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4862635970ナルシストの憂鬱
西江彩夏/金ひかる
リブレ出版
ビーボーイノベルズ 2009-05

by G-Tools

「絶対に恋になんかならない!」
精悍で色男、職業・司法書士。だけど性格は、自意識過剰なナルシスト。藤中にとって山田は、外見だけは好みな、尊大で横暴な隣人だ。しかも初めて出会って以来、お人好しで面倒見の良さが災いしてか、なぜか山田の世話を焼くはめになってしまう。
さんざん山田に振り回されげんなりしていた藤中だが、二人の距離が縮むたびに、山田の素直で嘘を言わない真摯な言葉に心がときめいて…?
山田宏(やまだひろし・29歳)×藤中新(ふじなかあらた・27歳)
司法書士×電化製品店クレーマー対策窓口主任、隣人同士。

発売の日、いさんで中原さんを迎えに行って、気が変わって連れ帰ってきたコチラ。
ちょっと時間が経っちゃいましたけど、これアタリでしたネ。

「傍若無人、協調性ゼロの色男」とオビにありますが、最初の数ページを読んだところで「どひゃー!」とひっくり返りそうでした。それじゃ生ぬるいですよ。
いろんな変なキャラに会いましたけど、これはまた上位3位までには入りそうなくらいですね。
電波系自己中というか、白を黒と言い張って相手をねじ伏せるような言い分にはホントにオドロキました。
これは受け入れてくれる人は多くないでしょうねぇ。

しかし、たまたま隣人となった藤中は、大勢の兄弟の中で育ち、自分を抑え、我慢し、人の世話をするようにしつけられ育ってきた男。
培われた性格は、職場のクレーム担当係として絶大な力を発揮するほどですから、他人のわがままや理不尽にはかなり耐性のできてる男。
それにしても山田の態度には驚き内心は腹を立てるものの、げんなりしつつも言われるまま世話を焼いている間に、山田の本当の姿が見えてくる。
藤中だからこそ、本当の彼が理解できるまでつきあってあげられたんでしょうね。
たぶん、多くの人が、最初でムリ。

山田のこの傍若無人さは、自分を守る鎧であり、周囲への牽制であり、虚勢である。
根が真面目で潔癖な彼は融通も効かないし大変不器用。
母が後妻で入った家でうまく立ち回れず、病弱で汚かったこともあり友人もできず、おそらく真面目な彼が傷ついたその影響は少なくないだろう。
自分を鼓舞する虚勢と内面の純粋で真面目な部分が結びついて、SE/Xができない事態になってしまうのは、表面的には彼の変人さを強調するが、その繊細さは愛しいほどの哀れみを感じます。

最初はひっくり返った山田の態度だったけれど、実は後半、二人が別れを決意したあたりの山田の素直な独白に号泣しました。最近ではめったに泣くこともなく、本を読んで泣けたと言っても実はジンとするくらいなんですが、もう涙がボロボロ出ちゃいましたよ。涙を流して泣いたのは久しぶり。字が見えなくなってしまうほどでした。
こう書くと「切ない泣ける話?」と聞かれてしまうことがあるんですが、そういう話ではありません(笑)
でもその部分で、山田のそれまでの言動に隠された寂しさとかむなしさとか空虚さが、居たたまれないほど感じられてしまったのでした。
布団の中で一人で読んでたので助かりました。

山田は大変得難い男ですね。おそらく二人といない。
とてもやっかいだけれど、その素直で純粋な部分はとてもきれいなものだ。
1度覚えてしまうとヤりたい盛りの高校生のように絶倫な山田からも、真面目さと熱心さと素直さを感じます(笑)。
同じ表現を繰り返すところがちょっと気になったりはしましたけど、お話はもう、大変面白かった。
コメント
この記事へのコメント
こんにちは、mimuさん。

私も最初は山田のクレーマーぶりに、こんな男とは近づきたくないとマジで思いました。

でも読んでいるうちに、プライドと理論でハリネズミのように武装した山田は、藤中の言うようにとても可哀相だと思ってきました。

ここら辺の、作家さんの力量はたいしたもんだと思います。

ラスト、藤中を追いかけてきた山田の姿に、私も泣きましたよ。

>とてもやっかいだけれど、その素直で純粋な部分はとてもきれいなものだ。

ええ、その部分があるからこそ、モンスタークレーマー山田に惹かれてしまいました。

雑誌の方にショートが載っているそうですが、そのためだけに買うのもなあと迷っています。
2009/06/09(火) 10:28 | URL | 桃 #-[ 編集]
mimuさんこんばんは。
この方、新人さんですよね?
オレ様攻めってあんまり得意じゃないんですけど、mimuさんの感想を読むとなんだか面白そう・・・。
迷っていたのが、「買い」モードにシフトしました。
2009/06/09(火) 21:42 | URL | ゆきのこ #KD5XUSzs[ 編集]
>桃さん
こんにちは、桃さん。

最初は山田にビックリし、藤中が山田につきあってやる気持ちがわからないでいたはずなのに、いつの間にか山田に「こんな男、ひとりほおっておけない!」と愛しさを覚えるようになっていました。
これこそが藤中の気持ちでしょうか(笑)
そういう所、作者様に上手にやられましたね。

私が泣いたのは二人が最後の旅行の約束をする場面の「一生、ずっと君を好きでいる。――」から始まる台詞です。その手前からジワジワきていたんですが、その台詞で(T_T)←こうなりました(笑)
あんなに身なりを気にしていた山田が旅館の浴衣にサンダルで駆けてきたのを想像すると、やはり泣けますよね。

雑誌は私も普段ほとんど買わないですし、これ一編のために買うのは抵抗あります。
というわけで立ち読みしてきました(笑)
山田は33歳になっており、一緒に住んでいて、仕事から帰ってきて山田が「食事より君が食べたい」とベタなことを言って、Hに突入してました笑)。変わらず熱々でしたv
2009/06/10(水) 08:12 | URL | mimu #-[ 編集]
>ゆきのこさん
こんにちは、ゆきのこさん。

ご本人のサイトを見ると2006年の小説BEaST Winter号(ビブロス出版)を皮切りに小説b-boyで毎年作品が掲載されているようですが、商業誌はこれが初めてのようですよ。
他も読んでみたいと思ったので、今後チェックしたいです。

攻めは確かに「オレサマ」ですが、ちょっとそこらの「オレサマ」と違います(笑)
そして多分「オレサマ」な印象も最初のうちだけで、いつのまにか変わっていると思います。
この攻めの変人ぶりだけでも一読の価値はあると思います。
騙されたと思って、ぜひ。
2009/06/10(水) 08:27 | URL | mimu #-[ 編集]
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