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4403522181征服者は貴公子に跪く
いつき朔夜/金ひかる
新書館
ディアプラス文庫 2009-07-10

by G-Tools

両親、そして財産を失い、先祖代々の居城を手放すことになったパウル。ところが、契約書にサインを済ませたとき、売却先である日本のホテルチェーンから来た牟田は、かすかな笑みを浮かべて告げたのだ。「あなたも込みで買ったのですよ」と。
男の傲岸さに最初は反発を覚えたものの、無表情ながら冷血漢ではない牟田と徐々に心の距離が近づいてゆき……?

牟田槙一郎(むたしんいちろう・30歳)×パウル・フォン・ヒルシュヴァルト
日本のホテルチェーン後継者×ドイツ貴族

「征服者は貴公子に跪く」(雑誌掲載)
「貴公子は騎士に護られる」(書き下ろし)

感想、間が開いてしまってすみません。
なかなか本を読み進められなくて、一冊4日くらいかかっています。
ペースが戻るまで、まだしばらくこんな感じになります。

さて、いつきさんですが、“あなたも込みで買った”というと、なんだか身売りされて傲慢男に好き勝手されちゃいそうですよね。
しかし、売買時は多少偉そうではあったものの、攻めの牟田は以降は至って紳士的。
ドイツの森に建つ何代にも渡る昔からの貴族のお城を舞台に、おとぎ話を読んでいるようでした。
時代が1980年代になっているのは、いつきさんがドイツで暮していた時代だからかしら?

両親が飛行機事故で死亡したあと遺産管理を任せていた叔父の散財で借金まみれとなってしまったヒルシュヴァルト家。当主となったパウルは日本のホテルチェーンの牟田に居城を売ることになる。
しかし城を手放し出て行こうとしたパウルを引き止めた牟田は、本物の城に住む「王子」としてホテルで働くように告げる。

ヒルシュヴァルト家に仕えた老執事ヘルムートや台所を預かる家政婦のハンナも共にそのまま城に残ることを許され、貴公子が突然市井に投げ出され苦労するという目には合わないですむ。
先に書いたように城の征服者となった牟田に無体をされるわけでもなく、牟田と秘書の薬師寺(やくしじ)を加え、なんだか実にアットホームな雰囲気をかもし出している。

そして、そこここの場面で、牟田の思いやりや優しさを垣間見ることになる。
パウルが牟田に惹かれていく気持ちはわかるのだが、牟田さんはいつからパウルに目をつけていたのかな(笑) わりと最初から優しかったですよね。その辺ちょっとわかりにくかったかもしれない。
優秀な男のようでいて、時々不器用でツメの甘い牟田が良かったです。
パウルも世間知らずのボンボンというのではなく、ある意味普通らしいと同時に凛とした部分もあるので好感持てました。

執事と薬師寺の攻防が面白そうです。
ただ、カップルにするには無理がありそうです(笑)
非常に綺麗にまとまっていて安心して読めるのですが、無難の域は出ていないように思います。貶しているわけではないんですけども。
殺伐としたところがないので、楽しく読めました。
コメント
この記事へのコメント
こんにちは。
リンクさせて頂いている「ロテンシス」の秋林です。

>時代が1980年代になっているのは、いつきさんがドイツで暮していた時代だからかしら?

私もまったく同じことを考えました。自分が体験した時代のほうが、ムリは出ないように思えますし…ただ、この作品に80年代らしさがあったかというと、あまり反映されていなかったような印象を受けました。でも「80年代」という時代性に凝る必要性は特別ないストーリーだと思うので、読了後にいっかな~と納得しましたけど。

あと、本を手に取ったときに思ったのですが、和泉桂さんや遠野春日さんの本を想像させるのようなタイトルだったので、「いつきさんでこのタイトルか~」と、ちょっとフシギな感覚になりましたね。
でも逆に「黒い森の恋」とかなんとか、ベタドイツ風でもやや抽象的なタイトルを付けられていたら、ストーリーが無難に楽しめる内容だったので、さらに没個性度が高くなったかも…。
2009/07/26(日) 10:33 | URL | 秋林 瑞佳 #hMgDs1Uk[ 編集]
>秋林さん
こんにちは、秋林さん。

多分「80年代らしさ」を追求するよりもご自分の過ごした時代の方が経験上書きやすいということかもしれないですね。実際に目で見たものを思い出せるし、20年以上経ってしまうとさすがにだいぶ変わっているでしょうから想像が難しいのかも。

いつきさんのタイトルはだいたいいつも「イマイチ」という声がありますね(笑)
このタイトルも、BLにありがちと言えばありがちだけど・・・。
「いつき朔夜」の名前で買っちゃうので、あんまり深く考えてなかったです(笑)
延び延びになってる作品も楽しみですね!
2009/07/27(月) 11:36 | URL | mimu #-[ 編集]
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