、なんせ受に対して何も行動しないでいる「攻」なもんで何も起きるわけないですね(笑)。二人に想われてる受は何にも気づいてないし。
気づいてないけど「なんかある」とは感じてグルグルしてるわけで、読んでるほうは焦れる。
でも、読み飛ばすにはちょっと向かないけど、じっくり時間をかけて読むと優しさとか哀しさとか寂しさがジンワリ沁みてくると思います。
これは、ハッピーエンドになっても、スキッと明るい感じではないんだよね。
「桜」が一貫してイメージアイテムとなっているのですが、桜って、散り始めの雪のような桜吹雪がすごく綺麗で幸せな気持ちになるけど、散ってしまう哀しさも同時にあるじゃないですか。
真野や高東が桜吹雪の中で、思い出や友人を思い返すように、幸せで、でもどことなく愁いある読後感でありました。
この記事へのコメント
こんばんは~みむさん!
これ、予約しました。
タイトルが気になって・・・。
そっか・・じっくり時間をかけて読んだほうが良いのですね?
ま、きっと何日かかけて読む事になりそうですが・・。
今は・・本もなかなか読めないので(w_-; ウゥ・・
のんびりゆっくりマイペースで読む事にしますね~!
これ、予約しました。
タイトルが気になって・・・。
そっか・・じっくり時間をかけて読んだほうが良いのですね?
ま、きっと何日かかけて読む事になりそうですが・・。
今は・・本もなかなか読めないので(w_-; ウゥ・・
のんびりゆっくりマイペースで読む事にしますね~!
2009/03/18(水) 03:02 | URL | 水月 #/fVvPWuA[ 編集]
こんにちは~。
これは、月後半の分に入ってるのかな?(笑)
>時間をかけて読んだ方がいい
というか、ルチルにしては厚めですし内容も“ゆっくりゆっくり”なので、あんまりサッと読むにはむかないな・・・と(笑)
年度末に新学期を迎える今はホントに忙しい時期ですよね~。
体調お気をつけくださいね~。
これは、月後半の分に入ってるのかな?(笑)
>時間をかけて読んだ方がいい
というか、ルチルにしては厚めですし内容も“ゆっくりゆっくり”なので、あんまりサッと読むにはむかないな・・・と(笑)
年度末に新学期を迎える今はホントに忙しい時期ですよね~。
体調お気をつけくださいね~。
2009/03/18(水) 07:40 | URL | mimu #-[ 編集]