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翻訳家は嘘をつく
甫刈 はるひ著 / 楠本弘樹イラスト
オークラ出版
アクアノベルズ(2007.6)


「堀切さんのことが好きです」
出版社のおつかいでやって来た青年は、堀切が普段窓から眺めている工事現場で働いていた高遠秀だった。
その秀が、翻訳家の堀切新太に唐突に発した言葉がそれだ。
ひとまわり近く年下の秀のいきなりの言葉に「帰れ」と怒鳴ってしまった堀切だが、次の日、落ち込んでいる秀を発見し、思わず手作り弁当を手渡してしまい!?
堀切新太(ほりきりあらた・33歳)×高遠秀(たかとおしゅう・21歳)

「翻訳家は嘘をつく」書き下ろし
「甘く融ける骨」雑誌掲載の二編。

家で翻訳家の仕事をする堀切の部屋の窓から、建設中の工事現場がよく見えます。そこでイキイキと元気に働いているのが秀。秀の一生懸命な姿を見て、堀切はスランプ中のときでも励まされるような気がしていました。
そんなある日、堀切の家に、出版社からのおつかいで資料をもった秀が現れます。秀はアマチュアのカメラマンで、写真を撮る費用を稼ぐために、実にたくさんのアルバイトをしていたのです。
ちょうど、ストレス解消に作りすぎてしまった料理を持て余していた堀切は、秀を食事に誘います。そして後片付けの最中、秀は感極まったのか、「堀切さんが好きです」と口にしてしまいます。

秀は、堀切の翻訳の大ファンで、彼の言葉から、やはりずっと元気や勇気を貰い、堀切に憧れていました。実物を目の前にして想いが勝手に溢れてしまったのですが、面食らった堀切から「帰れ」と言われてしまう。
落ち込む秀は、次の日の建設現場でミスばかりしてしまいます。
しかし、それを窓から見ていた堀切の方も、罪悪感でいてもたってもいられず、つい手作り弁当をこしらえて、秀のもとへ届けてしまうのです。・・・このあたり、ちょっと行動が唐突ですね(笑)

堀切はバツイチで、それ以来恋愛事を面倒に思ってきました。そして、“終わってしまうこと”を怖がっている、ヘタレであります。二人の場合、受けの秀は気持がハッキリしていますが、攻めの堀切の方がなんとも逃げ腰。しかし口では秀を拒否するようなことを言いながら、行動はついつい秀を構ってしまう。
早い段階から堀切は秀に惹かれているんですが、往生際の悪い大人が、やっとこさ、覚悟を決める(?)までが書き下ろし分です。

もうできあがった二人の話「甘く融ける骨」が雑誌掲載で、それより二年前、知り合って恋人同士になるまでの二人がこの表題作の「翻訳家は嘘をつく」。
雑誌掲載は読んでおらず、順番的には知り合ってから、その後、と読んだので二人の性格やそれまでの経緯もすんなり入ってきましたが、これが雑誌掲載分だけだったとすると、どうだったんでしょう。あまり二人に親近感を持つにはいかなかったんじゃないかな。そういう意味で、本になって初めて読んだのは正解のような気がします。
作者はまだ二冊目のノベルズということなので・・・新人さんと言っていいんでしょうか。デビュー作は拝見していませんが、ちょっと読みづらい感じがしました。スッスッと流れていかない文章なんですよね。言いたい感じはすごくよくわかるんだけど、上手くそれを言い表せていないじれったさを感じる部分もあったりしました。そのせいで人物の行動と想いがちぐはぐに感じられ、キャラが何をしたいのかわからなくなっている。キャラの性格も雑誌掲載と書き下ろしでは微妙に違ってますよね。
微妙な心理をついていて、共感できるところもあるんですが、凝った表現もいいけどストレートに伝えることも大事ではないかなと思います。

あら、なんだか凄く偉そうですね。すみません、何様?
でも、往生際の悪い大人が恋に落ちてオロオロするのは私も好きですので、それなりに楽しく読めました。
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