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ビューティフル・サンデー
雪代 鞠絵著 / 金ひかるイラスト
心交社
ショコラノベルス(2007.2)


恭輔は大企業に勤める野心家で傲慢なエリート。専務の娘と婚約し順風漫歩な人生を歩んでいた。
出世コースの一端として大阪支社へ二年間の転勤が決まり、東京を離れる前夜、恭輔は婚約者の弟で高校二年の小鳩から突然恋を告白される。
恭輔は適当にあしらおうとするが、偶然小鳩に弱みを知られ、「大阪にいる間限定の恋人」という立場を許す羽目に。小鳩が週末ごとに恭輔の元を訪れる奇妙な遠距離恋愛が始まる。
最初は小鳩を邪険にする恭輔だが、危ういほど素直で純朴な小鳩に惹かれはじめる。
だが、小鳩は恭輔に重大な真実を隠していた――。
北見恭輔(きたみきょうすけ・27歳)×稚野小鳩(ちやこばと・17歳)
大手化粧品会社勤務の野心家なエリート×専務の息子、大人しい高校2年生。
年の差ものですね。

恭輔の父は小さな製造会社を営んでいましたが、生活は苦しく、そのせいで子供のころは友達から苛められていました。
やがて会社は倒産。悲観した父母は自殺してしまい、一人残されやっかいものとなった恭輔は、親戚に頭を下げて助けを借り、勉学に励んで高校を卒業し、最高学府と言われる国立大学を卒業、初任給が一番良かったという理由で、大手の化粧品会社に就職しました。
貧乏で悲惨だった子供時代のせいか、恭輔は上昇志向が強く冷淡な野心家です。早々に親戚に金を返したあとは更に上を目指し、専務の娘に気に入られたのをいいことに、まんまと婚約を決め、周りから『専務の犬』と謗られても痛痒を感じることもなく、利用できるものは利用して、上り詰めてきました。
そんな時、恭輔に大阪支社へ二年間の転勤が持ち上がります。専務に取り入り、また自身の優秀さも手伝って出世が見えている恭輔に対して不満を持つものも多く、それらの気を反らせるように二年間大阪で経験を積んで来いという専務の指示でした。

二年後に女子大を卒業する専務の娘と結婚したあとは、専務さえ踏み台にして更に上へ。大阪転勤など恭輔には痛くも痒くもありません。
しかし、計画通り、順風漫歩な人生を歩んでいるところに、大阪へ行く前夜、突然小鳩が現れます。

小鳩に呼び出され、会っているところへ、恭輔が遊びでつきあい捨てようとした同僚の男が乗り込んできてしまい、自分が男も抱ける性質で、不実なつきあいをしていたことを小鳩に知られてしまうのです。小鳩は専務の息子、つまり恭輔の婚約者の弟です。
小鳩にいきなり「好きだ」と言われ、小鳩に告げ口されることを恐れた恭輔は、大阪にいる間二年間、期間限定の恋人として小鳩とつきあうことになってしまいます。

金曜の夜になると東京から大阪へ新幹線で通ってくる小鳩を、嫌々ながらつきあっている恭輔は 邪険にあしらいます。ひどいんですよ。
けれど、恭輔がどんなに冷たくぞんざいに扱っても、小鳩は従順で、静かで素直でした。自分が何を言っても何をしても、ただ従うばかりの小鳩の卑屈さに恭輔はさらに苛立ちます。

しかし、ギスギスした野心だらけの冷たい男の心を、この素直でひたむきに自分を慕う子供が溶かしていきます。
小鳩がある事情で黙って大阪に来なくなってしまったときは、気になって仕事が手につかなくなってしまいます。やっと現われたときは、安堵して、大阪の街をデートに連れ出してやったりする。
やがて日曜日、別れの時間がくると、駅まで送ってやり、新幹線で手を振りながら消えていく小鳩をいつまでも見送ってしまったり・・・。遠距離恋愛の定番シーンですね(笑)

しかし、実は小鳩はその生い立ちに重大な秘密を隠していました。
本当は毎週のように大阪に通ってこれるような立場ではなかったんですね。大阪に来るために小鳩がやっていたこと。それを知った恭輔は驚きと憤りで、小鳩を平手で打ち言い争いになってしまう。
ここはジワッときました。小鳩の身の上がわかると、それまでの従順さが痛々しくて。
古い携帯、いつも同じ洋服、恭輔の少しの優しさにも目をキラキラさせていたそれまでの小鳩の全ては意味がある伏線なのですね。水族館なんて行ったことなかったんじゃないだろうか。
あとになって「そうなのか」とまた切なくなる、このあたり上手いですね。

「愛って何か俺に教えてよ」 なんて、ホントに痛ましい。
しかし、恭輔には答えられないんですね。
恭輔も小鳩と同じ、二人は『愛』がなんなのか知らずに育ってきた似たもの同士でした。
だから苛立ち、そして惹かれたのかもしれません。
愛は目には見えないけど、これから二人は、相手を好きになって「愛する気持ち」を知り、その気持ちを受け取って「愛されること」を知ることができるんじゃないでしょうか。

締めはちょっと都合よくなってますけど、憂いが除けるならいいですよ、これで(笑)
二人の気持ちが通じ合うシーンではまたジンとしてしまいました。面白かった。

で、脇に凄く美味しい人がいますよ。
恭輔の大阪での上司、周防(すおう)さんです。
恭輔より年上らしいですが、そうは見えない童顔に、機関銃のような関西弁、毒舌、怖い、だけどキレるデキる男。アイドルの小娘につきまとわれて辟易していますが、実父によって引き裂かれた親友の存在というのが、私は気になります。
そっちでスピンオフどうですか。
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