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あなたの声を聴きたい
椎崎 夕著 / 街子マドカ〔画〕
幻冬舎コミックス
ルチル文庫(2006.11)


訳あって中1から祖母と暮らしていた中里亨は、祖母を亡くし一人暮らしの大学生。
ある日、宅配バイトの配送先の家で悲鳴を聞き駆けつけたところを、帰宅した早見貴之に早見の祖母・春梅を襲ったと誤解される。春梅の話から誤解も解け、亨は春梅に頼まれ家に通うことに。
次第に早見に惹かれ戸惑う亨は、思わず酷いことを言ってしまい…。
早見貴之(はやみたかゆき・30過ぎくらい?)×中里亨(なかざとあきら19歳)

亨は、アルバイトの宅配で訪れた民家で悲鳴を聞き、屋内で倒れているおばあさんを発見しますが、ちょうど帰ってきた家人に居空き(泥棒)に間違われて通報されてしまいます。
誤解は解けたものの、疑われたことでアルバイトは首に。
後に始めた居酒屋でのバイト中、亨を居空きと間違えて通報した男と再会します。それが早見貴之です。

早見から、祖母・春梅(はるめ)が病院で会いたがっているから見舞いに行って欲しいと頼まれ、渋々病院を訪れた亨は、春梅に、自分の亡くなった祖母の面影を重ね、それからたびたび病院を訪れるようになります。
春梅の退院の際には、仕事の早見に代わって家まで付き添い、それ以来、亨は春梅に会いに今度は家を訪ね、春梅の手伝いをし、夕食をごちそうになる、ということが増えていきます。

亨は、中1のとき、養父との間に起きたあるトラブルと、母が自分を信じてくれなかったことが原因で家を飛び出し、ずっと祖母の家に身を寄せていました。祖母の家から学校に通い、母と養父とは一切顔を合わせることも、連絡をとることもありませんでした。
しかし、その祖母は亨が大学生になる年に亡くなってしまい、亨は親に頼らず、祖母の残してくれた遺産とアルバイトで、学費と生活費を賄いながら一人で暮らしています。
そんな亨が、春梅と出会い、春梅に暖かく迎えられて、春梅と早見と3人で過ごす時間に安らぎを見出すようになっていくんですね。そして、最初こそ好きになれなかった早見にもだんだん慣れて、会うのを楽しみに思うようにさえなる。つまり自覚はないけど惹かれ始めてもいるわけです。

ところが、そんな亨の前に、養父が突然現れ、再び、亨につきまとい始めるようになってしまいます。
しかも、何故か早見にも避けられ始める。そして自分が口にした言葉が、早見を決定的に怒らせてしまいます。

義父とのことで、母に頼ることもできなくなり、祖母も亡くなって、一人きりになった亨は、それでもひとりで頑張ってるんですよね。自分一人でやっていこうととても前向きに頑張ってる。
春梅が喜んで迎えてくれても、庭の草むしりだとか、何か口実がないと落ち着いて訪ねていくこともできないし、迷惑にならないだろうか、いいんだろうかと、気をまわして自分を戒めているような感じです。
だから人の顔色には過敏だし、どんなに言われても迷惑になるからと頼ろうとしないし。ちょっと意地っ張りでもあるんですけどね。

とてもいい子なのに、亨には義父のことだけじゃなく、少しずつ辛い出来事が起きてきます。
突然早見に避けられるようになってしまったり、早見の友人に嫌味を言われたり、春梅が義父との言い争いで階段から落ちてしまったり。
ちょっとずつちょっとずつ追い込まれていくような展開が続くので、可哀相で辛かったです。

親がいないから、早見と春梅に亨への助けを期待したいところですけど、、春梅はおばあちゃんなので、わかっていてもやれることには限界があるし、実際行動もしているけれど、怪我してしまうし、、そうすると早見にちゃんとしてもらいたいんですけど、この早見がねぇ(笑)
亨を避けるようになる理由は想像がつくんですけど、この年齢ではちょっと大人気ないなと思います。年が離れてるんだから、もっと感情をコントロールして抑えることができるくらいであって欲しい。亨が言った言葉も、真意がわかっていたのなら、もうちょっと引いて受け止めてあげても良かったんじゃないかな。
すごくいい人なんですよ。それはとてもよくわかるけど、もっと包容力があってもいいのにな。でも、早見がぶきっちょという設定は好きでした。棚修理や包帯巻きのエピソード、可愛いですよね。

どちらかというと恋愛面に目が行くより、春梅おばあちゃんとの間に醸しだされるほのぼのとした雰囲気や優しさや幸せの方が、読んでて安心できて暖かさを感じられて、そういうところが好きでした。春梅を思いやる亨の優しさも好きだったし、お年よりの、含蓄ある、でもさりげない言葉や優しさは偉大ですね。
自分の祖父母と一緒に住んだ経験がないので、こういうおばあちゃんがいたらいいだろうな~と羨ましい。
春梅が亨も一緒に住むのを望んでるんだから、一緒に住めばいいのに。Hしにくいから賛成しない、そんな早見もイマイチ(笑)。春梅おばあちゃんから亨を取り上げないでね。できでば二人の愛情に包まれて、亨は存分に甘やかされて幸せを感じて欲しい。苦労が多すぎたから。
春梅おばあちゃんには長生きしてもらいたいな。

早見の親友・向井(むかい)はまた美味しそうなタイプですね。クール毒舌美人?(笑)
根っから悪い人じゃないだろうけど、だけどやっぱり自分より10以上も下の子供に本気で絡むなよ、と思います。

椎崎さんは好きな作家さんです。
また切ないんだろうなぁ~と思いながら期待してる(笑)
「弟の親友」は泣けましたね。
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