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純情な恋人
成宮 ゆり著 / 紺野けい子イラスト
角川書店
ルビー文庫(2006.11)


「恋愛なんて面倒」だから適当に遊んで、決して本気にはならない事を信条としている大学生の春樹。
ところがある日、恋人に別れを切り出した途端に監禁まがいの事をされ、ようやく逃げ出してきたところを、二匹の犬を連れた男・上総に家へと誘われる。
「俺を思い出さないのか?」と聞いてくる上総に覚えがない春樹。しかし、一宿一飯の恩に対し体を差し出す提案をした春樹を、上総はなぜか怒りに任せて襲ってきて…!?
二度目の出会いは運命―
不器用で一途なエリート×淫らで奔放な大学生のイマドキ純情ラブ。
岩倉上総(いわくらかずさ)×田島春樹(たじまはるき・大学4年生)
上総の年齢は不明。多分20代後半くらい。

デビュー作「野蛮な恋人」のリンク作です。
主人公は、前作の攻め・秋人の兄、春樹。
本気の恋愛はせず、フラフラと遊び歩いているような印象がありましたが、そんな春樹がついに本気の恋を捕まえるお話です。
前作の主人公たちは名前が上がるのみで登場していませんので、これだけでも大丈夫。

一夜限りの相手、本気にならない相手だけを選んできた春樹は、つきあっていた恋人の独占欲や嫉妬に悩まされ、別れを切り出したところ腕を縛られて監禁されてしまい、財布と携帯だけを持って何とかその場を逃げ出します。
春樹の素行を知っている実家には帰れず、弟の秋人は恋人と同棲中で押しかけることも憚られ、大学の友人は長期休暇中ということもあって不在。親友にも迷惑をかけてばかりで、訪ねるのは気が引ける。
雨降る中、公園で途方に暮れていると、そこへ二匹の犬を連れた男がやってきます。

見惚れるほど整った綺麗な顔をした男。
春樹を見て驚いた顔をしたその男は、「春樹」と名を呼び、自分を知っている様子。
しかし、春樹には誰だか思い出せません。
「岩倉上総」と名を聞いてもやっぱり思い出せない。
尋ねても、「自分で考えろ」と教えてくれない上総ですが、雨に濡れた春樹を自分の家へと連れ帰ってくれます。

初めてあった男と寝ることなど珍しくもない春樹は、上総もそれが目当てで自分を泊めてくれるのだろうと思います。しかし、上総は、犬の面倒を見てくれればいい、という。
春樹の常識では有り得ない答えに、宿代代わりに自分から上総を誘う春樹ですが、なぜか不機嫌になった上総に乱暴に抱かれてしまいます。

考えても上総のことを思い出せない春樹。
乱暴に扱われたことに腹を立て、翌日家を出ていこうとしますが、タイミング悪く(良く?)上総の犬に餌と散歩をねだられ…結局なんだかんだと家を出られないまま、上総の家に居続けることになってしまいます。
いつも不機嫌な上総に、「最低のヤツ」と憤懣やるかたない春樹。
けれど、一緒にいるうちに、上総のことを思い出せないのに、気持ちは惹かれていく。

しかし、上総と上総の部下・雪(ゆき・男)がキスしているところを春樹は見てしまいます。
まあ、当て馬というほど出張ってくるわけではなく、雪の片思いだというのは丸分かり。上総の兄・安曇(あずみ)まで参戦してきますが、こちらも当て馬というには弱い。キャラ的には面白そうな、美味しそうな人たちでしたけど(笑)。
ストーカーと化した監禁男に春樹が再び捕まって危機一髪…というのは、わりとありがちな展開かな?

春樹がなぜ本気の恋をしたくないと思うようになったのか、そのへんは過去の恋に原因があるんですが、わりとアッサリ流れているので、頑なに思いつめるほどの話には思えてこないのもちょっと引っかかる。
一番興味があったのは上総と春樹がいつ出会っていたのかでしたが、明かされたエピソードは結構ロマンティックでいいなと思いました。ちゃんと覚えていたら、「再会は運命」と、すぐに盛り上がったかもしれませんね。春樹が覚えてないと知って上総ががっかりして怒る気持ちもわかる。

「純情な恋人」というのは上総のことかな~と思いましたが、遊び人なのにだらしのない感じのない春樹も、冷めたようなことを言ってても変に擦れてないし、上総への気持ちを認めてからは、ちゃんと操を立てちゃったりするのは結構ストレートで純情だと思います。二人とも純情ですよね。
「浮気したら殺してやる」「絶対取られたくないんだよ」なんて、今までの自分はどうなっちゃったのかというくらい上総との恋で変わった春樹も、そういうことを真っ直ぐ口にするところも可愛いじゃないかと思いました。


デビュー二作目ということですが、書き慣れていらっしゃる感じがしますね。
インパクトは前作の方が強く面白かったように思います。前作ほどのいきおいはない感じだけど、期待しすぎのせいもあるかも(笑)。また新作も是非読んでみたいですね。
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