大正11年――平民出身の海軍士官・真純は、突然の異動により危険人物と名高い高月宮明人の部下となった。
皇族でもある高月宮の不埒な言動に最初は呆れる真純だが、その裏に隠された彼の優しさと孤独に触れ、次第に惹かれ始めていく。
そんな中、金塊と引き換えに身の安全を求めていたロシア将校が失踪し、二人は急遽上海に向かうことに。
しかしそこには想像を超える陰謀と罠が待ち受けていて!?
皇族でもある高月宮の不埒な言動に最初は呆れる真純だが、その裏に隠された彼の優しさと孤独に触れ、次第に惹かれ始めていく。
そんな中、金塊と引き換えに身の安全を求めていたロシア将校が失踪し、二人は急遽上海に向かうことに。
しかしそこには想像を超える陰謀と罠が待ち受けていて!?
高月宮明人(たかつきのみやあきひと・32歳)×来栖真純(くるすますみ・28歳)
大正時代ものです。
皇族の海軍少佐と平民出身の海軍大尉の身分差カップル。
平民出身で差別を受けながら苦労して大尉となった真純は、海軍内での派閥争いに巻き込まれ、まるで捨て駒のように、危険人物と言われる高月宮の部下へと異動を命じられます。高月宮はその言動から危険人物と噂されていますが、皇族であるため、彼を煩く思う上層部もへたに手を出せず、真純の異動には高月宮の動向を探らせようとする思惑が見え隠れしていました。
上の思惑に都合よく使われてなるものか、と真純は高月宮の部下としての仕事を真っ当しようとします。
が、実際目の当たりにした当の高月宮は、噂に違わぬ不埒な男で、真純は皇族らしからぬ彼の言動に驚き呆れてしまいます。
皇族と平民という厳然たる身分差もですが、全く皇族らしくない高月宮と、生真面目で堅物な真純とのカップルが好きでした。
奔放で大胆で軽薄で放埓な高月宮は、およそ皇族のイメージとはかけ離れた男で、こんなタイプでは、確かに周りは扱いにくいだろうし、皇族の中でも問題児だろうと思われます。
彼のそういう言動が、ただ性格だから、というわけではないのがいいです。その出生や生い立ちに凄惨な事情があり、それが明らかになるにつれて、高月宮の背負ったもの、彼の孤独がはっきりと見えてきて現在の彼と繋がるんですね。
高月宮が持つ本来の姿が見えるにつれ、真純が惹かれていくのも自然に共感できたと思います。高貴な生まれなのに、影と傷をもち、時折、野育ちの子供のような高月宮は素敵でしたもん(笑) 『ギャップ』が好きなので。
まったく身分の違う相手を堅物の真純が受け入れるには相応の煩悶があるわけですが、身分は違っても共通の孤独が二人にはあって、そういう面で相手を理解し、惹き付けられるというのは、ちゃんとした理由のひとつになっていたと思う。
どことなく軽薄そうな高月宮が、真純を抱く時は最初から誠意を尽くしていました。それを信じられないでいるのは真純の問題で、少なくとも身分が上の高月宮が真純を不要に不安にさせているわけではないというのもいいと思ったところですね。なんといっても相手は皇族ですもの。相手の揺るがない愛情がなければ、平民から手を伸ばすわけにはいかないですからね(笑)。
恋人としてきちんと気持ちが通じ合うまでの、二人の立ち位置や気持ちの比重が、私としてはしっくりくる感じだったですね。
高階さんのイラスト効果はもちろんあったと思います(笑)。
好きな時代ものだし、二人の恋愛面も、好みの展開でした。
ただ文句なしかといえばそういうわけでもないんですね。
二人の背後で動く陰謀や罠が、どうもはっきりしてなくて。
そして『上海』と謳いながら、実は異国ムードもそれほどではなかったように思います。
二人の周りで渦巻く軍の思惑や、高月宮の皇族としての立場など、まだ不透明だったり、これから問題が起きてきそうだったり、いろいろとすっきりしない部分が多すぎました。
思わせぶりでしたので余計にそう感じましたが、作者さまは続編を書きたいという気持ちもあるようなので、もしそうなら、ちゃんと決着つけてまとめて欲しいですね。お話の屋台骨がグラグラしていては、読後、微妙になんだか物足りません。
次があれば、高階さんの素敵イラストもまた見られるので、そのへん期待したいと思います。
大正時代ものです。
皇族の海軍少佐と平民出身の海軍大尉の身分差カップル。
平民出身で差別を受けながら苦労して大尉となった真純は、海軍内での派閥争いに巻き込まれ、まるで捨て駒のように、危険人物と言われる高月宮の部下へと異動を命じられます。高月宮はその言動から危険人物と噂されていますが、皇族であるため、彼を煩く思う上層部もへたに手を出せず、真純の異動には高月宮の動向を探らせようとする思惑が見え隠れしていました。
上の思惑に都合よく使われてなるものか、と真純は高月宮の部下としての仕事を真っ当しようとします。
が、実際目の当たりにした当の高月宮は、噂に違わぬ不埒な男で、真純は皇族らしからぬ彼の言動に驚き呆れてしまいます。
皇族と平民という厳然たる身分差もですが、全く皇族らしくない高月宮と、生真面目で堅物な真純とのカップルが好きでした。
奔放で大胆で軽薄で放埓な高月宮は、およそ皇族のイメージとはかけ離れた男で、こんなタイプでは、確かに周りは扱いにくいだろうし、皇族の中でも問題児だろうと思われます。
彼のそういう言動が、ただ性格だから、というわけではないのがいいです。その出生や生い立ちに凄惨な事情があり、それが明らかになるにつれて、高月宮の背負ったもの、彼の孤独がはっきりと見えてきて現在の彼と繋がるんですね。
高月宮が持つ本来の姿が見えるにつれ、真純が惹かれていくのも自然に共感できたと思います。高貴な生まれなのに、影と傷をもち、時折、野育ちの子供のような高月宮は素敵でしたもん(笑) 『ギャップ』が好きなので。
まったく身分の違う相手を堅物の真純が受け入れるには相応の煩悶があるわけですが、身分は違っても共通の孤独が二人にはあって、そういう面で相手を理解し、惹き付けられるというのは、ちゃんとした理由のひとつになっていたと思う。
どことなく軽薄そうな高月宮が、真純を抱く時は最初から誠意を尽くしていました。それを信じられないでいるのは真純の問題で、少なくとも身分が上の高月宮が真純を不要に不安にさせているわけではないというのもいいと思ったところですね。なんといっても相手は皇族ですもの。相手の揺るがない愛情がなければ、平民から手を伸ばすわけにはいかないですからね(笑)。
恋人としてきちんと気持ちが通じ合うまでの、二人の立ち位置や気持ちの比重が、私としてはしっくりくる感じだったですね。
高階さんのイラスト効果はもちろんあったと思います(笑)。
好きな時代ものだし、二人の恋愛面も、好みの展開でした。
ただ文句なしかといえばそういうわけでもないんですね。
二人の背後で動く陰謀や罠が、どうもはっきりしてなくて。
そして『上海』と謳いながら、実は異国ムードもそれほどではなかったように思います。
二人の周りで渦巻く軍の思惑や、高月宮の皇族としての立場など、まだ不透明だったり、これから問題が起きてきそうだったり、いろいろとすっきりしない部分が多すぎました。
思わせぶりでしたので余計にそう感じましたが、作者さまは続編を書きたいという気持ちもあるようなので、もしそうなら、ちゃんと決着つけてまとめて欲しいですね。お話の屋台骨がグラグラしていては、読後、微妙になんだか物足りません。
次があれば、高階さんの素敵イラストもまた見られるので、そのへん期待したいと思います。
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