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4403522084オールトの雲
一穂ミチ/木下けい子
新書館
ディアプラス文庫 2009-03-10

by G-Tools

お姫さまのような母親と一緒に太陽の前に現われた小さな王子様――それが、流星だった。外国の血を引く繊細に整った容貌と、誇り高くまっすぐで、嘘やごまかしのない性格。そのせいで周囲から浮く彼をほうっておけず、いつだって側にいた。
けれど、部活の合宿先で偶然会った流星は、太陽が知らない顔をしていて……。
闇夜に迷う心を揺らす、一等星の恋。

糸井流星(いといりゅうせい)×高梨太陽(たかなしたいよう)
高校一年生同士、幼馴染。

「オールトの雲」(雑誌掲載)
「真夜中の虹」(書き下ろし)の二編。

太陽が5歳の時、隣の家に美しい母親と太陽と同い年の少年・流星が引っ越してくる。
ハーフで口数が少ない流星は周囲からは苛められるが、太陽はずっと一緒にいて、そのまっすぐで嘘のない性格を好ましく思っていた。
高校で進学先が別れた二人は以前に比べると顔を合わせる機会が減るが、夏休み、陸上部の合宿先で、偶然天文部の合宿に来ていた流星に会う。
太陽の知らない友人たちと違う世界を持っていた流星。
覚えた胸の痛みと独占欲に、太陽は流星への気持ちを自覚する。


「流星」と「太陽」という名前も、意識してつけられた名前なのですね。
一穂さんの二作目も、まるで詩か絵画を見るように綴られた物語。
好きではあるが、「雰囲気で持っていく」だけという感じもする。しかしその雰囲気で繊細な感情を表現するのがお上手で、時折ハッとさせられます。
前作は教師×高校生だったんだけど、こういう壊れそうで透明な感情を書くのがお得意なのだとしたら、もしかして10代の少年しか書かないのかなと思ったりします。
この感じは20代や30代の男性に当てはめるのはキツいだろう(笑)。

流星の母が亡くなり、16歳でひとりきりになってしまった流星は、離婚して既に再婚しハワイで暮らす父の元に引き取られることになる。流星の家はお金はあるので一人で暮らすこともできなくはないが、渋る流星に太陽は辛さを堪えて「家族で暮らす」ことを勧め、二人は離れ離れとなる。
「家族」に愛されて暮らすという経験は結果的には少年の流星にとって価値のある時間となるだろうが、恋人同士になったばかりの少年たちを思うとやはり寂しい。

書き下ろしではハワイに住む流星を太陽が訪ね、久方ぶりの一緒の時間を過ごすことになるが、それでも親のいる家にお客として滞在し、社会人のように自由にやりたい放題とはいかない。滞在期間が過ぎればまたお別れだしね。

本音を言えば、二人が再び時間を気にすることなく近くにいられる所まで読みたい。手に入りにくい同人誌とかじゃなくてね。
離れたあとにはまた再び一緒にいられるようになって欲しいじゃないですか。
数々の苦難のあとに世界一で締めくくるWBCのように、やはりハッピーエンドを望むのが人情じゃないか(笑)。

今回一番萌えたのは木下けい子画の幼い二人の絵(笑)。
とりあえず次作も大いに楽しみな作家さんではある。
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