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センチメンタル・セクスアリス
砂原 糖子著 / ヤマダサクラコ〔画〕
幻冬舎コミックス
ルチル文庫(2006.11)


モデルの相原春巳には奴隷がいる。
デカくて力持ち、家事もでき、自分の命令をなんでも聞く男。そんな都合のいい奴隷・真部仙介は理系に大学院生。春巳とは幼馴染だ。
高校卒業のとき、仙介に告白されプロポーズのように申し込まれた同居を始めてから4年。セックスの真似事はしているが、ホモじゃないから最後までしない――そんな春巳に仙介は…?
真部仙介(まなべせんすけ・22歳)×相原春巳(あいはらはるみ・22歳)

(↓本日、イヤになるほど長くなっております。)

売れないモデルの春巳は、幼馴染の真部と同居中。
高校卒業の時、真鍋が預金通帳を春巳に突き出しながら、好きだ、俺のものになってくれと告白したのがきっかけです。

春巳の家は、柔道場でした。師範であり道場主の父は、息子である春巳にも柔道をさせたかったでしょうが、生憎春巳は喘息持ちの虚弱体質で、父の期待を裏切る子供でした。
そんな春巳の家の道場に、柔道を習いにきたのが真部です。自分と同じ小学4年生ながら、身体がデカく、礼儀正しい無口な子供。ひ弱な息子を「軟弱者」と叱咤した父親も、真部のことはとても気に入っていました。
見た目は病弱な美少年だった春巳は、実は負けん気だけは人一倍強く、口の悪い子供でした。自分とは違う体格と雰囲気を持つ真部のことがやたらと気にかかり、練習中の真部にヤジを飛ばすことは、春巳のそのころの一番の楽しみだったのです。
とても仲良くなれる雰囲気ではなかったのに、小、中、高と同じ学校にすすみ、同じクラスにもなったことで、たまに多少の会話は交わすようになりましたが、親しいとはとても言えない関係。なのに、卒業式のあと、体育館の裏に呼び出され、真部の意外な告白となったわけです。
父と折り合いの悪かった春巳はそれをきっかけに家を出、真部と暮らし始めます。

高校卒業後、スカウトをきっかけにモデルの仕事を始めた春巳ですが、たいして売れもせず、最近では仕事量にも翳りが見え始めています。生活費は、大学院生である真部のバイト代で賄い、決して裕福とは言えないのに自分の微々たる給料を入れるわけでもなく、洋服や装飾品を買い、モデル仲間と飲み歩き、終電がなくなれば時間も選ばず真部を呼びつけ、迎えにこさせる。
真部の置いておいた集金用のお金まで飲んでしまい、ご飯のおかずがなくなると「俺に苦労させないんじゃなかったか?」
好きだと言われて一緒に暮らしているわけですから、一応性関係はあるけれど、「俺はホモじゃないから最後まではしない」とキッパリ撥ねつけ、真部に許しているのは愛撫と擦ることと素股だけ(笑)
ことあるごとに「ホモ」と罵倒し、色黒の身体を見れば「ちゃんと洗ったのか」 
汗掻くな、暑苦しい、ホモ野郎、数々の悪態の限りを尽くし、衣装でちらかった自分の部屋は無視して真部のベッドを占領する。早漏の自分については考えないようにして、持久力も体力もある真部に対しては「遅漏だから、おまえがおかしい」
仕事で干され、三流のチラシの仕事や深夜のスポットCMで胡散臭い商品の宣伝をしていてもプライドだけは人一倍高い。
金銭感覚のない春巳の辞書には、謹直、堅実、節約の文字はないが、貞操観念という言葉もない。真部とsex紛いのことをした後は、自分がホモじゃないことを確認するため、女の子と遊び歩く。

好き勝手言いたい放題やりたい放題のことをしても、真部は特に文句を言うでもありません。
そりゃそうだ、おれにホレちゃってるもんな、みたいに骨の髄まで俺様な春巳。

こうやってあげつらうと凄いキャラですね。
砂原さんは、あとがきを拝見するに性格の悪い受けがわりと好きで、今回はツンデレを目指したそうですが、ツンデレというよりは「おバカさん」。
いや、凄い男の子です。
凄いというか、はっきり言えば眉を顰めたくなるようなイヤなやつ。性格ワル~とつぶやきたくなりますが、もちろんそれだけじゃないんです。
自分勝手で可愛げがなく、何様な春巳の言動を、過去、現在と交互に行き来するうちに、わかってくるんです。

アンタ、ひょっとして小学生のときから真部にベタ惚れなんじゃん?

これですよね、これ(笑)
この加減が絶妙なんですね~。
春巳はなんと可愛らしく、そしてアホで損な性格なんでしょう。
意地っ張りで強がりで頑固で鈍感。
とても愛すべきおバカさんであるのですね。
今回のパターンも、砂原さんお得意の「変わった受けに翻弄される攻め」という位置関係。

攻めの真部は、これもまたあとがきから、「男らしい攻めを書こうと奮闘中」だそうで、流れとしては、ディアプラスの最新刊の攻めあたりからそんな流れを目指してるみたいですが、「男臭さ」があがってますね。
無骨で寡黙でシャレっ気がなく、デカくて逞しくて、“ガレー船を漕いだり石材を運搬するのに役立ちそう”なタイプ。“熊”とも言われてますね。
やはりご自分の男らしさの定義に疑問を抱いていらっしゃるようですが、好きですね、その定義(笑)。
こういう男は、たいてい何も語らなくても受けを真摯に愛してるし、将来のことを考えてるし、懐が深かったりします。かなりのことまで許容し、興味が無いような無表情で淡々としていますが、ある一線を越えると爆発して襲い掛かり、獲物を容赦なく食い尽くすグリズリーとなります。それまでやんちゃしてた受けはもう、びっくりして萎縮して、食べられてしまうしかないのですね。

おバカさんな春巳は自分の気持ちに全然気づきません。
性格も俺様で、意地っ張りなので、可愛げのある態度も取れないし、口を開けば悪態ばかりです。
真部の周りに女の影がチラつきはじめ、少しは焦るかと思いきや、“エロホモ野郎がふざけんな。俺が好きならおとなしく奴隷業に従事しやがれってんだ”。 ますます意固地になっていきます。
はたから見れば、実は“ヤキモチ”以外の何者でもないのに。
そしてとうとう、ある出来事が真部を本気で怒らせてしまい…真部大爆発。

春巳の過去のトラウマとか、父との確執とか、書きたいことがたくさんあるのに、ここまでで既に長すぎました。
簡単に書くと、ことあるごとに「俺はホモじゃない」と言うのは、過去に原因があるのだと思います。このシーン、ここまで詳しく書かなくても…とちょっと思ったんですが、そのあとの公園での真部とのシーンに続く大事な部分だとも思えます。屈辱と絶望と、死にたいほどの哀しみと苦しみ、そして自分を包んでくれる優しさと安堵。
そのときのことを思い出し、春巳がやっと、本当にやっと自分の気持ちを認めるのですが、シーンのラストにさりげなく挿入されたその言葉に、感動しちゃいました。いや、「ああ、とうとう…」と安心したというか。

柔道家の父とはタイプが違い、全くソリが会わなかった春巳ですが、春巳と春巳の父は、実は性格がそっくりだと思います。この父にしてこの子あり。
お父さんは素直になれるんでしょうか?

砂原さんの作品は、軽快なラブコメディと思い最初は楽しく読んでると、いつのまにか恋する気持ちの不器用さや繊細さ、切なさ、いじらしさに、がっちり掴まれてしまいます。
今回も、砂原さんらしい、大変面白いお話でした。

先日デビュー作ではなく、デビュー本を読みました。
内容があまり好きな世界の話ではなかったので感想はパスしましたが、今の砂原さんを彷彿とさせる上手さはやはり光っていて、いいところをドンドン伸ばしてきた人なんだなぁ~と感じました。
これからも非常に楽しみです。
ラブコメディの上手さは疑うところがありませんが、またシリアスでも感動させて欲しいなぁ。
コメント
この記事へのコメント
こんにちは。
砂原さん何冊か読んで、やっとキターって感じがしたのがこれです。
こういうのツンデレって言うんですか? 違うでしょう(笑)。
甘ったれの受をまるごと許容している攻めの無骨さが好きです。
食べるものがなくてもNHKに支払うような真面目さがとても好きだ・・・。

遅まきながら砂原さんの実力に気づき、「純愛ナルシスト」を注文してしまいましたが、これがもしかしてそのデビュー本ですか? 早まったか私?
2008/01/10(木) 11:03 | URL | ゆきのこ「 #KD5XUSzs[ 編集]
>ゆきのこさん
こんにちは~!

こちら、受の性格に賛否両論あったようで、駄目だったかたもいたようなんですよね。
でも、ご覧のように感想を長々書いている私もかなり好きな作品です。
『ツンデレ』はちょっと疑問でしたけども(笑)、ホントに愛すべきおばかさんだと思いました。
そして、仰るとおり、無骨で真面目で無口な攻めが良いんですよね~。
砂原さんの、この“男らしさの定義”は個人的に共感します(笑)

砂原さんの実質的なデビュー作は、投稿作品である「シンプルイメージ」ですが、初めての本は「純愛ナルシスト」です。
「恋するナルシスト」と続編も出てますよ。
「抱かれたい男連続1位」の人気タレント、だけど童貞・・・という受。
ナルシストで女王様で、やはり性格に難アリですが、恋する心は可愛らしい。
お相手は所属事務所の社長で、一見温和だけど、実は意地悪という攻めです。
随所に砂原さんらしいいい部分はありましたが、個人的にはちょっと違うかな?と思ったので感想書かなかったんですよ。
でも、ゆきのこさんがどう感じられるか、興味あります!
2008/01/10(木) 19:21 | URL | mimu #-[ 編集]
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