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特別室は貸切中
池戸 裕子著 / ともさか高子イラスト
徳間書店
キャラ文庫(2006.12)


倒産寸前の老舗旅館を継いだ憲之の元を訪れたのは、昔の恋人・葛西。葛西は凄腕プランナーで、依頼もしていないのに、旅館再建のためにやって来たのだ。
一方的に別れを切り出した葛西を、いまだに忘れられない憲之。
「遊びだったらつきあってやる」――葛西は冷然と言い放つが、その瞳は何かを隠しているように苦しげで…!?
葛西英明(かさいひであき・28歳)×伊丹憲之(いたみのりゆき・23歳)

池戸さんは比較的華やかな設定の話と、真面目で地味なお話とあるんですけど、これは「地味」な方でした。山あいの老舗旅館が舞台ということで、家屋や庭等の描写も日本的ですしね。
池戸さんの「地味」は、好きな人は好きだけど、駄目な人は「つまらない」と思うんじゃないでしょうか。
このお話、私は嫌いではないですが、万人にお薦めというほどでもないのかもしれないなー(笑)

憲之が大学生のとき、実家の老舗旅館の傍で、二人は知り合いました。あまり人好きそうではない葛西でしたが、二人は静かな時間を一緒に過ごし、その後も連絡を取り合って、やがてつきあうようになりました。身体を重ねるようになるまでに1年もかかるほど、優しく穏やかなつきあいだったんですね。

しかし、二年前、葛西は突然憲之に別れを告げます。それは一方的なもので、憲之には理由さえわからなかった。
ところが、父の死後、憲之が継いだ老舗旅館『名月楼』が倒産の危機に見舞われると、葛西が再び現れ、再建に手を貸す、と言うのです。

葛西に会い、自分の葛西への想いが少しも色褪せていないことを知る憲之。しかし葛西の態度はとても冷淡でした。
それでも一縷の望みに縋り、葛西に想いをぶつける憲之。
このお話は「逃げる攻めと追う受け」のお話なのです。

どうして葛西が憲之に別れを告げたのか、それでいて何故頼まれもしないのに再び現れて旅館の再建に手を貸そうとするのか、そのあたりがポイントですね。
憲之が必死で想いをぶつけても、葛西は冷淡で時には露悪的なのですが、そんな態度とは裏腹に、憲之の大学の先輩(当て馬)に嫉妬するようなところがあったり、憲之に対して優しさが見え隠れするようなところがあって、ますます「何故?」というところが気になるわけです。

真実は後半まで明かされませんが、個人的には納得できる理由でした。
過去のエピソードを絡めてなかなか上手くまとめてあるように思いました。傷を持ち、苦悩する攻めっていうのがいいですね。
旅館に伝わる伝承の座敷童子「ひとりっ子さま」のエピソードが、実は・・・というのは予想できるんですけど、ちょっといいなと思います。

憲之は、突然の父の死で旅館の副社長になったわけですが、本来は大学卒業後、大手のホテルで修行を積んでから家を継ぐはずだったんですね。しかし、父の死で、急遽なんの経験もないまま旅館業に従事しなければならなくなった。
母は社長、そして女将として健在なもののやはり経営の頼りは夫の存在であったので、憲之がその代わりとして頑張らなければならないわけです。
ところが、前述のような事情の上に、近隣には大手のリゾートホテルなどもできて、老舗の日本旅館の経営が厳しくなるばかりの中、憲之には、なんの手立ても浮かばず、どうしていいのやら皆目検討がつかずにいるわけです。
そんな憲之が、葛西と再会し、葛西への想いと、そして旅館の経営、両方に頑張り、ひとり立ちして行く成長物語でもあります。

ラストでは、ホントに強くなった憲之が見られますが、ちょっと都合良過ぎる感じもしましたね。いえ、何の憂いもないラストなので、それはそれで良かったですけど。
葛西の迷いを全て取り除くために、正攻法を選び、1年かけた憲之って凄いかも。捕まっちゃった攻め、という感じですね(笑)
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