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永田町で逢いましょう
四谷 シモーヌ著 / 稲荷家 房之介〔画〕
雄飛
アイノベルズ(2007.2)


経済産業省のノンキャリアである高梨薫は、本来キャリアから選ばれるはずの総理大臣秘書官に任命された。異例すぎる辞令を不審に思いながらも、出世のチャンスと受諾した薫。けれど総理官邸で薫を待っていた首席秘書官は、高校時代に薫が利用するだけ利用して捨てた、かつての恋人・水木玲だった―。
エリートばかりの職場で孤立する薫を待ち構えていたように差し出された水木の手に薫は…。
水木玲(みずきあきら・30歳)×高梨薫(たかなしかおる・30歳)
総理大臣首席秘書官×ノンキャリアの総理大臣秘書官。
高校時代のクラスメート。

高梨は昔から公務員に憧れていました。それは、仕事が長続きせず、ギャンブルばかりした上に、行方不明となった父がいたから。安定した生活をしたかったんですね。
母が亡くなり、父の行方がわからなかった高校生の頃から、数々のアルバイトをして高梨は独力で大学まで進みました。おろそかになりがちな勉強の方は、女の子にノートを見せてもらう見返りに身体込みのデートをして乗り切ってきたのです。

高校1年生の時、同じクラスだった水木とも、水木に勉強を教えてもらう代わりに、身体で返す(最後まではしていない)というつきあいをしていました。
しかし、その後高梨は水木を捨ててしまったのです。御礼の代わりに始めたことだったのに、いつしか水木は高梨にばかり快感を与えるようになり、自分はいい、と何もさせてくれなくなりました。生きていくためにギブアンドテイクを真情としていた高梨は、水木のことが理解できなくなってしまったからです。

その後、勤労と女の子たちの助けのおかげで奇跡的に三流大学に入ることができた高梨は、公務員Ⅱ種試験に合格しダメ元で受けた経済産業省にも受かり、ノンキャリアながら、めでたく国家公務員となったのです。出世欲は全くありません。そのまま定年まで無事勤め上げて退職金を貰い、悠々自適の老後を過ごすことが夢でした。

しかし、そんな高梨は、突然異例の異動で、総理大臣秘書官の一人に任命されてしまいます。そして驚いたことに、首席秘書官は、あの水木だったのです。

水木の下に四人いる秘書官たちは、みなキャリアで高梨よりも年上の男たちばかり。一番年下でノンキャリアの高梨は、他の秘書官の仕事まで押し付けられて、毎晩残業するはめになります。
しかし、孤軍奮闘する高梨の前に水木が現れ、溜まった仕事を高梨の代わりに片付け、再び高校時代のように身体でのお礼を要求してくるようになります。(ここでも最後まではしてません)

また再会ものでした。
最近多いような気がするのは、チョイスしてる作品のせいなのか。
オビの煽りには「復讐か、それも悪くない」などと書いてあるし、あらすじを見てシリアス目な話を想像していたんですが、全然そんな感じではありませんでした。
高梨が『しっとり』キャラとは程遠い、お調子者の、やんちゃキャラなんですよね(30でやんちゃというのも変だけど)。
そして水木の方も、別に過去に拘って高梨に嫌がらせをしているわけではないんですね。ただ好きだから傍にいたいだけで、最後までしないのは、水木なりに抑えてるわけで、結構一途な恋心なんですよね。そして高梨も、気づいてないだけで水木のことが好きなんだというのは何となくわかります。

総理大臣に不正献金疑惑が持ち上がり、総理辞任の危機という事件も起こります。そこで水木の出生の秘密が明らかになります。
また行方不明の高梨の父が現れて意外な伏兵となるのですが、このあたりはちょっと出来すぎな印象でした。

高梨のキャラのせいか、意外に明るいお話になっていました。
水木は、高校時代はフランス人形のような綺麗な美貌で、現在もギリシャ彫刻みたいな美男子という設定です。色も白くて睫も長くて瞳は淡い琥珀色で、身体は逞しくて、美しい攻め。美しい男はチ○○も美しいそうです(笑) 受けもそこそこなんですけど、性格のせいか、イメージは何となく野ザルのよう(笑)

結果的に二人とも公務員を辞めてしまうんですが、確かに二人の関係だけでなく、二人とも出自がスキャンダルの種になる類のものなので仕方ないとはいえ、ちょっと残念ですね。
高梨はとりあえず主夫をするようですけど、頑張りやなんだから、いい方向に仕事が見つかるといいのにね。

いろいろツッコミたいところもありますが、明るい政界モノでした。
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