雪が降り積もるある冬の日、恋人に家を追い出されて行き場をなくしていた少年・覚は、犬猫の世話を条件に大学講師・加納に拾われた。
無口で無表情な加納の真意がわからず最初は戸惑う覚だったが、初めて触れるやさしさに心惹かれてしまう。
そんな中、自分を捨てたはずの男に覚は無理やり連れ戻されそうになって!?
不器用ながらお互いを想い合う二人の、珠玉のラブストーリー。
無口で無表情な加納の真意がわからず最初は戸惑う覚だったが、初めて触れるやさしさに心惹かれてしまう。
そんな中、自分を捨てたはずの男に覚は無理やり連れ戻されそうになって!?
不器用ながらお互いを想い合う二人の、珠玉のラブストーリー。
加納士朗(かのうしろう・28歳)×篠田覚(しのださとる・17歳)
加納は大学講師、覚は無職。
幼い頃に父が蒸発、その後母からも虐待を受けて育った覚は、その母からも捨てられて天涯孤独となってしまいます。
母がいなくなった後、やってきた借金取りのなかに今はヤクザとなった中学の先輩がいて、覚はその男の元に身を寄せますが、今度はその男による暴力とsexの道具にされる日々。
そんな暮らしのある日、少しばかり口答えしたことが原因で、覚はアパートをたたき出され、雪の舞い散る寒空の下、凍えていたところを、加納に拾われます。
加納は、古くて広い日本家屋に、犬猫十一匹と住むバツイチの男。かいつまんだ事情を話すと、加納は覚を犬猫の世話をすることを条件に家に置いてくれるのですが、加納は寡黙で愛想がなく、その親切な申し出とは裏腹に、覚に対する態度はとても冷たい。
視点が覚、加納、と両方から語られるので、加納がかなりの人嫌いで、犬や猫を拾うように覚を拾ってしまったものの、どう接していいか戸惑っているというのがわかります。そして人嫌いになった原因と、それゆえ、覚との間にも無意識に壁を作ろうとしてしまっているということも。
覚は両親に省みられなかったことで、『捨てられる』ということに過敏になっているところがあります。自分に暴力を振るう男に対しても、捨てられて一人きりになりたくないという思いから、暴力も甘んじて受けるし、要求されれば身体も開く。そうして相手の言うとおりにしていることで、相手の役に立っていると、必要とされていると思いたいんですね。
しかし、加納と一緒に暮らし始めても、普通の家庭で育たなかった覚には一般常識もなく、愛情を与えられなかったせいで、犬猫をどう可愛がっていいかもわからず、加納の態度も覚から見れば迷惑がられているようにしか見えませんので、自分がとても必要とされているとは思えません。そんな風に考えてしまわざるを得ないというところが、とても可哀相で切ないですね。
ただ、そんな可哀相な生い立ちを持った幸薄い覚ではありますが、お話の雰囲気は可哀相、切ない、哀れというものが全面に出たタイプのものではなかったように思います。
極度の人嫌いな大人と、愛情を知らない少年が、お互いの中に優しさや安らぎを見つけて、暖かい関わりを作っていく、そんな優しいお話だと思いました。
不器用で無骨だけれど、真の優しさを持つ加納と、すれた生活をしていても、実は素直で一生懸命な覚。
相手の上辺ではない本質の部分を感じあうことができたから惹かれあったんでしょうね。
思いを告白するのは覚が先なんですが、加納は覚の気持ちを拒みきれず抱いてしまってから、まだ考えています。いかにも生真面目な加納らしく、真剣なのはわかるし、そんな無骨な男でも身体の暴走は止められない・・・というのは萌えでもありますが、「ヤッてから悩むな」というのは私の基本(笑)
だけどいい加減な返事はできない、と思ってしまうところがやはり不器用で真面目な加納の良さなのでしょうね。
その後、覚に、答えを出すから待っていてくれと言って、加納はひと月半の出張に出てしまうのですが、しかし、出張先のインドネシアが大地震にみまわれ、加納は行方不明に。
加納の生死もわからず、加納の財産を狙った親戚が押しかけてくるし、加納は見つからないしで、覚にとっては辛い状況が続きます。
けれど、加納と過ごした間に、人を頼るばかりだった覚の意識も変わっていて、心配や哀しみを感じながらも、自分自身の足で立とうという成長が見えるところが良かったと思います。
そしてラストはこれ以上ないほどの甘い締めとなっております。
人嫌いだったり、愛情を知らなかったり、二人には嫌なことや辛いことがいろいろあったけれど、やっと『暖かい場所』を手にすることができた。
この世で唯一の自分の場所。
「君の住処」というタイトルは、内容にちゃんとあってて、なかなかいいな、と思います。
加納は大学講師、覚は無職。
幼い頃に父が蒸発、その後母からも虐待を受けて育った覚は、その母からも捨てられて天涯孤独となってしまいます。
母がいなくなった後、やってきた借金取りのなかに今はヤクザとなった中学の先輩がいて、覚はその男の元に身を寄せますが、今度はその男による暴力とsexの道具にされる日々。
そんな暮らしのある日、少しばかり口答えしたことが原因で、覚はアパートをたたき出され、雪の舞い散る寒空の下、凍えていたところを、加納に拾われます。
加納は、古くて広い日本家屋に、犬猫十一匹と住むバツイチの男。かいつまんだ事情を話すと、加納は覚を犬猫の世話をすることを条件に家に置いてくれるのですが、加納は寡黙で愛想がなく、その親切な申し出とは裏腹に、覚に対する態度はとても冷たい。
視点が覚、加納、と両方から語られるので、加納がかなりの人嫌いで、犬や猫を拾うように覚を拾ってしまったものの、どう接していいか戸惑っているというのがわかります。そして人嫌いになった原因と、それゆえ、覚との間にも無意識に壁を作ろうとしてしまっているということも。
覚は両親に省みられなかったことで、『捨てられる』ということに過敏になっているところがあります。自分に暴力を振るう男に対しても、捨てられて一人きりになりたくないという思いから、暴力も甘んじて受けるし、要求されれば身体も開く。そうして相手の言うとおりにしていることで、相手の役に立っていると、必要とされていると思いたいんですね。
しかし、加納と一緒に暮らし始めても、普通の家庭で育たなかった覚には一般常識もなく、愛情を与えられなかったせいで、犬猫をどう可愛がっていいかもわからず、加納の態度も覚から見れば迷惑がられているようにしか見えませんので、自分がとても必要とされているとは思えません。そんな風に考えてしまわざるを得ないというところが、とても可哀相で切ないですね。
ただ、そんな可哀相な生い立ちを持った幸薄い覚ではありますが、お話の雰囲気は可哀相、切ない、哀れというものが全面に出たタイプのものではなかったように思います。
極度の人嫌いな大人と、愛情を知らない少年が、お互いの中に優しさや安らぎを見つけて、暖かい関わりを作っていく、そんな優しいお話だと思いました。
不器用で無骨だけれど、真の優しさを持つ加納と、すれた生活をしていても、実は素直で一生懸命な覚。
相手の上辺ではない本質の部分を感じあうことができたから惹かれあったんでしょうね。
思いを告白するのは覚が先なんですが、加納は覚の気持ちを拒みきれず抱いてしまってから、まだ考えています。いかにも生真面目な加納らしく、真剣なのはわかるし、そんな無骨な男でも身体の暴走は止められない・・・というのは萌えでもありますが、「ヤッてから悩むな」というのは私の基本(笑)
だけどいい加減な返事はできない、と思ってしまうところがやはり不器用で真面目な加納の良さなのでしょうね。
その後、覚に、答えを出すから待っていてくれと言って、加納はひと月半の出張に出てしまうのですが、しかし、出張先のインドネシアが大地震にみまわれ、加納は行方不明に。
加納の生死もわからず、加納の財産を狙った親戚が押しかけてくるし、加納は見つからないしで、覚にとっては辛い状況が続きます。
けれど、加納と過ごした間に、人を頼るばかりだった覚の意識も変わっていて、心配や哀しみを感じながらも、自分自身の足で立とうという成長が見えるところが良かったと思います。
そしてラストはこれ以上ないほどの甘い締めとなっております。
人嫌いだったり、愛情を知らなかったり、二人には嫌なことや辛いことがいろいろあったけれど、やっと『暖かい場所』を手にすることができた。
この世で唯一の自分の場所。
「君の住処」というタイトルは、内容にちゃんとあってて、なかなかいいな、と思います。
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