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恋愛迷宮
火崎 勇著 / 海老原 由里イラスト
ワンツーマガジン社
アルルノベルス(2006.12)


童顔の社長令息・寿々木輝美は素性を隠し、野性的な容貌に圧倒的なオーラを纏うエリート・木嶋の下で働いている。
彼への純粋な憧れ――だが、誤解した木嶋に突然「好きだ」と押し倒されてしまう。そして肌を這う彼の指や舌から与えられる快感に、抵抗できずに呑みこまれていき…。
注がれる彼の『愛情』と『憧れ』の狭間で戸惑い悩む輝美は「好きな人がいるから」と嘘をつき逃れようとするが――!?
木嶋英気(きじまえいき)×寿々木輝美(すずきてるみ)
年齢は設定されていません。多分寿々木は22~3、木嶋は30歳前後というところかな?

寿々木輝美は、大手ゼネコン社長の次男坊。
息子には甘いけれど仕事には厳しい父からのお達しで、『鈴木輝美』と名前を偽って入社し、現在は憧れの木嶋のすぐ下で働いています。

木嶋と一緒に働いて、その仕事ぶりや人柄に憧憬の念はますます募るばかり。
おぼっちゃん育ちで邪気がないせいか、ただの天然なのか、輝美は木嶋に対しての好意を隠さず、「大好きな木嶋さん」とそれはそれは嬉しそうに口にして、一週間の有給休暇を田舎の別荘で一緒に過ごそうと誘われたときも、喜んでそれを受け入れてしまいます。

あけっぴろげに「好き」と言われ、別荘への旅行も二つ返事でOKされた木嶋にはもちろん輝美に対して特別な想いがあるから、それは期待します。
一緒にお風呂に入るか?なんてちょっと誘ってみたら、ためらいなくOKされる。“木嶋さんと一緒だから楽しい”と言われ、俺に惚れてるみたいに聞こえるぞ、とやんわりカマをかけてみれば“惚れてるに決まってます”“一生そばにいたいくらい”“俺は木嶋さんが好きなんですから”と言われ、特別に俺を好きだと誤解するぞ、とさらに釘をさせば“特別に好きですよ。何されてもいいくらい”とまで言われてしまう。
気のある相手から、ここまで言われたら、やった、両思いだ~!と思いますよね。
ところが、いざ、ことに及ぼうとしたら、泣いて嫌がられてしまう。初めてだから、最初から無理はいかん、と思って自制した木嶋はとりあえずお互い手で済ませ、その晩は就寝となりますが、翌朝目を覚ましてみたら、輝美はいなくなっている…。
すごく可哀相です、木嶋。
一週間の休暇を終えて出社すると、休暇の間、木嶋から逃げ回っていた輝美から、好きだけれど、恋愛感情ではなく、ただの憧れという意味だ、と言われてしまうのです。しかも「他に好きな人がいる」とまで。
木嶋にしてみれば、それはないだろう、ですよね。想いがかなったと思ったら、天国から地獄に突き落とされてしまったんですから。

怒った木嶋は、輝美に対して、仕事上必要な時しか輝美とは話をしてくれなくなります。今まで一緒に食べていたお昼にも誘ってもらえないし、仕事帰りに誘われることもありません。
おぼっちゃんで天然な輝美は、恋愛ごとにも無知でした。木嶋が自分から離れていって、初めて自分の気持ちが恋だと気づくのです。ただの憧れ、尊敬だと思っていた感情が、実は恋愛感情だったと、経験のない輝美にはわからなかったんですね。木嶋は男ですから、男に対してそんな感情を抱くとは自分でも思ってなかったし。
しかし、木嶋の態度から、木嶋がまだ自分を好きでいてくれることはわかる。だから誤解を解けば・・・と、輝美は木嶋に好きだと伝えるんですが、今度は木嶋の方がまったく信じてくれないんですね。しかも、輝美の兄と輝美の仲をすっかり誤解してしまうし。

両思いなのに、まったく気持ちが通じ合わない二人。
何かを言えば言うほど曲解され、擦れ違う。
やることなすこと裏目に出る。
ホントにじれったい人たちでしたね(笑)。
こういうパターン、火崎さんはお得意かも。
擦れ違ってるのが切ないというより、なんだかここまでくると面白かったですね。お互いちゃんと両思いというのがハッキリわかるから安心して読めたせいもあります。

輝美のせいで、気持ちが上から下へと翻弄されちゃった木嶋は気の毒でしたが、拗ねてひねくれちゃって、でもやっぱり輝美が好きでヤキモチ妬いてしまう姿はかなり可愛かったです。
輝美の天然無知ぶりは、それだけだと苛々するだけですが、どたんばで形振り構わず、それまで仕事では絶対に行使しなかった『社長の息子』という立場を利用する開き直りっぷりは、なかなか見所あるヤツだと思いました。

最初に道を間違えてしまったから、ずいぶん拗れて遠回りしましたが、間違ったその場面に帰ってやり直すラストは、ちょっと気がきいてていいですね。
安心して擦れ違いを楽しめる・・・と言うと変だけど、読みやすくてなかなか面白いお話でした。
二人の間にお兄ちゃんが障害となって立ちはだかる、そんな続編があっても面白いかもしれませんね。
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