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情愛のリザーブシート
藍生 有著 / 水名瀬 雅良〔画〕
オークラ出版
プリズム文庫(2007.2)


千尋は親友に誘われてイタリア料理店「トスカ」を訪れる。出てきた料理はどれも完璧なまでに自分好み。驚く千尋の前に現われたオーナーシェフは、なんと6年前にミラノでつきあっていた年下の恋人拓磨だった!
当時は甘く激しい恋に溺れた千尋だったが、拓磨の傲慢な束縛に疲れ果て、黙って逃げるように日本に帰りそれきりだった。
強引だが包容力もある大人の男に成長した拓磨に、再び求められた千尋は!?
守沢拓磨(もりさわたくま・26歳)×永池千尋(ながいけちひろ・28歳)
イタリアレストランシェフ×家具のセールス&バイヤー

聞いたことのないお名前だな~と思ったらデビュー作でした。
話の運びやキャラの言動に唐突さや不自然さがあるものの、「情愛のリザーブシート」「情熱のドルチェヴィータ」と二編で、結構きちんとまとまってると思います。

6年前、留学先のミラノの語学学校で二人は出会いました。千尋にひと目ぼれした拓磨の粘り強いアタックで千尋も陥落、恋人同士となります。
しかし始めは良かったのですが、拓磨の束縛や独占欲がだんだんと激しくなり、千尋の行動に煩く口を出し、そのくせ自分は一晩中友達と飲んでいるなど、身勝手さが目立つようになっていきます。

千尋の留学の目的は、就職前に大好きなイタリア家具に直接触れることで、日本でもイタリア家具に関わる仕事につくことが夢でした。拓磨はイタリアンのシェフになるための修行中だったのですが、「将来は千尋と一緒に店をやりたい」と、千尋の考えなど考慮することなく自分の夢ばかりを口にします。
そんな拓磨に千尋は口を噤みがちになり、やがて拓磨の愛情の重さに耐えられなくなって、何も告げずに黙って帰国してしまい、二人の関係は終わりを告げます。

しかし、6年後に親友に誘われて行ったイタリアンレストランで、二人は再会します。そこが拓磨の店だったんですね。
その後、映画館で偶然に再会。拓磨に客席でいきなりキスされて、千尋は拓磨のマンションへ連れて行かれ、抱かれてしまいます。このあたり、すごく唐突で不自然なんですよね。とても気になりました。その後6年前のことは二人ともおくびにも出さず、再びまるで幸せな恋人同士のような日々が始まります。これもおかしいと思う。
千尋は謝らなくちゃとは思ってるんだけど、拓磨も何も聞かないからタイミングを逃して言えないんですが、聞かない拓磨も変だよなーと思うんですよ。
その後、親友が拓磨と付き合い始めたと誤解した千尋は、再び拓磨に別れを告げてしまいます。

千尋は自己完結の人なのですね。
ミラノにいた時も、不満を口にできず、再会してからもひとりでグルグルして拓磨の気持ちを想像するだけで、聞きもせず勝手に結論を出してしまう。
そのあたりのことがそもそも6年前の別れの時から遠回りの原因になったんですが、二編めの「情熱のドルチェヴィータ」では、その辺を問題にして、上手いことまとめていますね。
拓磨から同居を提案されて、またひとりで考え込んでしまうんですが、親友の言葉で目が覚め、不安を口にして伝えたり話し合おうとしない自分の悪いところにきちんと気づくことができています。
そして拓磨も、かつての自分が千尋の気持ちをきちんと考えてあげなかったことを悪かったこととして認め、6年経った今では、そういうこともできるようになっている。

若かった時は、お互い余裕がなくて、二人とも自分の気持ちが一番だったんですよね。片方は愛情を押し付けるばかりで、片方は不満を抱え込むばかり。
お互いが何を望んでいるのか話し合わないと駄目ってことですよね。千尋の親友の「一人で恋愛しているみたい」とはまさにその通りで、千尋だけでなく、昔の拓磨もそうだった。
けれど、20歳の時は勢いと押しの強さだけみたいだった拓磨に、すごく成長の後が見えました。

「情愛のリザーブシート」だけだと、腑に落ちない点が目立つんですが、一冊を通して一応まとめた形になっていました。
自分の店で『王様』と言われている拓磨が、千尋と再会する前から、千尋のための指定席を用意しているんです。その席は『女王様の椅子』と言われ、千尋が現れるまでは誰も座ったことがなく、密かに注目の席だったんですが、二度目に千尋が現われた時、その席に座らされて店中の注目を浴びるんです。千尋は何で皆が見るのか意味がわかりませんけど。自分の店とはいえ、拓磨、堂々としてますよね(笑)だけど冷やかされて恥ずかしそうにする拓磨は可愛らしいと思います。でも、その椅子の上でHするのはちょっとヤリ過ぎだと思いました。

オビは「一生かけて償えば許してやる」なんて、一見傲慢ぽいですけど、実はこれは甘い睦言として囁かれる言葉です。
不器用な二人が遠回りする、甘い恋のお話でした。
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