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4344816382百万の野望
榊花月/亀井高秀
幻冬舎コミックス
ルチル文庫 2009-04-15

by G-Tools

有名食品メーカーの創業者一族に生まれた正親町希世は、親への反発から大学を中退して家を飛び出していた。
そんな希世のバイト先に突然、佐倉という弁護士が訪ねてくる。
父の死後、会社を継いだ兄が急逝し、遺言により遺産も事業も全て希世に託されているという。
佐倉の説得に根負けした希世はしぶしぶ実家に戻り、若社長としての生活をはじめるが!?

佐倉孝和(さくらたかかず・30代前半)×正親町希世(おおかまちきよ・23歳)
弁護士×若社長

「百万の野望」
「秘書はなんでも知っている」の二編。


まず「正親町」が読めん!(“おおかまち”と読みます)
有名食品メーカーの次男だが、ちょっと複雑な家庭の事情で家に反発して独り暮し、コンビニと便利屋でアルバイトをして生活をしている実はお坊ちゃまの希世。
しかし父亡きあとを継いだ兄までもが急逝し、希世に遺産の半分と会社経営の椅子が残される。

家を離れて生活していた息子が、突然呼び戻されて会社の社長とかヤクザの組長とかになってしまう話はよくあって、これも最初はそんな感じなのだが・・・。

実は途中からいろいろひっくり返って、その線からは逸脱していく。
人によっては「禁忌」な要素が隠されていて、伏線もほとんどないし、わかるのが後半なので注意。

意外性があってそういう意味では面白いです。
こういう慣れない立場におかれてしまう受は、世間知らずだったり頼りなかったり、でも純粋で真っ直ぐなところがみんなに好かれてピンチがあっても周りから守り立てられてうまくやっていくもんだけど(笑)、この受はそういう可愛いタイプとは全然違う。
悩みやコンプレックスはそれなりにあるし根深いが、あくまで自然体で気負いがなく、物事をナナメに見ているようでいて、意外に冷静な視点も持つ。
情があるわりには冷めたところもあって、度胸もあるので、危なげない感じ。

実はこの話は骨肉の争いや禁忌を含む、濃~い設定なのだが、受がドロドロした体質からはほど遠いのであんまり湿気がない。
そして攻の恨みつらみ(笑)についてそれほど詳しく書かれていないので(あるにはあるが)、そこからも湿気を言うほど感じることができない。
そして二人の関係はハッピーエンドではあるのだが、ちょっと皮肉でビターな味を含み、ここからも乾いた感じを受ける。

語り口が淡々としているせいか、あるはずの「愛憎」がそれほど熱く伝わってこないんですよねー。
でも榊さんてだいたいいつもこんなトーンか。
これを別の心理戦をこね回すのがお好きな方が書かれたら、相当ぐちゃぐちゃしたものになりそうですよ(笑)
どっちがいいかは好みにもよると思いますけど、このくらいだと読んでて疲れないかな(笑)。
突っ込むとかなり濃いメロドラマになりそうな設定です。
希世が佐倉に対抗できるほどに大きくなって最終的には佐倉を打ち負かすところが見たい。
コメント
この記事へのコメント
こんにちは、mimuさん。

これ、最初にmimuさんが書かれているように、「呼び戻された息子が、急遽会社を継ぎ」という、BLではよくあるお話かと思ってスルーしてました。

そこで待っている骨肉の争いに巻き込まれる世間知らずの受けを、攻めが気持ちを隠して支えるというのが王道ですものね。

で、このお話は、そういうのとは違うのでしょうか。メロドラマ系より、ドライ系の方が好きなので、それなら読んでみようかなと思います。
2009/05/07(木) 10:04 | URL | 桃 #-[ 編集]
>桃さん
こんにちは、桃さん。

>骨肉の争いに巻き込まれる世間知らずの受けを、攻めが気持ちを隠して支えるというのが王道

この作品は私も最初はそうと思っていたんですが、これはその「王道」というメインストリートをどんどん外れて藪に入っていく感じ。
ただキャラがドロドロしていないので、いい意味でも悪い意味でもあっさりとしています。
あまり深く掘り下げていないせいもあるかもしれません。

あんまり詳しく説明するとせっかくの意外性もなくなってしまうので、いろいろ語れないんですけどね(笑)
慣れない立場に四苦八苦の可愛いタイプも一生懸命でいいですが、このドライな受は私はけっこう好きでしたよ。
2009/05/07(木) 14:05 | URL | mimu #-[ 編集]
こんにちは、mimuさん。

貸して頂いてありがとうございました。
お話の流れが、どんどんと想像していたのと違う方向に転がっていって、着地したときには、正直びっくりでした。

受け君があっさりしているからいいけど、これがBL特有の自虐タイプだと間違いなくドロドロでしたね。

面白かったけど、佐倉は嫌いかも(笑)
2009/05/17(日) 14:11 | URL | 桃 #-[ 編集]
>桃さん
こんにちは、桃さん。

少しは楽しめましたでしょうか?(笑)
よくある話かと思いきや、意外な展開でそういう意味では面白いのではないかと思ったんですが、他に微妙な部分もいろいろありましたからネ。

>佐倉は嫌いかも

そうなんですよー(笑)
私も魅力を感じませんでした。
だからなんで希世が惹かれていくのかもイマイチ曖昧な気がしました。

ただ何度も言いますが『意外性』という点においては一押しします(^^ゞ
2009/05/17(日) 14:55 | URL | mimu #-[ 編集]
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