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月にむらくも、花吹雪
玉木 ゆら著 / 六芦かえでイラスト
リブレ出版
ビーボーイノベルズ (2007.2)


豆(まめ)はドジでおっちょこちょいで、高級男娼楼「幻月」いち客のつかないみそっかす。そんな豆がなんと唯一の客の紅塵(こうじん)に身請けされ、貴族の奥方(!?)になってしまったから、さあ大変。
嵐のように乱暴で強引で独占欲のかたまりな紅塵が、過保護に「幻月に行くな!」命令を出したところから、喧嘩→事件と事態はどんどん発展して!?
紅野塵将(こうのじんしょう/紅塵・こうじん)×豆
紅塵は30代半ば、豆は15歳くらい。

『月はむらくも、恋嵐』の続編です。
「月はむらくも、花吹雪」
「花散りて、君を想う」の二編に、最後にオマケ4コマ漫画がついてます。

男娼館・幻月の売れないみそっかす娼妓だった豆は、前作で紅塵に身請けされました。
紅塵は「護警所護符預所(ごけいしょごふあずかりどころ」、つまり町の治安を預かる責任者で、平民では拝顔すらできないほど位の高いお貴族様です。が、本人はワイルドで粗野な男なので、見ただけでは高尚な貴族様には見えませんが。

家が貧しく、口減らしのために娼館に売られた豆は、ぶきようで平凡な容姿のため男娼としては人気はイマイチでしたが、紅塵に身請けされて憂いもなく幸せになった・・・と思っていたんですが、そう簡単にはいかなかったようですね。
生まれてずっと暮らしてきた環境とは全く違う貴族の生活に放り込まれてしまったんですから、戸惑いもいっぱい。いつも使用人に囲まれて、傅かれる生活になど慣れていないから、身の置き所がありません。にぎやかだった幻月とは違い広いお屋敷は静かで、紅塵は仕事も忙しく、豆には話し相手もいません。
何か手伝えることはないかと尋ねても、断られるだけ。使用人は丁寧に接してくれますが、彼らが何を考えているのか、自分のことをどう思っているのかわかりません。
頭の中がグルグルしてしまって・・・ちょっとホームシック気味になってしまいます。

それで豆がちょっと幻月に遊びに行こうとすると…紅塵はそれを絶対に許さないのです。
しかし紅塵の目を盗んで幻月に行くと、幻月ではちょっとした問題が起こっていました。幻月楼主・亀戸(きど)やその右腕の初雪に豆は相談を受けますが、とにかく幻月に行くことを良しとしない紅塵と、幻月行きに関して言い争いとなり、二人は気まずくなってしまいます。

紅塵も横暴で豆を幻月に行かせないわけではなく、彼なりの焦りや不安を抱えてのことなんですね。身請けという形で豆を手元に置いた紅塵は、豆が自分のことを本当に愛してくれているのか不安なのです。
屋敷に置いても、自分はなかなか構ってやれず、豆が幻月に顔を出せば幻月が恋しくて帰りたいと言い出すんじゃないか、以前のお客と顔を合わせたりするんじゃないか・・・と見た目のふてぶてしさとは裏腹に悩んでいるわけです。
話し合えればそう難しいことではないんだけど、紅塵は忙しく時間が取れず、豆も上手く言えなくて拗れてしまう。

そんな二人の関係に、今回も事件が絡んできます。幻月での豆の親友・鴉(からす)が行方不明になってしまう。
前作では殺人事件も起きたりしてますから、ちょっとドキドキしましたね(笑)
親友を救おうと一生懸命で健気な豆と、護警所護符預所の紅塵の見せ場でもあります。

紅塵の「無理に何かを手伝わなくても、自分のためだろうが俺たちのためだろうが、自分のやりたいことをやればいい」という紅塵の言葉が印象的でした。

紅塵が豆を本当に愛しく思い可愛いと思っているのがよくわかります。「花散りて、君を想う」では、忙しすぎて豆が足りなくて苛々し周りを恐怖に陥れています。久しぶりに会った豆を膝の上に乗せて、それこそ「目に入れても痛くない」可愛がりぶりが微笑ましい。
しかし、呑気に愛でているばかりではいられない立場であるのが辛いところ。紅塵の結婚問題や、まだ若い豆がこれから成長して自分から離れていくのではないかという不安など、憂いもまだ残っています。
こんなに可愛い豆が不安になったりしないように、是非すっきりしたエンドを望みたい。ということで続編希望です。

一応一作目は遊郭が舞台で、本作も豆の元勤め先(遊郭)が絡むお話ですが、捕り物帳的な面白さもあり、よくある遊郭ものとはちょっと違った雰囲気です。
年の差が推定20歳近いので、ダメなかたもいらっしゃると思いますし、私も大人×子供は基本的に苦手ですが、これはみそっかす豆が結構お気に入りで、そんな豆が可愛くてしょうがない紅塵の実はちょっとヘタレなところも大好きで、珍しく大人×子供では好きなカップルです。
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