時は足利時代。
絵を学ぶために明の国を訪れた少年・千歳は、いつしか皇帝の愛顧を受ける宮廷画家にまで成長した。
そんなある日、千歳はひとりの男と運命的な出逢いを果たす。武将の面差しと帝位を狙う知略を見るものに感じさせる趙浚祥だ。彼は、千歳が描きたいと思っていた画の理想そのものであった。
ともに時を過ごすうちに囚われていく恋情。人の手によって教えられる熱。
身も心も浚祥に捕らえられた千歳を待っていたものは、残酷な裏切りだった…!?
絵を学ぶために明の国を訪れた少年・千歳は、いつしか皇帝の愛顧を受ける宮廷画家にまで成長した。
そんなある日、千歳はひとりの男と運命的な出逢いを果たす。武将の面差しと帝位を狙う知略を見るものに感じさせる趙浚祥だ。彼は、千歳が描きたいと思っていた画の理想そのものであった。
ともに時を過ごすうちに囚われていく恋情。人の手によって教えられる熱。
身も心も浚祥に捕らえられた千歳を待っていたものは、残酷な裏切りだった…!?
趙浚翔(ちょう・しゅんしょう)×千歳(ちとせ・19歳)
日本では室町の頃。
明(みん)時代の中国が舞台のお話です。
両親を亡くし寺の稚児となっていた千歳は、絵の大好きな少年でした。父か祖父のように自分を可愛がり庇ってくれた僧・秀鴛(しゅうえん)に守られて暮らしていましたが、秀鴛の死を機に、千歳の寺での身は危うくなります。男しかいない寺では、稚児が僧の性の対象にされていたのですが、今までは秀鴛に守られていたのですね。しかし秀鴛亡きあと、千歳に手を出そうとするものが出てきたのです。
このまま寺にいることに危惧を抱いた千歳は、絵を学ぶため中国へと海を渡ります。
京の商人の紹介で、中国の豪商・史良奇(しりょうき)の世話になることのできた千歳は、4年後には宮廷画家として皇帝に愛顧を受けるまでにその才能を開花させました。
皇帝に愛されたと言っても変な意味はないです。千歳と同年齢で、優しく芸術を愛する皇帝とは、臣下としては勿論、絵を介して友愛の情を育んでいたんですね。
しかし、そんな千歳の恵まれた境遇とは裏腹に、皇帝と、皇帝の叔父・燕王(えんおう)との間では、現在すでに三年にも渡る戦争が起きています。
燕王の謀反は、全て皇帝の優しさが引き起こしたことでありましたが、心優しい皇帝は、争いを好まず、状況に心を痛めていました。
そんな時、千歳は皇帝から、ある絵を描くようにと頼まれます。
皇帝の心を慰めるために、絵のモデルを探していた千歳は、世話になっている史良奇の屋敷に現われた客人・趙浚翔(ちょうしゅんしょう)と出会います。
絵のイメージにぴったりの浚翔に、モデルを頼む千歳。
浚翔は快くモデルを引き受け、浚翔が史良奇家に滞在する間、共に時間を過ごすようになります。
やがて浚翔に恋をする千歳。
浚翔も、千歳の想いを受け入れ、二人は結ばれます。
しかし、浚翔は、実は皇帝に反旗を翻した燕王の手の者でした。浚翔が千歳から引き出した情報を元に、燕王軍は皇帝軍を倒し、皇帝のいる都へと攻め入ってきます。
浚翔に利用され裏切られたと知った千歳。
でも、浚翔も、最初こそ確かに利用するために千歳に近づきましたが、やがて本当に千歳を想うようになっていたのです。
自分と一緒にくるように浚翔は千歳を説得します。
しかし、浚翔の裏切りに傷ついた千歳はそれを受け付けません。何を言っても受け入れない千歳のために、浚翔はわざと冷たい言葉をぶつけ、自分を憎み、その憎しみを力に生き延びて欲しい、と千歳を手離します。
浚翔に憎しみをぶつけ、自分のせいで危機に落としてしまった皇帝の元へ、走る千歳。
都が燕王の手に落ちれば、皇帝は殺されてしまいます。
自分の絵を愛してくれた皇帝への忠誠と友情のため、千歳は皇帝とともに逃げ延び、皇帝を生かそうとするのですが、なんとか城外に逃げ、廃寺へ逃げ込んだ千歳と皇帝は、しかし、あっけなく浚翔の手に掴まり捉えられてしまいます。
浚翔もまた、燕王に忠誠を誓ったからには、皇帝を生きたまま逃がすわけにはいかないのです。けれど、なんとかして千歳だけは生かしたいと想う浚翔ですが、浚翔を憎む千歳は、頑として浚翔の言葉を聞き入れない。
しかし、千歳も浚翔を本当に憎みながらも、愛する気持ちは決して消えてはいないのです。
すれちがった愛の行方、そして今では皇帝とそれに仕える画家という関係を越え、友人としてお互いを思い合う皇帝と千歳の運命は?
北畠さんのイラストに惹かれて購入しましたが、面白かったです。
せつなくて所々文字が霞んでしまいましたよ。
表紙の千歳は、とても可愛らしく儚げなんですが、ところがどっこい、気丈で逞しく、なかなか芯のある男の子でした。どこまでも優しく弱々しい皇帝を励まし守り、その友情のために命を懸けようとする思いも健気で強くていいですね。その真っ直ぐな思いや一生懸命さが伝わってきて応援したくなる感じです。そして可愛いですしね。
また、まるでロミオとジュリエットのように、相反する立場で愛し合い擦れ違う浚翔と千歳も切なくて素敵(笑)。
愛する浚翔との恋と、真の友人となった皇帝の命の行方を、ハラハラしながら、涙しながら読みました。
惜しむらくは、浚翔にもうちょっと頑張って欲しかったか。
もっと煩悶して悩んでくれても良かったし。
千歳の頑張りの影に隠れてしまった感があります。
しかし。読み始めると引き込まれる、たいへん面白いお話でした。
日本では室町の頃。
明(みん)時代の中国が舞台のお話です。
両親を亡くし寺の稚児となっていた千歳は、絵の大好きな少年でした。父か祖父のように自分を可愛がり庇ってくれた僧・秀鴛(しゅうえん)に守られて暮らしていましたが、秀鴛の死を機に、千歳の寺での身は危うくなります。男しかいない寺では、稚児が僧の性の対象にされていたのですが、今までは秀鴛に守られていたのですね。しかし秀鴛亡きあと、千歳に手を出そうとするものが出てきたのです。
このまま寺にいることに危惧を抱いた千歳は、絵を学ぶため中国へと海を渡ります。
京の商人の紹介で、中国の豪商・史良奇(しりょうき)の世話になることのできた千歳は、4年後には宮廷画家として皇帝に愛顧を受けるまでにその才能を開花させました。
皇帝に愛されたと言っても変な意味はないです。千歳と同年齢で、優しく芸術を愛する皇帝とは、臣下としては勿論、絵を介して友愛の情を育んでいたんですね。
しかし、そんな千歳の恵まれた境遇とは裏腹に、皇帝と、皇帝の叔父・燕王(えんおう)との間では、現在すでに三年にも渡る戦争が起きています。
燕王の謀反は、全て皇帝の優しさが引き起こしたことでありましたが、心優しい皇帝は、争いを好まず、状況に心を痛めていました。
そんな時、千歳は皇帝から、ある絵を描くようにと頼まれます。
皇帝の心を慰めるために、絵のモデルを探していた千歳は、世話になっている史良奇の屋敷に現われた客人・趙浚翔(ちょうしゅんしょう)と出会います。
絵のイメージにぴったりの浚翔に、モデルを頼む千歳。
浚翔は快くモデルを引き受け、浚翔が史良奇家に滞在する間、共に時間を過ごすようになります。
やがて浚翔に恋をする千歳。
浚翔も、千歳の想いを受け入れ、二人は結ばれます。
しかし、浚翔は、実は皇帝に反旗を翻した燕王の手の者でした。浚翔が千歳から引き出した情報を元に、燕王軍は皇帝軍を倒し、皇帝のいる都へと攻め入ってきます。
浚翔に利用され裏切られたと知った千歳。
でも、浚翔も、最初こそ確かに利用するために千歳に近づきましたが、やがて本当に千歳を想うようになっていたのです。
自分と一緒にくるように浚翔は千歳を説得します。
しかし、浚翔の裏切りに傷ついた千歳はそれを受け付けません。何を言っても受け入れない千歳のために、浚翔はわざと冷たい言葉をぶつけ、自分を憎み、その憎しみを力に生き延びて欲しい、と千歳を手離します。
浚翔に憎しみをぶつけ、自分のせいで危機に落としてしまった皇帝の元へ、走る千歳。
都が燕王の手に落ちれば、皇帝は殺されてしまいます。
自分の絵を愛してくれた皇帝への忠誠と友情のため、千歳は皇帝とともに逃げ延び、皇帝を生かそうとするのですが、なんとか城外に逃げ、廃寺へ逃げ込んだ千歳と皇帝は、しかし、あっけなく浚翔の手に掴まり捉えられてしまいます。
浚翔もまた、燕王に忠誠を誓ったからには、皇帝を生きたまま逃がすわけにはいかないのです。けれど、なんとかして千歳だけは生かしたいと想う浚翔ですが、浚翔を憎む千歳は、頑として浚翔の言葉を聞き入れない。
しかし、千歳も浚翔を本当に憎みながらも、愛する気持ちは決して消えてはいないのです。
すれちがった愛の行方、そして今では皇帝とそれに仕える画家という関係を越え、友人としてお互いを思い合う皇帝と千歳の運命は?
北畠さんのイラストに惹かれて購入しましたが、面白かったです。
せつなくて所々文字が霞んでしまいましたよ。
表紙の千歳は、とても可愛らしく儚げなんですが、ところがどっこい、気丈で逞しく、なかなか芯のある男の子でした。どこまでも優しく弱々しい皇帝を励まし守り、その友情のために命を懸けようとする思いも健気で強くていいですね。その真っ直ぐな思いや一生懸命さが伝わってきて応援したくなる感じです。そして可愛いですしね。
また、まるでロミオとジュリエットのように、相反する立場で愛し合い擦れ違う浚翔と千歳も切なくて素敵(笑)。
愛する浚翔との恋と、真の友人となった皇帝の命の行方を、ハラハラしながら、涙しながら読みました。
惜しむらくは、浚翔にもうちょっと頑張って欲しかったか。
もっと煩悶して悩んでくれても良かったし。
千歳の頑張りの影に隠れてしまった感があります。
しかし。読み始めると引き込まれる、たいへん面白いお話でした。
この記事のトラックバックURL
http://0hz.blog112.fc2.com/tb.php/198-8d3b6ff9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック