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4199005390小説家は誓約する 小説家は懺悔する3
菱沢九月/高久尚子
徳間書店
キャラ文庫 2009-09-26

by G-Tools

ベストセラー作家・佐々原と暮し始めて一年――。相変わらず不機嫌な執筆中の顔も、濃やかなセックスも律は惚れ直すばかり。
ところがある日、佐々原の新作が批評家に「凡庸で駄作」と酷評されてしまう!!
担当編集者にも「作風が変わった」と告げられ、律は内心茫然自失。もしや自分の存在が悪影響を与えている!?
密かに責任を感じて、思い悩む律だけど!?

佐々原脩司(ささはらしゅうじ・30歳)×松永律(まつながりつ・25歳)
小説家×家政夫・コックさん

「小説家は溺愛する」(雑誌掲載)
「小説家は誓約する」(書き下ろし)の二編。

『小説家シリーズ』の3作目、これで完結だそうです。
3作出るとは思ってなかったです(笑)
終始脩司の律へのベタ惚れっぷりが漂ってました。

佐々原は過去にいろいろあった男だからデビューの頃はギリギリ感漂う小説を書いていて本人もそんな人だったけれど、律と出会ってからは本人にもその作風にも変化が現れている。
ひとつの作品を良しとする人もいるし否とする人もいるのは普通に考えて当たり前だけれど、酷評されているのを実際に見聞きしてしまい、もしかするとそれが自分の影響?と考え出してしまっては、小説家の隣にいる人間として不安も大きかろう。

小説家ではないので実際はわからないけれど、一人の人間が「書くもの」には必ずその人の経験や見たこと聞いたこと知識考え方性格心理状態もろもろ、その人が持つものが影響するはずだと思う。
全くの空想を言葉にしたとしても、その人の中にある知っている言葉でしか表現できない。
聞いて知ったことも経験すれば深みも重みも出る。
小説家であっても世間を遮断して生きられない以上、外からの影響は必ず受ける。
そういうものが引き出しになって、それらを取り出したり昇華したり凝縮したりして言葉に変えていく。
その作業は作家一人のものだけれど。

つまり佐々原は、お金のために書いていた刹那の作家ではなく、そうやって書き続けていく小説家に変わったんだよね。
甘さはもちろんだけど、律の悩みよりそっちが印象的でした。
佐々原は「小説家であること」をもう自然に受け入れていて、律の悩みが主題だけれど佐々原は全然揺らがないんだなー。
律はね~、初々しさも漂わせつつ、Hの際は結構エロい妻だと思いましたよ(律についてはそれだけか。笑)
コメント
この記事へのコメント
こんにちは、mimuさん。

作家でも画家でも、そして歌い手でも、年や経験と共に表現力というのは違ってくるものですよね。

だから、佐々原の作風が変わるのは当然のことと思います。

>つまり佐々原は、お金のために書いていた刹那の作家ではなく

な~るほど。そう言われるとストンと腑に落ちます。人間は変化していくものですねえ。それが普通かも。

まあ、尖った文章が好きな人もいれば、そうでない人もいるわけですね。

それよりも、私には佐々原の溺愛ぶりがビックリでした。かなりヘタレになって、妻の尻に敷かれていたような・・・ある意味、恐妻家(笑)。
2009/10/15(木) 17:49 | URL | 桃 #-[ 編集]
>桃さん
こんにちは、桃さん。

どんな作品でも全ての人に合うかと言われればそんなことは絶対ないですもんね。
しかし実際不評を耳にしてしまえば気になるのは仕方ないかもしれません。そばにいるからこその悩みだと思いますが。
変わることで「え?」と思う人もいるかもしれませんが、成長だったり良い変化だったり、それもまた「変化」ですしね。

>佐々原の溺愛ぶり

そうそう!
私もなんだかすごく惚れ抜いてるなと感じでした。
「可愛い可愛い」って、実際目尻下がってるんじゃないかと思いましたよ(笑)
これぞベタ惚れですね。
だからこそ、律の悩みも安心して読んでいられましたけど。
2009/10/16(金) 14:09 | URL | mimu #-[ 編集]
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