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欲望の犬
中原 一也著 / 奈良 千春挿画
プランタン出版
f-LAPIS文庫(2007.1)


地方検事の水上は、雨の中拾ってきた哲哉と獣じみたセックスをしてしまい、そのまま家に居着かれてしまう。
愛されていると錯覚するほど水上を欲しがって抱くくせに、いくら身体を繋げても哲哉は素性を明かそうとしなくて、水上は自分だけが振り回されている気がしてならない。以前会ったことがあると仄めかされても、詳しくなるのは身体のことばかり。
偶然哲哉が人気上昇中のモデルだとわかり、水上は行きずりの関係を思い知らされて―。
大貫哲哉(おおぬきてつや)×水上護(みずかみまもる・28歳)

大貫は推定22~3歳くらいでしょうか。
f-LAPISですし、イラストはエロチックな奈良さんだし、タイトルは『欲望』なので、どんな濃いお話かと思いましたが、想像したのとは違ってました。
年下ワンコ攻めですけど、ワンコというより、もっとワイルドな野良犬系です。

ある雨の晩、ちょっとしたきっかけでびしょ濡れの大貫と出会い、家へ入れてやった水上。
シャワーを貸して食事をさせて、そして身体まで重ねてしまいますが、それ以来大貫は水上のマンションを我が物のように出入りするようになってしまいます。

ゲイである水上が、それまでつきあってきた男は、たとえ身体だけの関係であっても、大人で優しくスマートなつきあいのできる相手ばかりでした。
ところが年下の大貫は傍若無人に水上の生活に入り込み、欲望に任せて激しく水上を抱き、水上のペースを狂わせます。
けれどもそういう大貫は水上にとって新鮮で、それまで男同士ということで昼間のデートなど経験したことのない水上に、食事をしてボーリングをして映画を見て・・・という、ごく当たり前だけれど無縁だった時間を味わわせてくれるのです。

そんな大貫に惹かれていく水上ですが、大貫は自分の素性は一切明かしてくれず、住む場所も連絡先も仕事も何も知らないことに気づきます。
大貫とは、どこかで会ったような気もするのですが思い出せず、大貫に聞こうとしてもはぐらかされてしまい、言いたくないということは、身体だけの関係とわり切られているのだろうとしか思えず問い詰めることができないまま。

そんなある日、水上の元カレである先輩検事・幸田(こうだ)が再び水上の前に現れ、水上を口説いてきます。
幸田とは、幸田の結婚によって別れたのですが、妻とは離婚が決まっていて、その原因も、実は幸田が水上を忘れられず、そんな幸田の気持ちに薄々気づいた妻が浮気をしたからというもの。
優しく、穏やかで紳士的な幸田のアプローチに、大貫の気持ちがわからない水上は揺れてしまいます。
そんな時、幸田が実は人気モデルだということを知り、水上は、そんな男が、スキャンダラスな男同士の関係を本気で考えているわけがないと思い込んでしまうのですね。追い討ちをかけるように、大貫のマネージャーが現れ、大貫が別れたがっている、と手切れ金まで渡されてしまいます。

大貫を忘れ、幸田とヨリを戻す方が幸せになれると思おうとする水上…。奈良さんのイラストの幸田が素敵なので、私もそんな気がしてしまいました(笑)。結婚するからとアッサリ水上を捨てていくのはちょっとアレですけど、そういう自分の非をわかってて、さすが検事というか、公平で懐深くて、やはり大人なのですね。出来すぎた男なあたりが、当て馬となってしまう運命だったのでしょうか(笑)。

けれど、こっちの方がいいよと思っても、そういうわけにはいかないのが恋心だし、大貫の真実が明かされると、年下らしい一途さはやはりいいなと思うので、大貫でも良かったですけどね(笑)。
このラストから先が楽しみだと思うし、私も大貫の○○姿は見てみたいです。
願わくば幸田にはいい人をあてがってあげて、幸せにしてあげて欲しい。

検事の水上は、仕事にはクールな眼鏡美人で、眼鏡好きにはよろしいかも。
素直じゃない年上受けはよくいますけど、意味なく意地を張ってるわけじゃなくて、素直になれない理由をちゃんと理解できたところが良かったと思います。無理なく、水上の揺れる気持ちが入ってきました。

中原さんお得意の『オヤジ』の香りはしませんでしたが(笑)、なかなか面白かったです。
やっぱり幸田が気になるなぁ~。
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