木枯らしの吹く街で、突然、目に激痛が走った長瀬は、往来で身動きがとれなくなってしまう。立ち止まる長瀬に救いの手を差し伸べてくれたのは、眼科医の深見だ。勤務する病院まで長瀬を誘導し、てきぱき治療してくれた深見。この出会いが、のちに長瀬を天国と地獄の両方へ突き落とすことになろうとは、この時の彼は思いもしなかった。
そして、運命は二人を再会させ…。
そして、運命は二人を再会させ…。
長瀬峻也(ながせしゅんや・27歳)×深見順穂(ふかみかずほ・29歳)
春原さんの医療ものです。
眼鏡士と眼科医。
BLで眼科医というのも珍しいですが、眼鏡士というのも初めてかも。
視力測定、眼鏡用レンズの選定、フィッティング、調整などを行う専門職のことだそうで、言われてみれば、ああ、あれね、と思い当りますね。
「恋は、突然嵐のように」
「永遠の片思い」の二編収録されています。
眼鏡士の長瀬は、突然交差点の真ん中で目に激痛が走り、身動きできなくなってしまいます。原因はコンタクト使用の目にゴミが入ったためなのですが、激痛を感じている本人には何が起きたのか、どうすればいいのかとても冷静に判断できる状況ではありません。しかし、人並みに翻弄されながら、目の痛みに号泣する長瀬を助けてくれる男が一人。近くの病院に手を引いていき、自ら診察治療してくれたのが、その総合病院で眼科医を務める深見でした。
長瀬の勤め先は老舗の眼鏡店ですが、眼鏡屋さんと眼科はまた切っても切れないもの。長瀬の勤める眼鏡店のお得意先のひとつが深見の勤める総合病院の眼科で、交通事故に遭った同僚の代わりに、受け持ちが長瀬に任されたことで、二人は再会します。
初めての出会いでは目の痛みのせいもあり、深見の顔をよく見ていなかったんですが、長瀬は再会した深見の完璧で中性的な美貌に改めて目を奪われます。
ところが、深見の方は、長瀬を全く覚えていなかったんですね。
長瀬もまた、深見とはタイプが違うものの、誰もが振り返るようないい男で、女だけでなく時には男までもやすやすと喰ってきたという戦績があり、容貌には自分でもはっきり言って自信があったわけです。
ところが「初めまして」と挨拶されて、ショック。
意外な反応というのは、その人を気にかけるキッカケとなるものですよね。
深見が長瀬を覚えていないというのには、春原さんらしい訳がありまして、深見は「人の顔を認識できない」という欠陥を抱えているのです。動くものがその対象となるので、表情のある顔は覚えられない。
声や職業、名前を結びつけて、その人を認識することはできますが、たとえば街で偶然会ったりしても、深見にはそれが誰だかわからないんですね。
病院にはそんな症状はもちろん隠していますが、患者に関しては顔は覚えていなくてもその症例と名前できっちりと覚えているし、技術も頭に入っているので問題なく診療していることになっています。
実際、病院に知られたらいろいろまずいでしょうが、作品ではそちらの方については深く突っ込んでいないのですね。
おっとりと優しげな少し甘えた感じのする口調で話す深見は、一見虫も殺さないような穏やかで優しい雰囲気の男ですが、それ以外にもいろんな一面を持っています。
そんな深見のいろいろな顔を見るうちに、長瀬はどんどん惹きつけられていくんですね。
「恋は、突然嵐のように」は二人が恋人になるまで。
長瀬の心の変化はわかりやすいですが、深見の方がちょっとわかりにくいです。とっても掴みどころのない人なので。そして「誘い受け」なんですよね。
おっとりしてそうで、夜は小悪魔という深見に、翻弄される長瀬・・・と言う図が本全体を通してできあがっています。
深見がいつ長瀬にそんな気持ちになったのか。
顔は覚えてないけれど、どうも最初に診療して顔に触れた時?と思わせるような感じなんですね。
頭で覚えられない分、指先で触れて確かめて覚える、ということをしているようです。それは、一時期深見が失明していたことがある、という過去に関係がある。
「永遠の片思い」も、やはり翻弄されているのは長瀬。
深見の同級生で昔同僚でもあった柾木(まさき)が病院の脳外科に赴任してきて、長瀬はなんと深見と柾木のキスシーン(のようなもの)を目撃してしまいます。
問いただしたいものの、躊躇したり(聞けよ)、機会が得られなかったりしてはっきりしたことはわからないまま。けれど、会いたいとメールを送った長瀬に返事はなかったのに、突然自分のマンションの玄関前に、深見が座り込んで自分を待っていた、と言ったり。
聞くチャンスじゃん!と思うのに、Hに流れこんで、“来てくれたからいいか”となんでそこで思うかな。
悩まされてしまう長瀬ですが、深見の方はわかりにくいなりに、一巻して気持ちがぐらついているようなところはなく、グルグルしている長瀬をわかってて、ちょっと面白そうに微笑ましそうに見ているような感じがあります。
ふだんはおっとり優しいのに、実は小悪魔な年上の男に、百戦錬磨の長瀬が手玉に取られているという関係。
この二人はずっとこんな力関係でいくんだろうと思う。
全体的に軽めの雰囲気で、そう難しい事態にもならないので、あっさりスイスイ読めてしまいました。
薄味な感じは否めませんでしたが、きっちりした現役の医療知識が、雰囲気を締めているという感じ。
重すぎず、軽すぎず、なかなか楽しめました。
春原さんの医療ものです。
眼鏡士と眼科医。
BLで眼科医というのも珍しいですが、眼鏡士というのも初めてかも。
視力測定、眼鏡用レンズの選定、フィッティング、調整などを行う専門職のことだそうで、言われてみれば、ああ、あれね、と思い当りますね。
「恋は、突然嵐のように」
「永遠の片思い」の二編収録されています。
眼鏡士の長瀬は、突然交差点の真ん中で目に激痛が走り、身動きできなくなってしまいます。原因はコンタクト使用の目にゴミが入ったためなのですが、激痛を感じている本人には何が起きたのか、どうすればいいのかとても冷静に判断できる状況ではありません。しかし、人並みに翻弄されながら、目の痛みに号泣する長瀬を助けてくれる男が一人。近くの病院に手を引いていき、自ら診察治療してくれたのが、その総合病院で眼科医を務める深見でした。
長瀬の勤め先は老舗の眼鏡店ですが、眼鏡屋さんと眼科はまた切っても切れないもの。長瀬の勤める眼鏡店のお得意先のひとつが深見の勤める総合病院の眼科で、交通事故に遭った同僚の代わりに、受け持ちが長瀬に任されたことで、二人は再会します。
初めての出会いでは目の痛みのせいもあり、深見の顔をよく見ていなかったんですが、長瀬は再会した深見の完璧で中性的な美貌に改めて目を奪われます。
ところが、深見の方は、長瀬を全く覚えていなかったんですね。
長瀬もまた、深見とはタイプが違うものの、誰もが振り返るようないい男で、女だけでなく時には男までもやすやすと喰ってきたという戦績があり、容貌には自分でもはっきり言って自信があったわけです。
ところが「初めまして」と挨拶されて、ショック。
意外な反応というのは、その人を気にかけるキッカケとなるものですよね。
深見が長瀬を覚えていないというのには、春原さんらしい訳がありまして、深見は「人の顔を認識できない」という欠陥を抱えているのです。動くものがその対象となるので、表情のある顔は覚えられない。
声や職業、名前を結びつけて、その人を認識することはできますが、たとえば街で偶然会ったりしても、深見にはそれが誰だかわからないんですね。
病院にはそんな症状はもちろん隠していますが、患者に関しては顔は覚えていなくてもその症例と名前できっちりと覚えているし、技術も頭に入っているので問題なく診療していることになっています。
実際、病院に知られたらいろいろまずいでしょうが、作品ではそちらの方については深く突っ込んでいないのですね。
おっとりと優しげな少し甘えた感じのする口調で話す深見は、一見虫も殺さないような穏やかで優しい雰囲気の男ですが、それ以外にもいろんな一面を持っています。
そんな深見のいろいろな顔を見るうちに、長瀬はどんどん惹きつけられていくんですね。
「恋は、突然嵐のように」は二人が恋人になるまで。
長瀬の心の変化はわかりやすいですが、深見の方がちょっとわかりにくいです。とっても掴みどころのない人なので。そして「誘い受け」なんですよね。
おっとりしてそうで、夜は小悪魔という深見に、翻弄される長瀬・・・と言う図が本全体を通してできあがっています。
深見がいつ長瀬にそんな気持ちになったのか。
顔は覚えてないけれど、どうも最初に診療して顔に触れた時?と思わせるような感じなんですね。
頭で覚えられない分、指先で触れて確かめて覚える、ということをしているようです。それは、一時期深見が失明していたことがある、という過去に関係がある。
「永遠の片思い」も、やはり翻弄されているのは長瀬。
深見の同級生で昔同僚でもあった柾木(まさき)が病院の脳外科に赴任してきて、長瀬はなんと深見と柾木のキスシーン(のようなもの)を目撃してしまいます。
問いただしたいものの、躊躇したり(聞けよ)、機会が得られなかったりしてはっきりしたことはわからないまま。けれど、会いたいとメールを送った長瀬に返事はなかったのに、突然自分のマンションの玄関前に、深見が座り込んで自分を待っていた、と言ったり。
聞くチャンスじゃん!と思うのに、Hに流れこんで、“来てくれたからいいか”となんでそこで思うかな。
悩まされてしまう長瀬ですが、深見の方はわかりにくいなりに、一巻して気持ちがぐらついているようなところはなく、グルグルしている長瀬をわかってて、ちょっと面白そうに微笑ましそうに見ているような感じがあります。
ふだんはおっとり優しいのに、実は小悪魔な年上の男に、百戦錬磨の長瀬が手玉に取られているという関係。
この二人はずっとこんな力関係でいくんだろうと思う。
全体的に軽めの雰囲気で、そう難しい事態にもならないので、あっさりスイスイ読めてしまいました。
薄味な感じは否めませんでしたが、きっちりした現役の医療知識が、雰囲気を締めているという感じ。
重すぎず、軽すぎず、なかなか楽しめました。
この記事のトラックバックURL
http://0hz.blog112.fc2.com/tb.php/180-945333f7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック