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青空(そら)の下で抱きしめたい
神江 真凪著 / 汞りょうイラスト
二見書房
シャレード文庫(2006.12)


会社をリストラされ、変質者と間違われて殴られ災難続きの裕希は、そのうえ家が火事にあい、なぜか自分を殴った男・征也とその娘と同居することに。
傷が治るまでの期限付きとはいえ、彼等との共同生活に戸惑う裕希。しかし、ホストをしながら一人で娘を育てていることや、彼の生い立ちを聞くうちに、裕希は征也の愛情の深さを知り、いつしか出て行くことをさびしく思うほどになっていた。
そんな折、酒に酔った征也に求められ関係をもった裕希は、彼への想いをはっきりと自覚する。
だが翌日、昨夜のことなどなんでもないように振舞う征也に裕希は深く傷つき――。
青木征也(あおきせいや・22歳)×漆原祐希(うるしはらゆうき・24歳)

倒産、夜逃げ、リストラと、相次いで職を失った裕希は、公園で泣いていた女の子を助けたところを、その子の父・征也に変質者と勘違いされ、殴られて気絶。誤解はすぐに解けたものの、征也に家に送られてみると、住んでいたアパートは隣人の過失で火事の真っ最中。
住む家まで失ってしまった裕希は、殴って怪我をさせ責任を感じた征也の勧めで、征也と娘・奈美の住むマンションに同居させてもらうことになります。
怪我が治るまで・・・と決めて、征也の家で、家事と奈美の面倒を見ながら職を探すことにした裕希。
征也、裕希、奈美の3人の擬似家族生活が始まります。

征也は施設育ちで、17で奈美の父親となりますが、奈美の母は征也と娘を置いていなくなり、それ以来、征也は男手一つで奈美を育ててきました。(征也はまだ18になっていなかったので結婚はしてない)
征也はホストをしていて生活には困っていない。けれど、恵まれない生い立ちと、昼夜逆転の仕事で、どうしても乱れがちになる生活で、ごく普通の暖かい家庭というものを知らずにきました。そこに裕希が入り込み、暖かい料理、掃除の行き届いた部屋、皆で行く買い物、旅行の計画・・・と、ごくごくあたりまえの、けれど暖かい家庭の雰囲気を齎してくれて、初めてそれを知ることができたんですね。
やがて、それがずっと続いてくれればいいと願うようになり、裕希への愛情となっていく。
裕希も、恵まれない生い立ちながら、征也が頑張って娘を育てていることに素直に感嘆し、家庭としては歪だけれど、愛だけは溢れるような父と娘との生活に離れがたさを感じるようになっていくわけです。

子供が登場するということで、駄目というかたもいるかもしれませんが、私はわりとこういう擬似家族っぽいのは好きで、ほのぼのすることができました。
攻めは子持ちなんですけど、年下攻めなんですよね。
うまく気持ちを伝えられないでいるうちに、爆発して暴走してしまうところなど、年下っぽい。
子供がいて、子供を慈しみ愛することはできているんだけど、征也自身もまだ大人にはなりきっていないんですね。けれど、変な計算や駆け引きもしないところが、こういう攻めのいいところだと思います。成長して大人になるのが楽しみな感じ。今はまだちょっと、いろいろアレだけど。

そばにいたいけれど、そんな立場じゃないと躊躇う裕希の気持ちも、ごく自然な感情で理解しやすい。
でも同居していきなり裕希の気持ちが動いているように見えたところがちょっと気になりました。
最初の部分はもっとじっくり書いてあっても良かったように思います。自分を殴った男への憤りとか、子供との生活への戸惑いとか、そこからゆっくりと馴染んでいく様子がもうちょっと丁寧に読みたかったですね。3人で生活始めて、いきなり慣れちゃってたように見えましたもんね。

神江真凪さんは、もしかして新人さんですが、なかなか面白く、いいお話になってたと思いました。
ほのぼの、優しいお話です。
受けにフラれちゃった三条(さんじょう)先輩が可哀相でした。
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