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紳士で野獣
橘 かおる著 / 櫻井しゅしゅしゅイラスト
海王社
ガッシュ文庫(2007.2)


君の淫乱な姿をネット上に流されたくなくば、素直に感じろ――優秀な入国審査官として空港で働く聖也のライバルは、英国貴族の教育を受けた紳士ながら冷淡な態度の将和。
しかしある夜、将和が実は内通者を探る潜入捜査官であることを知った聖也は口封じのため将和に媚薬を使われ犯されてしまう――。
感じてたまるかと屈辱に抗いつつも、将和の傲慢な言葉攻めと灼熱の楔に、聖也は甘く淫らに喘いだ。
だが全てが終わると、打って変わって優しく身体を気づかう将和に聖也は戸惑い…。
仲倉将和(なかくらまさかず・28歳・別名/田中)×柚木聖也(ゆずきせいや・26歳)

よくあるお仕事BLかと思っていたんですが、ちょっと変わった設定で、毛色の違うものでした。

聖也は、悪意を持った人間を敏感に察知するという特殊能力を持っています。それを生かして入国審査官として着実に成果をあげているのですが、中学生の頃、校内で起きた盗難事件の犯人をやはりその能力で言い当てたことで周りから気味悪がられ避けられた経験から、仕事場ではそれを「勘がいい」ということにして周りには伏せていました。
ところが、その能力を同僚の田中に見抜かれてしまいます。

田中は警視庁公安部内に設けられた独立機関『G機関』に所属する刑事で本名は仲倉といいます。聖也の仕事場に、田中と言う偽名を使い、実は潜入捜査をしているんですね。
捜査の目的は密入国。重要指名手配犯の密入国が数件続き、入国審査官の手引きが疑われ、聖也はその被疑者となっていたのです。

実はこの仲倉もまた特殊能力…というか特殊な体質の持ち主なんです。身体に人より大量の静電気を帯びる体質で、対する人間の一方かまたは双方に敵意がある場合、手で触れると高圧電流が相手に流れてしまうのです。笑。
それは人だけに限らず、電気機械類にも影響を及ぼします。そのため、絶縁性の黒の手袋をいつも身につけているんですね。でないとエレベーターにもタクシーにも乗れない。
仲倉の能力は、パソコンの機能をも狂わせ、セキリュティのかかったパソコンでも、素手で触れるだけで暗証番号も必要とせず、機密事項を開くことができます。
その能力を使って、ある晩、仲倉が審査官たちのパソコンを密かに調べていたところ、そこへ聖也が現れ、正体がバレてしまいます。
その口止めのため、聖也は媚薬を使われ、仲倉に執拗に抱かれて写真を撮られてしまう。

密入国者の手引きをしているのは、実は聖也なんですね。聖也には心臓の悪い妹がいるのですが、強盗に襲われ発作を起こした妹をヤクザの竜崎という男に助けられて以来、穏やかで優しいヤクザらしくない竜崎と兄妹は、親しい友人としてつきあいを続けてきました。
その竜崎に、不遇な事情がある者だからと頼む、と言われ、密かに入国審査の際、見逃しをしていたのです。
人の悪意を感じることの出来る聖也でしたが、竜崎からも入国しようとする外国人からもそれは感じられず、聖也は竜崎の話をそのまま信じ、世話になった竜崎の頼みだから・・・とそれを聞いていたのです。

しかし仲倉が捜査官であると知った聖也は、疑われていることを竜崎に告げ頼みを断ろうとします。するとそれまでの穏やかな仮面を脱ぎ捨て、竜崎は冷酷なヤクザの顔を表に現します。
それでも聖也が断ると、竜崎は妹を人質にとり、無理矢理聖也に密入国の手引きをさせようとします。
それを察した仲倉と、コンビを組む薄野(すすきの)は、それを阻止しようとするのですが・・・。

・・・で、この仲倉とコンビの薄野ですが、彼もまた特殊能力を持っています。薄野の場合は、触れたものの記憶を読み取ることができる。
このお話は、こんなサイキックな方たちの、恋と事件のお話でした。スパイダーマンばりの壁をつたうアクションもあり。こんな話だとは思わなかった(笑)

実際罪を犯していた聖也は、逮捕される代わりに、ラストではこのG機関に委嘱され、刑務所で罪を償う代わりに、その能力を機関のために使うことになります(この辺とってもご都合主義)。
続編も決まっているので、特殊能力を持った男たちが事件解決に駆け回る、そんなシリーズの序章と読むこともできます。

能力は置いておいても、キャラはなかなか魅力的でした。
仲倉は英国貴族の血を引く一見紳士なんですが、実は感情欠落の鉄仮面男。情緒的に問題があるようで、自分が恋していることにも言われるまで気づかないような朴念仁で、その不器用ぶりがなかなか可愛らしかったですね。そして相棒の薄野は、そんな仲倉にするどい突っ込みを入れる飄々としたタイプで、二人のボケと突っ込み具合も面白かったです。
ここに、仲倉と恋人になった聖也が入り、続編は3人の能力を生かした活躍が見られそうですが、想像すると結構次も読んでみたい気がします。

お話としては、ちょっと都合よくまとめすぎの部分もあり、また、愛し合う関係になると、手袋を取っても電流が流れないなんて出来すぎだとも思いますが、もともとG機関なるものも存在しないし、フィクションとして受け入れてしまったほうが楽しいと思います。
ただ、やはり特殊な設定ですから、そのあたりが好みに合わないと、ハズすだろうと思うので御注意。
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