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子供に内緒で
いおか いつき著 / カズアキ画
幻冬舎コミックス
リンクスロマンス(2007.1)


柔和な顔立ちをもつ鳥城裕真はゲイであることを隠し、子供向け番組の司会をしていた。
数年間恋人もおらず、寂しい生活をしていたある日、書店で強面の容姿をした男に呼び止められる。出版社で絵本の営業をしているという塩崎は、子供に好かれるコツを学ぼうと声をかけたのだった。
何かと塩崎にアドバイスをしたり、普段の生活でも会うようになると、彼のひたむきな姿勢に、好みではないのに惹かれてしまい…
塩崎哲也(しおざきてつや・もうすぐ39歳)×鳥城裕真(とりしろゆうま・25歳)
絵本専門出版社営業マン×仕事は子供番組のMC1つのみのタレント

これは面白かったです。
展開がとっても自然。惹かれていく過程に違和感がないんですよね。
先日の「未完の恋」はちょっとあれでしたけど、これはいい。
お話は、どちらかというと、ほのぼの系でしょうか。

裕真は大学時代、現在の事務所にスカウトされてタレントになりましたが仕事はほとんどありませんでした。しかし自分でオーディションを受けて合格した民放の朝の子供番組の司会を務め、それが当って二年間、その仕事を続けています。
しかし、子供番組ということで制約も多く、醜聞を避けるため夜遊びは止められるし、イメージが壊れることを防ぐため、他の番組への出演も許されません。裕真はゲイなんですが、そんなことが公になれば、どんなスキャンダルになるかわかりません。二年前に恋人と別れてからは、同じ嗜好の者が集まる場所へ行くことも自粛していて、そちら方面のおつきあいも全くありません。

そんなある日、番組の収録後立ち寄った本屋で、塩崎と出会います。

大柄でがっしりとして、短く刈った黒髪に、一重の目は険しく、眉間にシワを寄せた、子供なら泣き出しそうな強面の男。出版社の営業マンであるらしい彼が、自社の本の売り込みをしているところをたまたま見てしまいますが、見た目とは違って押しが弱く、案の定、店員からいい返事はもらえていません。
その後、その場を離れ、児童書コーナーで子供に気づかれ、囲まれてしまった裕真は、しばらく子供たちの相手をしてから書店を離れますが、店を出たところで、追いかけてきた、かの営業マンに声をかけられます。
聞くと、なかなか絵本の営業が上手く行かず、そんな時先ほどの子供に囲まれる裕真の姿を見て、子供が好きなものや好かれるコツを教えて欲しいというのです。
しかし、仮にも子供に関わる仕事をしていながら、塩崎と名乗るその男は、裕真を知らない様子。裕真は決して有名人ではありませんが、子供とその親にはそこそこ顔は知られています。
そこで裕真は塩崎の頼みを聞く代わりに、条件を出します。
「まずは俺の名前を知ってから」 
つまり、勉強してこいってことですね。
そして一週間後、収録を終えてTV局を出る裕真の目の前に塩崎が現れます。

出会いは、ありふれた状況とは言えませんが、最初にも書いたように、ここから二人が親しくなっていく様子はとても自然です。
食事をしながらアドバイスをして、お互い身の上なんかも話したりして、流れで自然に携帯電話の番号とアドレスを交換。塩崎は裕真の番組を熱心に見て感想をメールしてくれたり、自分の仕事にも裕真のアドバイスを活用していることなどを話してくれます。裕真も、塩崎の出版社の新刊絵本を見て、感想を送る。また食事しましょうということになる。裕真がパソコンを欲しいと思っていることがわかると、PC会社をリストラされて今の会社に移った塩崎は、得意分野ということで、PCを買うために一緒に買い物に行くことになる。設定もできない裕真のために、では私が行きましょうということで、家にも呼ぶようになる。
経緯に、全然無理がないんですよね。

塩崎は、見た目は恐そうですが、内面はとても穏やかです。最初に見たとおり、押しが弱かったり要領の悪いところもあるのですが、それがかえって塩崎の人の良さや暖かさ、真っ直ぐさを感じさせます。
しかし、裕真の好みのタイプとは全然違うということもあって、裕真は塩崎に対して、好かれたいと変に意識せずに済み、そのままの自分でいられて居心地が良く、一緒にいることがどんどん楽しくなっていくんですね。
裕真とのつきあいは塩崎にとってもいい影響を及ぼして、二人とも「何かいいことあった?」と周りに聞かれるほど、明るい顔つきとなっていく。

気づかないうちに好きになっていた…ということなんですが、親しくなっていく過程も心が動いていく過程も、唐突さがなく、穏やかな恋の始まりが読んでてほのぼのと暖かい感じです。「ん?」と引っかかりを覚えることがないせいで、スラスラとページも進む。

しかし、そんな穏やかな日々とは裏腹に、裕真の仕事に影が差します。番組スポンサー会社の社長が裕真に目をつけ、誘いをかけてくるのです。言うとおりにしないと、即、降板だと。
追いつめられた裕真はホテルまで行くのですが、そこで偶然塩崎に会い、塩崎の顔を見た裕真は、たとえ仕事のためでもイヤな男に抱かれることはできない、と塩崎を誘いその場を離れます。
しかし、これで仕事を失ったと自棄になった裕真は、塩崎を無理矢理ホテルに引っ張り込み、つまり・・・上に乗っかってしまいます。
仕事を失い、塩崎からの連絡は途絶え、全てを失ってしまった裕真。

しかし、ちゃんと恋にも仕事にも起死回生の場面が巡ってきます。頑張る裕真がとてもいいし、ヘタレな塩崎も、凄く頼れる男らしい一面を見せてくれて素敵です。

恋愛だけでなく、仕事でも二人にとっていい形に締めてあるので、読後感もとても良かったです。
裕真が本当に子供が好きなのが伝わってきて好感度も高い。
そしてぶきっちょで誠実な39歳のオヤジが、思いのほかステキでやられました。
コメント
この記事へのコメント
こんにちは、mimuさん。

やっと読みました。二人の関係が自然でとてもよかったですね。特に塩崎の無骨だけど誠実な人柄が良かったです。年の差はあるけど、14歳も年上の塩崎の方が何故か可愛く思えました。

裕真の降板の時はどうなるかと思いましたが、塩崎が「アノ不器用な塩崎?」と思えるほどカッコよかったです。

TB、宜しくお願いします。
2007/09/12(水) 14:53 | URL | 桃 #-[ 編集]
>桃さん、こんばんは~。

好きになっていく過程が自然でしたよね。
違和感なく気持が伝わってくるので、引っかかることもなくスイスイ読みました。
読後感も良かったし、オヤジ塩崎も素敵だったし~!(笑)
このいおかさんはアタリですね。

TBありがとうございます~!
こちらからもよろしくお願いします。

2007/09/12(水) 19:24 | URL | mimu #-[ 編集]
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2007/09/12(水) 14:54:58 | 桃の楽園