週刊連載でトップを獲れば、作品が映画化!?
小説家の吉井に、そんな大型企画を持ってきたのは、大学時代の恋人で編集者の神尾。しかも性描写が苦手な吉井に官能物を書けと迫ってきた。
一方的に振ったくせに、今度は強引に執筆を迫る神尾に、過去の執着を呼び覚まされた吉井は「それならお前が官能を教えろ」と条件を出す。
ところが神尾はためらわずに吉井を激しく抱いて…!?
小説家の吉井に、そんな大型企画を持ってきたのは、大学時代の恋人で編集者の神尾。しかも性描写が苦手な吉井に官能物を書けと迫ってきた。
一方的に振ったくせに、今度は強引に執筆を迫る神尾に、過去の執着を呼び覚まされた吉井は「それならお前が官能を教えろ」と条件を出す。
ところが神尾はためらわずに吉井を激しく抱いて…!?
神尾慎一(かみおしんいち)×吉井光(よしいひかる)
同い年、28歳。編集者×小説家
大学卒業間際に書いた小説が賞を貰い、それ以来吉井は恋愛小説家として作品を重ねてきました。そんな吉井の元に、週刊で小説を書かないかという依頼がやってきます。他の作家も含めた3人でそれぞれ同時に連載を行い、人気投票をして、連載終了後1位になった作品は映画化もするというもの。
そして吉井執筆の際には担当にもなる、依頼を持ってきた男は、吉井の愛情に「俺には荷が重い」と一方的に別れを告げてきた元恋人の神尾だったのです。
6年ぶりの再会に、驚きと喜びを感じる吉井ですが、神尾の左手の薬指にはプラチナの指輪が。
そして神尾はあくまで冷静で、週刊連載に二の足を踏む吉井に向かって、吉井の作品は最近は行き詰っていると容赦なく手厳しい言葉を投げつけてきます。新しい試みに挑戦するべきだと。
短い間に小説を書き上げ、しかも人と競うというプレッシャーに耐えられないと、吉井は執筆を断りますが、その後も神尾は諦めず、しつこく食い下がってきます。そして、再び耳に痛いことを言ったあげく、性描写を避けた繊細で綺麗な恋愛物を書いてきた吉井に、「濡れ場を入れろ」と要求してくる。
突然別れを告げられた時の哀しみ、神尾が結婚したという事実、小説家としての吉井に向けられる厳しい言葉。
様々な感情が渦巻いた吉井は、自分を捨てておきながら無理な要求を強引に押し通そうとする神尾への憤りもあって、挑発するように言ってしまうのです。だったら連載をしているあいだ、濡れ場がどんなものなのか、お前が俺に教えろ、と。
意地を張って挑発したものの、神尾は即座に断るだろうと吉井は思っていました。しかし、神尾はすぐに吉井をホテルへと連れ込んで・・・。
そうして連載を引き受けることになった吉井は、担当となった神尾と共に、仕事をすることになります。神尾を今でも忘れられない吉井は、再び神尾に抱かれ、そして大学生の頃より大人になった神尾の姿を見て、想いを再び募らせていきます。
しかし、二人の関係は仕事のため。そして神尾には妻がいます。
吉井が連載することになったテーマは、偶然神尾と再会する以前から少しずつ書いていた『不倫』がテーマの恋愛物で、上司と不倫するOLの想いを描いたこの作品は、吉井と神尾の関係にも心理的にシンクロするような形で進行します。小説の内容と神尾と吉井の恋愛が同じ経過を辿るとかいうことではないんですが、OLの想いに吉井が同調することによって、物語の主人公の気持ちや言葉はよりリアルになって作品に反映されるというか。
神尾と一緒に、議論しながら話を書き上げたとき、吉井の想いもある面、昇華されるような感じ。仕事を通して恋愛が盛り上がっていくのが秀さんの特徴ですが、今回は吉井の書く小説もそこに大きな一役を買っていると思います。吉井の方の迷いや切なさや神尾への想いはじっくりと伝わってきます。
しかし、神尾側はどうかというと、想像はつくものの、吉井側が生々しいのに反して、ちょっと影が薄いような気はしました。神尾の良さは十分伝わってきましたが、全て吉井の目を通してみる神尾だった気がします。
けれど、実らない恋への切なさはたっぷり堪能できました。切ないとは言っても、女々しくなくて、真摯に仕事に打ち込む二人の姿がきちっと書かれているところも、相変わらず良かったです。
神尾がなぜ吉井に別れを告げたのか、体裁のいい言い訳とか、拠所ない事情とかを取り繕わず、「包容力がなくて未熟だった」と片づけた開き直りも真実っぽくていいんじゃないかな。神尾の指輪については想像どおりですからご心配なく。
二人とも子供で、その時はそうする以外仕方がなかったとしても、成長して大人になった目で選び取った関係なら、ずっと確かなものだと思えますよね。
そしてこれにもまたラストにちょっとした仕掛けがあります。
連載が終わり、一冊の本として出来上がった小説「焔は蒼く」に、吉井が神尾にせがまれてサインをするんですが、一言添えた言葉が「百九十ページの九行目を神尾に送ります」という言葉。
さて、「焔に蒼く」の問題の箇所に何が書いてあるのか、何も明かされていないんですが、実はこの「ノンフィクションで感じたい」本書の190ページ九行目が、吉井が神尾に捧げた言葉になっています。
こういう遊び心がいいですね。
さてなんという言葉を捧げたのか。
気になるかたは確かめてみましょう。
同い年、28歳。編集者×小説家
大学卒業間際に書いた小説が賞を貰い、それ以来吉井は恋愛小説家として作品を重ねてきました。そんな吉井の元に、週刊で小説を書かないかという依頼がやってきます。他の作家も含めた3人でそれぞれ同時に連載を行い、人気投票をして、連載終了後1位になった作品は映画化もするというもの。
そして吉井執筆の際には担当にもなる、依頼を持ってきた男は、吉井の愛情に「俺には荷が重い」と一方的に別れを告げてきた元恋人の神尾だったのです。
6年ぶりの再会に、驚きと喜びを感じる吉井ですが、神尾の左手の薬指にはプラチナの指輪が。
そして神尾はあくまで冷静で、週刊連載に二の足を踏む吉井に向かって、吉井の作品は最近は行き詰っていると容赦なく手厳しい言葉を投げつけてきます。新しい試みに挑戦するべきだと。
短い間に小説を書き上げ、しかも人と競うというプレッシャーに耐えられないと、吉井は執筆を断りますが、その後も神尾は諦めず、しつこく食い下がってきます。そして、再び耳に痛いことを言ったあげく、性描写を避けた繊細で綺麗な恋愛物を書いてきた吉井に、「濡れ場を入れろ」と要求してくる。
突然別れを告げられた時の哀しみ、神尾が結婚したという事実、小説家としての吉井に向けられる厳しい言葉。
様々な感情が渦巻いた吉井は、自分を捨てておきながら無理な要求を強引に押し通そうとする神尾への憤りもあって、挑発するように言ってしまうのです。だったら連載をしているあいだ、濡れ場がどんなものなのか、お前が俺に教えろ、と。
意地を張って挑発したものの、神尾は即座に断るだろうと吉井は思っていました。しかし、神尾はすぐに吉井をホテルへと連れ込んで・・・。
そうして連載を引き受けることになった吉井は、担当となった神尾と共に、仕事をすることになります。神尾を今でも忘れられない吉井は、再び神尾に抱かれ、そして大学生の頃より大人になった神尾の姿を見て、想いを再び募らせていきます。
しかし、二人の関係は仕事のため。そして神尾には妻がいます。
吉井が連載することになったテーマは、偶然神尾と再会する以前から少しずつ書いていた『不倫』がテーマの恋愛物で、上司と不倫するOLの想いを描いたこの作品は、吉井と神尾の関係にも心理的にシンクロするような形で進行します。小説の内容と神尾と吉井の恋愛が同じ経過を辿るとかいうことではないんですが、OLの想いに吉井が同調することによって、物語の主人公の気持ちや言葉はよりリアルになって作品に反映されるというか。
神尾と一緒に、議論しながら話を書き上げたとき、吉井の想いもある面、昇華されるような感じ。仕事を通して恋愛が盛り上がっていくのが秀さんの特徴ですが、今回は吉井の書く小説もそこに大きな一役を買っていると思います。吉井の方の迷いや切なさや神尾への想いはじっくりと伝わってきます。
しかし、神尾側はどうかというと、想像はつくものの、吉井側が生々しいのに反して、ちょっと影が薄いような気はしました。神尾の良さは十分伝わってきましたが、全て吉井の目を通してみる神尾だった気がします。
けれど、実らない恋への切なさはたっぷり堪能できました。切ないとは言っても、女々しくなくて、真摯に仕事に打ち込む二人の姿がきちっと書かれているところも、相変わらず良かったです。
神尾がなぜ吉井に別れを告げたのか、体裁のいい言い訳とか、拠所ない事情とかを取り繕わず、「包容力がなくて未熟だった」と片づけた開き直りも真実っぽくていいんじゃないかな。神尾の指輪については想像どおりですからご心配なく。
二人とも子供で、その時はそうする以外仕方がなかったとしても、成長して大人になった目で選び取った関係なら、ずっと確かなものだと思えますよね。
そしてこれにもまたラストにちょっとした仕掛けがあります。
連載が終わり、一冊の本として出来上がった小説「焔は蒼く」に、吉井が神尾にせがまれてサインをするんですが、一言添えた言葉が「百九十ページの九行目を神尾に送ります」という言葉。
さて、「焔に蒼く」の問題の箇所に何が書いてあるのか、何も明かされていないんですが、実はこの「ノンフィクションで感じたい」本書の190ページ九行目が、吉井が神尾に捧げた言葉になっています。
こういう遊び心がいいですね。
さてなんという言葉を捧げたのか。
気になるかたは確かめてみましょう。
この記事のトラックバックURL
http://0hz.blog112.fc2.com/tb.php/136-2631371a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック