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八月の略奪者(ラプトル)
いつき 朔夜著 / 藤崎一也イラスト
新書館
ディアプラス文庫(2006.11)


それは高校三年生の夏。思いがけずみつけた運命だった――。
校外見学でやってきた博物館で、アンモナイトの化石を割ってしまった浩紀。だが、いつものように適当に流そうとした浩紀を、学芸員の香月は本気で叱った。
真面目で融通のきかない彼に反発を覚える浩紀だったが、博物館に通いつめるうちに、博識で可愛いところのある年上のひとにいつしか惹かれていき…。
椋本浩紀(むくもとひろき)×香月草一(かつきそういち)
6歳年下攻め。

「八月の略奪者」雑誌掲載
「十二月の暴君」書き下ろし の二編収録。
いつきさんの三冊目になります。今回は年下攻め。

「八月の略奪者」は、二人が出会ってから恋人になるまで。
高三の校外見学で博物館を訪れた浩紀は、学芸員の草一と出会います。
そこでの体験学習で、アンモナイトの化石を壊してしまい、素直に謝らずに軽く流そうとした浩紀は草一に頬を叩かれて叱られてしまいます。
そしてそれを弁償するかわりに館長から言いつけられたのが夏休みの間、ボランティアで博物館の仕事を手伝うこと。
始めは渋々、嫌々ながら手伝っていた浩紀ですが、草一と一緒に過ごすうちに・・・というわけですね。

「十二月の暴君」は、恋人になって三年、浩紀は就職活動の最中で、草一も仕事が忙しくなかなか会えませんが、二人の仲は順調。
といいたいところですが、年上の男は、年下の恋人の将来を案じ、別れを考えている。

「八月の略奪者」は浩紀側の視点です。
好きなものを好きと素直に言えない、傷つくのが怖いから何でも適当に流して軽いふりをする、そして自分の将来も見えてこない、まだまだ成長途中の少年と青年の狭間にいる浩紀。
そんな浩紀が草一と出会い、惹かれて、そして自分の行く先の目標も掴んでいきます。

「十二月の暴君」では視点は草一側に変わりますが、ここでは草一が、BLでは定番の年上の悩み、年下の恋人の将来を案じ、“浩紀のために別れなければ”と自己完結してグルグルしています。将来のことだけではなくて、やはり、ノンケだった恋人がいつ再び女性に心を奪われないとも限らない、そんな怖れも抱いている。
しかし、一方の浩紀は迷いがなく、草一との将来をきちんと考えている。それをつらぬくためには自分で考えていた目標を軌道修正することも辞さない。
「八月」では、確かにまだ幼く甘ったれた内面を抱えていた浩紀ですが、確実に成長して大人になりつつあり、先を見る力、柔軟さを備えつつある。
若さからくる無鉄砲さや、性格の違いもあるかもしれないけれど、お話の最後では、浩紀と草一は確実に対等になっていましたよね。草一は、ずっとコンプレックスを抱えていて、周りに対して鎧をかぶっていたのだけれど、自分でも気づかないうちに浩紀にその鎧を取り払われてしまってる。
一緒にいて、自然に変わっていける、そういうのっていいなと思う。

一冊を通して、浩紀の成長を感じられるお話でした。
こんなふうに一人の少年が大人になっていく過程を草一のように見つめていくのっていいな。
色っぽさはないですし、あらすじだけを言えばそれほど新鮮さは感じられないのですが、中身はとても丁寧に丁寧に書かれたお話で、やはり上手さを感じます。
面白かったです。
表紙の色がとっても綺麗。
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