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孤独な竜は愛に溺れる
池戸 裕子著 / 史堂櫂イラスト
心交社
ショコラノベルス(2006.10)


失踪した祖父の跡を継いで繁華街にある小さな診療所の医師となった若杉将弘は、ある日剣崎龍司という男と出会う。
元は知らぬ者はいないほどの極道で、今は親友で夜の街を仕切る『風俗王』の用心棒のような仕事をしている彼の、己れの命に執着しない、いつ死んでも構わないという生き方に、医師として激しく反発し苛立つ将弘だったが、一方でその孤独な背中に強く心を惹かれていく。だが内面を知ろうとすればするほど剣崎は将弘を突き放し、近寄らせてはくれない。
そんな中、剣崎に恨みを抱く男が将弘を拉致し―。
剣崎龍司(けんざき・りゅうじ37歳)×若杉将弘(わかすぎ・まさひろ26歳くらい)
元ヤクザとお医者さん。

繁華街で、訳あり患者を診ていた医師の祖父が突然フラッと旅に出てしまい、そのあとを継いだ気が強く真っ直ぐな性格のお医者さん・将弘が、祖父を訪ねてやってきた生きることに無関心になっている元ヤクザ・剣崎の心を開いていくお話です。逃げる攻めを追いかける受け(笑)。

ふとしたことから剣崎と知り合った将弘は、剣崎が傷つくことに頓着せず、生きることに興味がないのを見て腹を立てると同時に、彼のことが気になって仕方がありません。
気になるってことは好きだってこと。
まあ、いきなりそこまではいきませんが、元は知らぬ者がいないほどのヤクザで、その強さから「龍帝」とまで噂された剣崎の生への無頓着さは、医者である将弘には赦せないことでもあり、ほおっておけない将弘は、誰からも恐れられる剣崎に、真正面からぶつかっていきます。
生意気に自分に突っかかってくる将弘に剣崎も確かに興味は持つんですよね。自分から将弘を食事に誘ったりする。
その食事はちょっとした事件がきっかけでオジャンとなり、剣崎と将弘は言い争いになってしまうのですが、それでも将弘は、臆することなく自分から飛び込んでいく。

将弘は、ホントに真っ直ぐです。弱さとか孤独を自分も抱えながらも、立ち向かっていく強さがあって、ただの無鉄砲ではない。読んでて気持ちいいです。
剣崎の女と間違われて拉致され、乱暴され、ショックを受けていても、崩れてしまうことがない。
出逢ったときから剣崎の心に将弘が入り込んだことは間違いないんですけどね。でも、剣崎の態度は一見冷たいです。
だけど自分のせいで拉致され傷ついた将弘に苛立ったり、一度抱いておきながら半月以上も避けてみたり、惹かれるのと同時に遠ざけようと揺れる気持ちは伝わってくる。

そして、その強さから「暴れ龍」「龍帝」とまで言われた男だというのに、剣崎が実はとっても傷つきやすいことがわかってきます。
剣崎がなぜヤクザになったのかがよくわからなくて残念なんですが、その後の彼、そして抱えることになったトラウマが現在の剣崎に大きく影響していて、心を閉ざし、その壁は厚い。
顔を見ただけで誰もが道を開ける、闇の世界に生きる男なのに、彼の強さは実は「恐怖」からであるというところが、なんというか、いいなと思った。強い男の弱さというんでしょうか。完璧な男より、どこかに傷を負ってるというのが萌えです。お話が進むにつれて剣崎からそれが見えてきて、傷ついて心を閉ざす男に、真っ直ぐで強い将弘がぶつかって心を開いていく過程は、とても面白かった。傷ついた野獣を手懐けていくって感じで。

今は剣崎の雇い主のような立場で親友でもある風俗王・斎王(さいおう)、斎王の秘書・李(りー)もとてもいい味を出しています。将弘なら剣崎の生き方を変えることができるかもしれないと、将弘を見守り手助けしてくれる。彼らもカップルみたいなので、もしかするとリンク作とかあるかもしれないですね。

龍を手懐けた将弘ですが、この龍は心に傷を持っていただけでなく、神経性の胃潰瘍も患っていました(笑)。繊細な龍なんです。将弘にお酒も煙草も止められてしまいました。
一旦暴れ出すと自分でさえも止めることのできない剣崎に首輪をつけることは誰にもできないと言われていましたが、将弘がしっかり首輪をつけました。将弘なら龍の立派な飼い主になれます。
剣崎の心にも初めて安らぎが生まれたでしょうね。もう悪夢を見ることもないでしょう。

将弘は拉致されて乱暴されるんですが、そのシーンの記述はなく、ちょっと道具を使われて、何箇所か噛まれるだけで(笑)、そういうことがあったとちょこっと語られるだけですので、そういうのが駄目な人も大丈夫。
思ってたよりずっと面白かったです。
あっという間に読んじゃった。
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