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無言の恋咎
妃川 蛍著 / 実相寺 紫子〔画〕
リーフ
リーフノベルズ(2007.2)


失踪した親友・九頭見を探すエリート検事・天瀬。友としてライバルとして二人は同じ道を歩むはずだった。
だが再会した男は違う名を持ち、別人のように獰猛な雰囲気を纏う極道となっていた!
黒龍会の幹部を名乗り、追及を拒む男に、けれど天瀬は確信する・・・彼が間違いなく九頭見だと。
「おまえを必ず取り戻す」友の真意を知るため、全てを捨て男を追う天瀬を待っていた真実とは…!?
九頭見勇人(くずみはやと/別名・角鹿勇・つぬがいさみ)×天瀬礼誓(あませゆきちか)
年齢不明。

「甘いシリーズ」十四作目だそうです。
今までの作品でお馴染みの面々も登場しますが、これだけで読めます。

天瀬が高校三年生の時、転校してきた九頭見とは、始めは水と油のように反発しあっていましたが、あることがきっかけでお互いを認め合い親友になります。
二人とも検事を目指していて、同じ大学の法学部に進み、ともに司法試験に受かり司法修習を経て検事になるまで、そして検事になってからも、時にぶつかりあい、時に愚痴を零しあいながら多くの時間を過ごしてきました。
天瀬にとって、九頭見は友でありライバルであり戦友であり、誰よりも理解し合える相手。その先の人生も、指針として生きていくに値するだけの大切な存在でした。
しかし、ある日九頭見は忽然と姿を消してしまいます。

九頭見の運転していた車がガードレールを突き破り崖に転落。つぶれた車や血のついたジャケットは見つかりますが、九頭見の姿はその遺体さえも見つかりませんでした。
九頭見のたった一人の家族である弟とその身重の妻がやはり車で崖から転落死しており、九頭見の場合も事故か、悲嘆しての自殺ではないかとして事件は片づけられてしまいます。遺体は渓流に流されたか、獣に荒らされてしまったのだろうと。
しかし、天瀬は九頭瀬が必ず生きていると信じ、再会を願っていました。

そしてとうとう天瀬は九頭瀬を見つけるのですが、男は「角鹿」という極道だと名乗り、天瀬の言葉を否定します。「角鹿」が九頭見だと確信する天瀬は男を追いかけ詰め寄るのですが、二人きりで話をしようと入ったホテルで無理矢理抱かれ写真を撮られてしまい、「今の立場を守りたかったら妙なことを考えるな」と脅されてしまいます。
しかし、天瀬は犯されながらも九頭見のシャツをはだけさせ、角鹿と名乗る男の肩に、九頭見と同じ傷を発見することができたのです。
確信を得た天瀬は、九頭見の脅しに怯むことなく、検事を辞め九頭見の所属する黒龍会御用達の弁護士事務所にヤメ検として勤め、九頭見の真意を探ろうと食い下がり続けます。

冒頭のモノローグで、九頭見が訳あって姿を消したことは想像がつき、それが弟の事故と関係があるということはすぐにわかります。九頭見はおそらく事件の真相を暴こうとしているのだろうと。
でも、それを頑なに隠そうとする九頭見に対して、何があろうと怯まずガンガンぶつかっていく天瀬が思いのほか良くて、このアダルトカップルはかなり面白かったです。

天瀬は、その容貌はよくありがちな銀縁眼鏡のクール美人タイプなんですが、しかしその中身はかなり激しく男前です。二人のことを『虎と豹』と称している箇所がありますが、九頭見にも、全然負けません。どちらかというと頭脳派なので喧嘩が得意なわけではありませんが、激昂すれば殴る殴る。
命を捨てようとする九頭見の前にはナイフを持って立ちふさがります。手も少しも震えたりしません。「行くなら俺を撃っていけ」 この辺りにくると、九頭見より男らしくみえてきます。
攻めと対等にぶつかり合える受けというのはホントにいいですねぇ。
そして自分の頭で、九頭見の抱える真相を暴こうとするところも、いいんですよ。「教えないなら、つきとめてやる」という不屈の意思や強さがいいし、そしてそれが出来る、きちんとした大人だというところが嬉しいですね。
久しぶりに、男同士はこれだよね、と思えるカップルに出会いました。『受』もやっぱり強い方が好きですね。

九頭見の追っていた事件の真相にはたどり着くのですが、敵を追いつめるところまでには到らなかったのが残念ではありました。
でも面白かったので短時間で読んでしまいました。

ラストの修羅場はお馴染みのメンバーがまとめてくれています。化け猫くんは今回も登場してました。
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