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4877249842恋―La saison d’amour
洸/梨とりこ
海王社
ガッシュ文庫 2009-06-27

by G-Tools

彼は優美な魚のように、テーブルと椅子の間を泳いでいく――。
偶然訪れたレストランで和泉は「恋」に落ちた。
2年前から上司と望まない不倫関係を結ぶ和泉は平凡なサラリーマン。恋が実ったこともない。もう幸せな夢なんて見ない・・・そう思っていたが、年下のウエイター・若月の姿にひとめ惚れをした。
少しずつ、彼のことを知り、彼の情熱を知り、若月に心奪われて、ついに告白した和泉。
一度でいいから抱いて欲しい――意外にも願いが受け入れられ、和泉はおずおずと、好きになった人と初めて結ばれるが・・・。
恋に臆病なサラリーマンの初恋。
若月怜人(わかつきれいじ・25歳)×和泉雅弘(いずみまさひろ・26歳)
ウエイター/舞台俳優×サラリーマン

「春」「夏」「秋」「冬」の4つの章からなり、二人が出会って恋人として絆が深まっていくお話でした。

ゲイである和泉はこれまで好きになった相手ときちんとつきあったことがありません。
人付き合いが苦手なせいもあり自分から告白したことはなく、和泉の中性的な容貌に惹かれて寄ってくる男は一時の関係や男同士の便利さを求める男ばかり。
現在の上司とも、上司に一方的に都合のいい関係を続けさせられています。
しかし臆病でうしろ向きな和泉は自分に自信もなく、自分に幸せは来ない・・・と半ば諦めてしまっている。

そんなある日、部下の女性同僚と行ったレストランで、和泉はウエイターとして働く若月にひとめで心を奪われます。
彼の姿が見たくて何度も何度もレストランに足を運び、やがて若月に名前と顔を覚えてもらうようになる和泉。
その言動は「乙女」そのまま(笑)

一方、和泉は社内では仕事のいい加減な女性部下に悩まされます。
しかも一方的に和泉が彼女を好きだと決め付けられ我慢の限界を越えた和泉はその部下を諌め、社内の誰もが注視する中「自分はゲイだ」とカミングアウトしてしまいます。
それがきっかけで「男だから疑われなくて便利だからつきあってた」といけしゃあしゃあとのたまう上司とも決別。
一連の出来事で傷ついた和泉は、「好きな人のそばにいたい」と若月を駅で待ち伏せ、現われた若月に「俺を抱いてくれませんか」と言ってしまう。

そんなこんなで二人がつきあうようになるのが「春」。
その後「夏」では若月が元舞台俳優だということがわかり、一時は辞めていた役者の道に戻っていく話。
「秋」は、舞台に戻った若月が俳優としてどんどん注目され、和泉は悩む。
「冬」は若月の女性関係に再び和泉は取り越し苦労(笑)させられるが、最後には「一緒に住もう」ということになって“ゴール”。

受け取り方は様々だと思いますが、和泉の自信のなさにはイライラしたなー(笑)
どんだけ後ろ向きなんだろうと思いました。
しかし、そんな和泉も追い込まれたり窮地に立たされると唐突な行動に出るクセがあるようで、社内でのいきなりのカミングアウトしかり、突然の「抱いてくれ」宣言しかり、普段はグルグルしてるのにいきなり突飛な行動に出るので面白い人だと思いました(笑)
キれるとコワいタイプかしら。
しかし、客として顔と名前を知られてるだけの男に、いきなり男が「抱いてくれ」はないと思うよ(笑)
そしてそんなアブナイ人を「俺の家に来ます?」とうちに入れちゃうのもないないない(笑)

いささか強引な展開で始まった二人の関係ですが、全編を通して、和泉のグジグジが続きます。
そして、そんな和泉にわりとすぐに気づく若月のひと言で、また和泉の心にパーっと花が咲く。
でも次の瞬間にはまた後ろ向き。
若月が和泉のそんな悲観主義を見通しているのか、きちんとフォローし続けているので、尚更和泉がグジグジ過ぎるように思えるのかもしれません。
そんなにネガティブになることないじゃん、て。
若月はそのしなやかな見た目や役者としての才能も見目麗しく、恋人としても受けを不安にするようなタイプではないですね。
それだからこそ余計に和泉のようなタイプは不安を感じるのかもしれないですが。

「男前受けが好き!」と言う方にはオススメできません。
一番印象深かったのは、和泉の部下の女性ですね。
こんな人と組まされたらと考えただけでオソロシイ。
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