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胸の獣
火崎 勇著 / 石原 理挿画
プランタン出版
f-LAPIS文庫(2007.2)


飯島は、会社帰りに通い始めたスポーツクラブのプールサイドで、鮫のように泳ぐ精悍な男、具志堅に目を奪われる。
自分の中にある『恋』という欲望に気づいた飯島だが、プールサイドに集う者同志というだけの他人では声をかけることもできない。
そんなとき、夜の公園で、具志堅と偶然の出会いを果たす。具志堅もまた飯島の存在に目を留めていたという、思いがけない事実に驚喜するが…。
胸の中に獣を飼う同士の獰猛な恋が始まる。
具志堅一成(ぐしけんかずなり)×飯島直樹(いいじまなおき)
年齢不明。

「胸の獣」
「つがいの獣」の二編。
1996年桜桃書房刊を微妙に修正したもの。書き下ろしはありません。

「鮫のように泳ぐ男」を想像したところで“ジョーズ”の顔が浮かびました。
運動不足を気にして入会したスポーツクラブのプールサイドで、飯島は、そんな風に見事な泳ぎを見せる男・具志堅に目が釘付けになります。
やがて、それが恋と言う感情だと気づく。
しかし、話しかけることができずにいますが、偶然夜の公園で鉢合わせをし、飯島が具志堅のコートを汚してしまったことからそのまま部屋に呼ぶと、具志堅も自分の存在に気づいていたことを知ります。

タイトルに『獣』とあるように、二人とも征服欲満々の人たちで、狩りをするタイプなのですね。
抱かれるとか抱くとかそういうことではなくて、もっと精神的なもの。抱く側である具志堅は、相手を跪かせて屈服させることに喜びを感じるようですが、飯島の方は、抱かれることに抵抗はないが、屈服するつもりも、跪いて請うつもりもなく、「お前が欲しがれ」とでもいうんでしょうか。
二人ともプライドの方が忙しくて、威嚇しあいつつ相手の弱点を探りあうような、そんな感じでした。

男同士ということで、そんな野生の戦いは大変けっこうなんですが、ここまでくるとちょっとウザイ気も。
なんだかんだ言いながら、「胸の獣」で、二人はいちおうくっつくのですが(しかもわりかし簡単)、「つがいの獣」では、いかに自分が相手より優位であるか主導権を握ろうとする側と、負けじと小細工に周る側との攻防に。
具志堅が、自分にアタックしてくるアホな小僧と寝て、それを飯塚に楽しそうに話し、飯塚が自分に「捨てないで」と縋ってくるところを見たい、と傲慢バカな態度であるのに対し、飯塚も当て馬を用意して対抗する気概は大変いいですけどね。このくらいのことしても当然だろう。
でも登場人物の中で一番カッコ良かったのは、『当て馬』をきっちり引き受け、具志堅にちょっかいを出す頭の悪い小僧を言い負かす、飯塚の女性の同僚・小堺(こさかい)さんだと思いました。
『獣』のはずなんですけど、具志堅、飯塚、二人とも、姑息に餌を置いて、相手が引っかかるのを物陰で見てるような感じがなんだかイヤだ(笑)。
小堺さんは、自分に向かってくる者に、きっちり噛み付き撃退してますからね。
獣なら、食いたきゃ、自分で狩りをしようよ。

自分より強いもの、向かってくるものに対して牙を剥く、それぞれが強さを誇る獣同士の“縄張り争い”。
これぞ男同士・・・といいたいところですが、“獣”を誇示しすぎてるところが、ちょっと鼻につきました(^^ゞ 獣にしちゃ、小ズルイ。

で、この獣同士は、一緒に巣作りをすることに決めたようです。素直に、「余所見しないで。毎日一緒にいたい。」って言えよ。
この巣は、あんまり安らがないような気がします(笑)
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