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侵せない繭
かのえ なぎさ著 / 紺野 けい子イラスト
ワンツーマガジン社
アルルノベルス(2006.12)


野心家のエリート弁護士・河森英士は、父親の勧めで有名商社の社外監査役となる。
監査で訪れた僻地のプラント農場で、整った美貌の責任者の景浦明彦に出会い、その鳶色の柔らかな誘惑するような瞳と極上の笑顔に魅せられていく。金食い虫のプラント事業の監査に訪れたはずが、すっかり明彦の掴み所のない優しさに誘惑され溺れていく英士だった。
車の故障で泊まったホテルで、英士は明彦に熱い欲望を注ぎ込み快感の渦に巻き込んでいく―。
河森英士(かわもりえいし・33歳)×景浦明彦(かげうらあきひこ・32歳)

大手飲料メーカー社長を父に持ち、伯父の法律事務所に勤務する弁護士の河森は、父の知り合いの商社の社外監査役を勤めることになります。
その商社では社長の代替わりがあったばかりで、新社長側にはそれまでの経営や元社長色を一新しようという動きがありました。監査役になった河森は、あくまで公平な監査を心がけていましたが、その監査の一環で訪れたのが、前社長が力を入れていた『環境保全に関する最先端技術を駆使した農業開発用プラント』でした。

この部署は、明らかに商社の「金食い虫」と思われる。
しかもとんでもない僻地にあり、やってくる道々うんざりしていた河森は、それでも冷静に淡々と、私情を挟むことなく監査の仕事をし、事実をありのままに報告するだけで、その後この農業プラントがどうなろうと自分には関係ない・・・と考えているのですが、そこで出会ったプラントの責任者・景浦明彦と恋に落ちてしまいます。

裕福な家庭の次男坊で野心家のエリート弁護士。容姿もハンサムでそれなりに自信家であり、「都会が似合う男」な河森ですが、プラントを訪れた早々、泥まみれの洗礼を受けてしまいます。このあたりのエピソードがちょっと面白くて笑えました。
明彦と出会い、最初はそのニコニコと穏やかそうでありながら、どことなく食えない感じの明彦に調子を狂わされ翻弄されて苛々しますが、やがて、農場の自然やゆったりした時間に包み込まれ、また明彦の別の顔を知るにつけ、プラントそのものに、そして明彦に惹かれていくようになります。

そして、お互いに気持ちが通じ合い、河森が現場での監査を終えて元の仕事に戻っても、お互い少ない時間ながらも遠距離を行き来して幸せな時間を過ごします。
ところが、河森が報告した監査の結果、プラントは閉鎖されることになってしまい、二人の間には亀裂が。
擦れ違うまま、やがてその亀裂は大きくなっていく。

明彦にとって、そのプラントはただの研究施設でなないんですよね。明彦がこういう自然に強く拘る理由、、彼自身の場所、秘密基地を作りたいと願う理由は実はよくわからないままになってしまってます。
その辺が詳しかったらもっといいと思いますが、何にせよ明彦にとって、「プラント」は大切な場所。それは伝わってくる。
河森は誰に阿ることもなく、誠実に自分の仕事をしただけで、閉鎖を決めたのは会社側とはいえ、その結果は明彦にとって、そして二人の関係にとっても厳しいものとなってしまいます。

手つかずの自然というわけではなく、管理された農場ではありますが、都会にはないほのぼのさや自然が舞台というのがなかなかよくて、もともと田舎設定が好きなせいもあり、雰囲気がとても気に入りました。
視点は攻めの河森側ですが、最初はかみ合わず、明彦に振り回されて苛々したり腹を立てたりしているのが、少しずつ少しずつ、惹かれる気持ちに変わっていき、二人が恋人になるまで、そして擦れ違って、また分かり合うまでが、じっくりと書かれていて、読んでてとても楽しかったし面白かった。

ラストが“説明”のようにまとめられてしまったのは残念な気もしましたが、河森がそうしようと心を決めるまでの経過はきちんと追ってこれたので、買収や新しくプラントを始める過程が省かれていても、それほど物足りないとは感じませんでした。
ちゃんといい形で終わってると思うし、久しぶりに面白いかのえさんを読んだ。
ツボにはまる、好きなお話でした。
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