天才的な声を持つ端麗なソプラニスタ・槙一洋は、残酷に自分を捨てドイツに留学した恋人・岸本恭輔の記憶に囚われていた。
声楽を通じて互いの才能に嫉妬し憧れるがゆえに、いっそう愛しいと焦がれる絶対の絆。そう信じていたからこそ深く傷ついた槙は、左手に癒えない傷痕を抱え続けていた。
そして5年振りに岸本と再会する時「おまえは逃げたんだ」と、槙の抑えていた愛と憎しみが溢れ出し―!!
螺旋のように絡み、高め合う珠玉の愛。
声楽を通じて互いの才能に嫉妬し憧れるがゆえに、いっそう愛しいと焦がれる絶対の絆。そう信じていたからこそ深く傷ついた槙は、左手に癒えない傷痕を抱え続けていた。
そして5年振りに岸本と再会する時「おまえは逃げたんだ」と、槙の抑えていた愛と憎しみが溢れ出し―!!
螺旋のように絡み、高め合う珠玉の愛。
岸本恭輔(きしもときょうすけ)×槙一洋(まきかずひろ)
同い年。27歳~28歳
声楽家同士。“声楽家”は読んだことないような気がします。
覚えてないだけかな。
音大で同級だった槙と岸本。
同期の中で、ずば抜けていた二人は、お互いの才能を認め合い、やがて友人となり恋人となり、ライバルとしてお互いに切磋琢磨しながら高みを目指していく関係を築いているはずでした。
しかしある日突然の岸本から別れの言葉を告げられます。それも「もう別れたい」とあっさり。
プライドが邪魔をして理由を問えず、槙もまたそれを受け入れますが、行き場の無くなった想いは、その後槙の中でずっと燻り続けます。
岸本はドイツへ飛び、槙は日本を拠点にして声楽家として活動を始め、二人の接点が無くなって5年。
恩師の退職を記念した教え子たちによるコンサートに、一旦は出演を断った岸本が帰国しやはり出演すると連絡を寄こし・・・二人は再会します。
帰国した岸本は、傍らに一人の男を伴っていました。結城七海(ゆうきななみ)。ほっそりと華奢で無垢な清々しさの漂う、美しい男。
男だからといって、岸本の場合恋人でないと言い切れないのは槙がよく知っています。
岸本と結城の間に流れる空気に、それを嗅ぎ取った槙の心の中に、どす黒い感情が渦巻いていく。
好敵手、ライバルとして、そして恋人として、どこまでも一緒に歩いていけると思えるのは、槙にとっては岸本だけ、岸本にとっては槙だけのはずでした。
二人がつきあっていた頃も、お互いそう認め合っていたのに、岸本は槙に別れを告げ、今、槙の目の前で仲睦まじく寄り添う姿を見せる岸本と結城に、槙の胸は痛みます。
その痛みは“憎しみ”のせい。恩師のコンサートのために、顔を合わせるたび槙の心には“憎しみ”が募っていく。
そして、槙は自分を裏切り捨てていった岸本に復讐してやる、と思います。
自分の大事なものを奪った岸本に、今度は自分が結城を奪い、同じ思いをさせてやろうと。
そして、結城を奪うことを岸本に隠すことなく、むしろ見せ付けるように、槙は結城を誘い、岸本の狼狽を笑うのですが。
表紙に3人並んでるとおり「三角関係」ではあるんですが、槙の内面は結構ドロドロしてますけど、このあと3人の関係が泥沼化していくかというと、実はそんなことはなかったです。
結城のポジションが、よくあるお邪魔君、当て馬とはちょっと違うんですよね。
彼はなんというか…槙と岸本を結びつけるためにやってきた天使?(笑)
ドイツにいたころ、確かに結城は岸本に、岸本は結城に惹かれてはいましたが、実は癒しや慰めのようなものが二人を結びつけていたんですね。
あんまり書くと面白いところをネタバレになってしまうけど、結城は何もかもわかったうえで“自分の役割”を演じ、槙と岸本の関係を修復するために動いてくれる、実は大変いい人なキャラなのです。
歌を歌うということは、岸本と槙にとっては息をするのと同じように自然でそして生きていく上で一番大切な根幹のようなもので、多分何よりも大事なのが「歌」であるわけです。
歌の存在が、声楽家として生きていくことが、お互いにとっての人生の夢、目標、生きがいの全てであることをわかりあい、そして力を認め合うからこそ、高みを目指す相手の隣にはいつも自分もいることを願う。
けれど、相手を愛し、気持ちがどんどん深く強く大きくなったとき、共存していくはずだった愛と歌のバランスが岸本の中で崩れてしまう。
岸本、槙、結城、3人の思いが過去から現在へと、表になり裏になり捻れてまさに螺旋のように絡まりあい、なかなか面白かったです。
三角関係で、さてどっちを選ぶ?的な話では全然ありませんでした。
岸本と槙の、螺旋のように絡み合った複雑な関係に、手を貸してくれるのが結城。
「螺旋」という言葉には、二人の捩れた関係も含まれているかもしれませんが、“二響”とあるように、声楽家である二人が、一緒に歌い上げる愛の歌が、絡まって溶け合って高く昇っていくような、そんなイメージも抱かせるお話でした。
実際に二人で歌うシーンも何度かあります。
できるもんならちょっと聴いてみたい。ムリだけど(笑)
結構好きだったみたいであっと言う間に読んでしまいました。
同い年。27歳~28歳
声楽家同士。“声楽家”は読んだことないような気がします。
覚えてないだけかな。
音大で同級だった槙と岸本。
同期の中で、ずば抜けていた二人は、お互いの才能を認め合い、やがて友人となり恋人となり、ライバルとしてお互いに切磋琢磨しながら高みを目指していく関係を築いているはずでした。
しかしある日突然の岸本から別れの言葉を告げられます。それも「もう別れたい」とあっさり。
プライドが邪魔をして理由を問えず、槙もまたそれを受け入れますが、行き場の無くなった想いは、その後槙の中でずっと燻り続けます。
岸本はドイツへ飛び、槙は日本を拠点にして声楽家として活動を始め、二人の接点が無くなって5年。
恩師の退職を記念した教え子たちによるコンサートに、一旦は出演を断った岸本が帰国しやはり出演すると連絡を寄こし・・・二人は再会します。
帰国した岸本は、傍らに一人の男を伴っていました。結城七海(ゆうきななみ)。ほっそりと華奢で無垢な清々しさの漂う、美しい男。
男だからといって、岸本の場合恋人でないと言い切れないのは槙がよく知っています。
岸本と結城の間に流れる空気に、それを嗅ぎ取った槙の心の中に、どす黒い感情が渦巻いていく。
好敵手、ライバルとして、そして恋人として、どこまでも一緒に歩いていけると思えるのは、槙にとっては岸本だけ、岸本にとっては槙だけのはずでした。
二人がつきあっていた頃も、お互いそう認め合っていたのに、岸本は槙に別れを告げ、今、槙の目の前で仲睦まじく寄り添う姿を見せる岸本と結城に、槙の胸は痛みます。
その痛みは“憎しみ”のせい。恩師のコンサートのために、顔を合わせるたび槙の心には“憎しみ”が募っていく。
そして、槙は自分を裏切り捨てていった岸本に復讐してやる、と思います。
自分の大事なものを奪った岸本に、今度は自分が結城を奪い、同じ思いをさせてやろうと。
そして、結城を奪うことを岸本に隠すことなく、むしろ見せ付けるように、槙は結城を誘い、岸本の狼狽を笑うのですが。
表紙に3人並んでるとおり「三角関係」ではあるんですが、槙の内面は結構ドロドロしてますけど、このあと3人の関係が泥沼化していくかというと、実はそんなことはなかったです。
結城のポジションが、よくあるお邪魔君、当て馬とはちょっと違うんですよね。
彼はなんというか…槙と岸本を結びつけるためにやってきた天使?(笑)
ドイツにいたころ、確かに結城は岸本に、岸本は結城に惹かれてはいましたが、実は癒しや慰めのようなものが二人を結びつけていたんですね。
あんまり書くと面白いところをネタバレになってしまうけど、結城は何もかもわかったうえで“自分の役割”を演じ、槙と岸本の関係を修復するために動いてくれる、実は大変いい人なキャラなのです。
歌を歌うということは、岸本と槙にとっては息をするのと同じように自然でそして生きていく上で一番大切な根幹のようなもので、多分何よりも大事なのが「歌」であるわけです。
歌の存在が、声楽家として生きていくことが、お互いにとっての人生の夢、目標、生きがいの全てであることをわかりあい、そして力を認め合うからこそ、高みを目指す相手の隣にはいつも自分もいることを願う。
けれど、相手を愛し、気持ちがどんどん深く強く大きくなったとき、共存していくはずだった愛と歌のバランスが岸本の中で崩れてしまう。
岸本、槙、結城、3人の思いが過去から現在へと、表になり裏になり捻れてまさに螺旋のように絡まりあい、なかなか面白かったです。
三角関係で、さてどっちを選ぶ?的な話では全然ありませんでした。
岸本と槙の、螺旋のように絡み合った複雑な関係に、手を貸してくれるのが結城。
「螺旋」という言葉には、二人の捩れた関係も含まれているかもしれませんが、“二響”とあるように、声楽家である二人が、一緒に歌い上げる愛の歌が、絡まって溶け合って高く昇っていくような、そんなイメージも抱かせるお話でした。
実際に二人で歌うシーンも何度かあります。
できるもんならちょっと聴いてみたい。ムリだけど(笑)
結構好きだったみたいであっと言う間に読んでしまいました。
この記事へのコメント
こんばんは、mimuさん。
やっと今頃、このお話を読み終えました。いや、面白かったです
。
槇の燃える様な憎悪が痛いほどでした。結局、憎まずにはいられないほど愛していたのですね。
結城の存在もすごく良かったです。
普通なら2日かけて読む新書版ですが、ツボにハマッて一晩で読んでしまいました。
TB、よろしくお願いしますvv
やっと今頃、このお話を読み終えました。いや、面白かったです

槇の燃える様な憎悪が痛いほどでした。結局、憎まずにはいられないほど愛していたのですね。
結城の存在もすごく良かったです。
普通なら2日かけて読む新書版ですが、ツボにハマッて一晩で読んでしまいました。
TB、よろしくお願いしますvv
2007/09/25(火) 20:33 | URL | 桃 #-[ 編集]
>桃さん、こんにちは~。
私もこれはなかなか好きでした。
2人ともが声楽家というのは初めて読んだように思うんですけど、二人で歌う歌を実際に聴いてみたいと思いましたね。
TBありがとうございます~!
のちほどお邪魔しますね!
私もこれはなかなか好きでした。
2人ともが声楽家というのは初めて読んだように思うんですけど、二人で歌う歌を実際に聴いてみたいと思いましたね。
TBありがとうございます~!
のちほどお邪魔しますね!
2007/09/26(水) 08:12 | URL | mimu #-[ 編集]
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二響螺旋 ―愛と情熱のアリア― (アルルノベルス)
池戸裕子著。アルルノベルズ
最近、これといって読みたいBLに当らず、積んでおいた未読本を読んでいます。最近のレビューが出版されてから随分たったものばかりなのはそういうわけです。
やっぱりBLにだって中身の...
2007/09/25(火) 20:28:37 | 桃の楽園