FC2ブログ
BL読書感想日記※※※ 詳しくはカテゴリーの「このブログについて」をご覧下さい。

2020/101234567891011121314151617181920212223242526272829302020/12

君の心を眠らせないで
鳩村 衣杏著 / 櫻井しゅしゅしゅイラスト
幻冬舎コミックス
リンクスロマンス(2006.11)


大手飲料メーカーに勤める吉永諒一は、宅配便の誤送がきっかけで同じマンションに住む税理士の沖野司と知り合う。穏やかで芯が強い沖野に好感をもち親しくなるが、ある日、彼が同性愛者だと知る。
戸惑ったものの沖野への好意は変わらず、友人関係を続ける諒一は、いつしか友情以上の想いを沖野に抱いている自分に気づき始める。
けれど無難な人生を歩む諒一には認めがたくて――。
沖野司(おきのつかさ・30歳)×吉永諒一(よしながりょういち・28歳)

これ、本に載っているあらすじからはわかりませんが、記憶喪失モノなんですね。
前半から中盤にかけては、二人が知り合って恋人になるまで。ノンケの諒一の気持ちが沖野に向いていくのがジックリと書かれています。

宅配の誤送がきっかけで言葉を交わすようになった諒一と沖野は、それ以来、外で一緒に食事をしたり、家を行き来したりと親しくなっていきます。話も合うし、冗談も通じるし、穏やかだけれど芯の強い沖野といるのは楽しく、親しい友人ができたことを嬉しく感じていた諒一。
しかし、ある日、諒一は、沖野が男とキスしているところを目撃してしまいます。

沖野が、『ゲイ』であると知ったときの諒一の微妙な気持ちがうまく出ていましたね。世の中にそういうことはあるだろうとわかっていても、実際親しくして、好意を持っていた男がゲイだと知った戸惑いは隠せず、偏見はいけないと常識では思っても特別視してしまうのは止められない。
諒一の戸惑いは沖野にも伝わる。沖野にとっては諒一のような反応は珍しくもないことでしたから。
しかし、そんなことを越えて、諒一はやはり沖野とは友人でいたいと思う。そしてそう言ってくれる諒一を不快にしないように、沖野の方も、それまで通り普通の友人として(影ではかなり気を使いながら)二人の交友は続いていきます。

やがて諒一の心にも友情以上の気持ちが芽生え、二人の想いが通じ合いますが、心だけでなく、身体で沖野を受け入れるまでにも、ちょっとした躊躇いや戸惑いなんかがあるんですよね。
BLでは好きになって想いが通じ合えばいきなり最後までヤってしまうのがほとんどの中、そこに至るまでの過程もまたゆっくりと書かれています。

ここまでで十分お話になるかと思います。
これで終わったら随分地味なお話ではあるけれど、個人的には、派手な設定より、こういう『恋愛』をじっくり書いてくれた方が好きですから。

しかし、これまでの穏やかさをひっくり返すような事件が起こり、二人の関係は一変します。
後半は沖野が記憶を失ってしまうんですね。
かろうじて家族のことは覚えているけれど、それ以外のことは一切忘れてしまう。税理士としての仕事もできなくなります。
そして諒一のことも、恋人であったことも、全て忘れてしまっています。

ここからがちょっと面白い…というと御幣がありますが、二人はまた友人から恋への関係をやり直すような感じなんですね。
前半の諒一と沖野の立場が逆転し、今度は沖野が「ゲイ」ということや諒一との関係に戸惑い、諒一が、以前沖野が感じていたであろう同じ思いを抱くことになる。

戸惑う沖野に時には傷つきながらも、態度には出さずに全てを受け止めて変わらない態度で見守る諒一の心には、最初に二人が知り合った時、自分の戸惑いを受け止めていた沖野の想いが重なります。沖野がしてくれたこと、言ってくれたことがくじけそうになる心を支えてくれる。
諒一が踏み出せなかったとき、沖野は待ってくれていました。そして今度は諒一が。
後半は、ところどころ、ちょっと涙が出そうになりました。

結論を言ってしまうと、沖野の記憶は戻りません。これも珍しいですよね。
二人は出会い恋をして、記憶を失ったあと、もう一度恋をするというお話で、どんな状況であっても、お互いを求める気持ちは無くならないというのは、ある意味運命のような深い絆で結ばれた恋の形だと思うから、これはこれで、こういうラストもあっていいと思います。
二人は再び恋人同士となります。
しかし、完全なハッピーエンドかと言えば、そうとは言えないと思います。やはりちゃんと記憶が戻って全てを思い出すことが、沖野個人にとっても、諒一にとっても、そして二人の関係にとっても一番の幸せだと思うんですよね。

憂いのない、二人の未来が見てみたいですね~。
そんなわけで、後半ちょっと辛かったですけど、全体的には好きなお話でした。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://0hz.blog112.fc2.com/tb.php/169-05e349c5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック