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WEED
木原 音瀬著 / 金ひかるイラスト
リブレ出版
ビーボーイノベルズ(2007.5)


エリート医師の若宮と悪友・谷脇はある雨の夜一人の男を拾う。一夜限りの刺激的な遊びと、男を無理矢理弄んだ若宮たちだったが、一週間後、その男・岡田と偶然自宅で再会してしまう。
さらに、あの夜以前にも若宮は岡田に出会っていたと告げられ…。
こんなに求めたことがないから、どうしていいかわからない。そんな恋に出会ってしまった――。
岡田晋也(おかだしんや・25歳)×若宮勝志(わかみやかつし・30歳)
運送会社勤務×医師
「WEED」
「EVER」書き下ろし
「Passed by ~scene 1」書き下ろしの三編。

シリーズ三部作の第一弾復刊です。
“レイプ”が始まりというのは珍しくないですが、この時だけ若宮・谷脇(たにわき)×岡田と、攻受が逆になっているのは書いておくべきかと。その後は岡田×若宮に固定されますが。
最近では深井 結己さん『その唇に夜の露 (コミック) 』もこの形でした。

上手くいかない恋愛に仕事のストレスを抱えた若宮は、ある晩悪友でセフレである谷脇とドライブ中、雨に濡れる青年を拾います。親切心で乗せたわけではなく、この二人はろくでなしなので、目的は最初から強姦。二人でその青年を犯してしまうのです。

しかし、この青年が以前事故で妻を亡くし、娘は若宮の勤める病院で亡くなった、つまり医師とその家族という立場で顔を合わせていたことがわかります。

強姦した相手に氏素性を知られているという不安感から、なんとか岡田に許してもらおうとする若宮。しかし取り付く島もなく冷たく拒否されてしまいます。当たり前です。強姦しておいて簡単に許されるわけがないし、まず若宮は金で黙っていてもらおうと、誠意の欠片もないですしね。誠意があったら強姦なんてしてないだろうし、こんなろくでなしの最悪な男にはなっていなかっただろうと思いますが。そうそう、この若宮もまた性格悪い受けなんですよね。木原さんなので、「性格悪いと言ってもどこかいいところあるんじゃない?」という期待は見事に裏切られます。

岡田に許してもらいたいという気持はやがて岡田に気に入られたいという気持に変化していったということでしょうか。若宮は岡田に惹かれていきます。そして岡田も。
有り得ない…と思うんですが、岡田はWEED(雑草)のように、しぶとく強いんですね。心底。どちらかというとテンションの低いタイプだと思いますが、この人もちょっと変わった人だと思う。恋愛体質で、好きになった人にはどことん甘えたりベタベタしていたいタイプですが、じゃあ寄りかかってばかりかというと、そういう男ではない。むしろ、節操ないろくでなしの若宮の方がボロボロで、異常に嫉妬深く、岡田の浮気を疑っては自暴自棄になり、喧嘩をすると、寂しさから自分が浮気してしまったりします。
岡田はそれを許す。怒っても許す。
若宮はお世辞にも好感持てるタイプではないですが、ろくでなしが初めての恋に溺れ、嫉妬に苦しみ、みっともなさや醜さを曝け出す姿にこそ、本気の思いが見えると思います。カッコつけて取り繕っていられない、形振り構わないほど岡田に溺れている。人を好きになったら、疑心暗鬼になったり嫉妬したりするのは特別なことじゃないので、むしろ岡田の方が特異。若宮のある意味起伏の激しい愛情を受け入れ、それ以上に若宮を愛し受け入れている。だけど岡田からは激しさはあまり感じません。
雨に打たれようが踏みつけられようが根を張り続ける雑草のような強さと確かさで、岡田はそこにいて若宮を愛しているんだと感じる。

シリーズ第二弾が、さらにろくでなしの谷脇の話になるわけですが、書き下ろしの「Passed by ~scene 1」がちょっとそちらの内容を匂わせています。
この第二弾「FLOWER」が大変なんですよね…。
辛いから第三弾が出てから続けて読もうかなと思ってます。間が耐えられそうにないですからね。
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