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凍る月-漆黒の情人-
夜光 花著 / 高橋悠イラスト
竹書房
ラヴァーズ文庫(2007.6)


二十歳になったら死ぬ子供…。
そう予言された光陽が、間もなく二十歳を迎えようとしていた。予言を知らず、家の中に閉じ込められるようにして育った光陽は、祖父と約束した「二十歳になったら自由にしていい」という言葉を信じ誕生日を楽しみにしていた。
しかしある日、光陽の前に美術愛好家の梁井と名乗る男が現れる。梁井は光陽を屋敷に呼び寄せ、「契約」を取りつけようとしてくる。
「契約」の内容はとても屈辱的なもので、光陽には耐えられそうになかったが、「お互いが死なない為に必要なことだ」と言われ…。
梁井轟(やないごう)×鳳光陽(おおとりこうよう)
光陽は19歳から20歳になるところ。梁井はわかりません。

人外ものです。そして完結しておらず続きがあるそうです。

人外というと吸血鬼だったり狼男だったりといろいろありますが、梁井は「獣人」。獣に変身するんですが、生きるためには人を食べなければなりません。人喰いは初めて見たかな…?梁井のように人を食べる獣人に対して、「餌」となる種族も存在しています。
知らずに育てられた光陽は、この「餌」になる種族だったんですね。
餌になる種族は獣人と『契約』を交わし獣人から生命力を与えられないと20歳で死んでしまいます。光陽が餌になって梁井に食べられる代わりに、梁井は自分の餌である光陽を生かし続け、それによってお互い共存するわけです。
食べられたら死んじゃうじゃんと思うところですが、光陽のような種族は傷の回復力が異常に早く、それこそ怪我をしても目の前で見る見るうちに回復してしまいます。
残さずいただいたらどうなるんでしょう。

しかし、自分が「餌」であると知らされて、光陽がその屈辱的な立場を簡単に受け入れられるわけがありません。光陽は、死んでもいい、と契約を拒否します。しかし梁井はどうしても光陽と契約したい。
そこで梁井は譲歩するわけですが、「食べられるのがイヤなら血」「血を出すのが痛いなら精液」
結局、光陽は梁井と「契約」し、梁井に“精液”を与えることになります。
BL的に素敵なお膳立てができましたね(笑) 
いろんなこと考えるなぁと、作家の想像力にちょっと感心しました。

「餌」が本作で光陽一人なのに対し、獣人は梁井を含め5人も出てきます。おそらく餌の取り合いになるでしょう。光陽の幼馴染・亨(とおる)も、まだ覚醒していない獣人らしく、光陽に恋心(または食欲)を感じていますので、次には絡んでくると思われます。
また、「餌」となる種族だけでなく、ただの人間まで喰らってしまう狂った獣人・黒澤(くろさわ)など、入り乱れて壮絶なバトルの予感?
「餌」はもともと少ないようですが、獣人密度高いですね。こんなに餌がなかったら、獣化したやつがもっとウロウロしてても良さそうですが・・・。

「人を食べる」ということで、あまりスプラッタが過ぎたら困ったなと思っていたんですが、それほどでもないです。あまりひどいのは商業的にNGだそうです。まあ、BLであんまり内蔵や骨や血が飛び散ってしまっては間口が狭すぎると思いますしね。
このくらいなら大丈夫だし、個人的にもそれで良かったです。

夜光花さんなので油断はできないですが、本作はまだそれほど「おっかない」こともなかったです(笑)
光陽が、ほとんど家から出ずに育った、箱入りの世間知らずの天然さんなので、あんまり緊迫感がないのと、梁井が意外にまともで、光陽を守るためなら身を挺しても・・・というところが愛情一直線っぽく、こんな設定でもそこはかとなく「愛」を感じるんですね。
光陽の幼馴染で友人の亨が覚醒して、どんな風に「餌取り合戦」または「恋の当て馬」として絡んでくるのか、次が気になります。
たった一人の友人ですから、あんまり可哀相なことにはなって欲しくないですけどね。
夜光花さんですから、最後がハッピーとは限りません。
ちょっと怖いです。

同時発売の「ラブ=コレ」で本作品のSSや高橋悠さんのラフ画集、コミックなどが読めます。本編を梁井側から見た話で梁井の気持がよくわかって、これは読んでよかったかも。これを読むと、日本には獣人に協力(?)する組織かなんかがあるみたいなんですけど、話がもっと大きくなるのかな。
高橋さんの漫画が面白くて、笑ってしまいました。
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