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逢えるかもしれない
春原 いずみ著 / 麻生海イラスト
オークラ出版
アクア文庫(2004.2)


若手ながら優秀な整形外科医・吉永辰也の勤める喜多野記念病院に、内科医・内海尚之が赴任してくる。だが、短気で熱血な吉永とクールでシニカルな内海とはそりが合わず、ことごとく反発し合ってしまう。
そんなある日、内海が習慣性の脱臼に、人知れず悩んでいることを吉永は知る。
整形外科医として内海に手術を勧め、担当医となった吉永。内海の診療を通して二人はだんだんと惹かれ合っていくのだが…。

夢の扉
春原 いずみ著
オークラ出版 (2004.5)


整形外科医・吉永と内科医の内海は、同じ病院に勤める同僚医師。また、恋人同士でもあった。
だが、内海の弟・樹が骨腫瘍になり、入院したことから二人の関係にズレが生じ始める。病への恐怖から、それまで隠し続けてきた吉永への思慕を募らせる樹。そして、その想いを無下にはできない吉永。内海は、
そんな二人の姿を見て、次第に不安に駆られていき…。

鏡の迷路
春原 いずみ著
オークラ出版 (2004.9)


身も心も充実した日々を送る恋人同士の吉永と内海。
そんなある日、二人の勤める佐倉総合病院に、留学から帰国したばかりの整形外科医・春谷が赴任してくる。だが、スマートでやり手の春谷は、あっという間に院内の信頼を集め、専門の重なる吉永の存在を脅かしていく。
やがて、行き詰まっていく吉永は重大な問題を起こし―!?
内海は、あてどない心の迷路にさまよう吉永を救えるのか―。


整形外科医・吉永と内科医の内海は、ともに働く恋人同士である。互いに信頼感を抱き、穏やかに愛情をはぐくんでいたふたりの前に、思わぬ障害が現れてしまう。
あるとき、整形外科希望の実習生を受け入れることになった吉永は、彼女が同僚の異母兄妹・恵実だと知る。どこに行くにも吉永にべったりくっついている恵実のせいで、内海とはすれ違いばかり。
そして、内海には恵実の異母兄・春谷が接近して!?
たまには既刊本の感想も。

吉永辰也(よしなが・たつや)×内海尚之(うつみ・ひさゆき)
整形外科医×内科医。
年齢ははっきり設定されていません。
出会ってから数年間のお話。

全4巻のお医者さん同士「吉永×内海」シリーズです。
ノベルズを文庫化したものです。
春原さんは医療関係者だそうで、その方面の詳しさ、リアルさはバッチリ。
檜原さんの「恋愛処方箋」等の医療ものも病や院内シーンは詳しいですが、こちらも勝るとも劣りません。
が、雰囲気は、こちらの方がシットリ落ち着いてます。
ちなみに、「はるはら」さんではなくて「すのはら」さんです。


吉永の勤める喜多野記念病院に内海が赴任して2人が知り合い、恋人同士になるまでが1巻目「逢えるかもしれない」です。
熱血直情型の吉永とクールでシニカルな内海は、最初からソリが会わず、お互いの優秀さを認め合いながらも、何かと反発を繰り返します。
しかし、内海の抱える持病、習慣性脱臼を巡り、2人は接近、惹かれあっていきます。

「夢の扉」では、恋人同士となり同じ病院で働く幸せな二人…と言うわけにはいかず、内海の弟・樹(いつき)が吉永に隠していた想いを告白。
樹は骨腫瘍を患っており、病に怯える樹を、吉永は拒否することができません。二人を見て不安になる内海。ストレスを抱えた内海は胃潰瘍になってしまい、院内で大量吐血してしまいます。

「鏡の迷路」は吉永の試練。
2人の勤める医院に、留学帰りの新しい整形外科医師・春谷(かすや)が赴任してきます。春谷は、たちまち院内で信頼を集め、吉永と正反対のスマートで優しい物腰は患者や看護婦にも気に入られ、吉永の患者が春谷へ流れたり、看護婦には春谷と比べられたりと、吉永の存在は脅かされていきます。
そして、以前吉永が見た患者が再来院し、過去の診察に重大な見落としがあったことがわかります。それはミスというようなものではなかったのですが、噂は「誤診」として院内を巡ります。
居場所を失くし追いつめられていく吉永。内海は何とか吉永に本来の自分を取り戻して欲しいと思うのですが、吉永は酒に逃げ、憔悴していきます。

「夢のある場所」は、3巻で登場した春谷(かすや)の異母妹・恵実(めぐみ)が研修医として佐倉病院にやってきます。吉永の下につくことになりますが、この恵実が実は災いの元。整形外科医志望なのに血を見ると貧血を起こしたり、研修にも集中せず、あげくに吉永にベッタリと張り付き、手作り弁当を押し付けるなど、吉永を苛々させる。
しかも、異母兄とは言え兄妹なのに、春谷と恵実の間は余所余所しく、何か事情がありそう。そして妹が吉永にひっついている間に、内海には兄が接近してきます。兄妹の確執に、巻き込まれる吉永と内海。

物語は一応この4巻で完結という形になっていますが、同人誌では、吉永×内海のお話が続いているようです。
出会って、反発し、お互いを認め、惹かれ合い、医師として職場で一緒に働きながら、絆を強めていく2人が書かれています。
4巻では春谷兄妹にかき回されますが、実は2人の関係は全然ビクともしていません。ノベルズ当時、発売と同じく2人も時を重ねる設定になっていたようで、4巻が出る分だけの月日が流れており、通して読むと、一緒に過ごした年月の間に、2人の仲が揺ぎ無いものになったことが感じられます。

ストレートで直感型で口は悪いけれど実は繊細な気配りの人・吉永と、クールビューティーでシニカルで、その外見とは裏腹に芯も心も強い内海。
大まかに言うと二人のイメージはそんな感じで、考え方や行動の仕方は正反対ですが、いちがいに、強い、弱いとは言えず、当たり前だけど両方の面をそれぞれ持っていて、どちらかが躓いて弱った時には、どちらかが励ましたり叱咤したりと、お互いがお互いを支えあっているのがよくわかります。
1巻では、吉永の方が男らしく前向きで、内海の方が頑なで内向的に思えるんですが、巻を重ねると、吉永の方がヘタレの甘ったれで、内海の方が凛として揺ぎ無いようにも思えたりします。

内海はクールで皮肉屋さんですが、こういう人には珍しく、愛情表現はストレートで言葉を出し惜しみしない、そういうところがカッコいいんですよね。その代わり切る相手にも容赦ない。潔いです。
吉永の方が、傍若無人に見えて意外に周りに気を使うタイプなので、悪役を演じると疲れてしまうのね(笑) 内海は、そういうところ他人の思惑に左右されないところがありますね。
2人とも間違いなく大人なんだけど、弱いところ強いところ、二人の違いがまた面白くて、正反対なのに波長の合ういいカップルだなと思いました。

また、作者が医療関係者ということで、病や治療に関する専門的医療用語、現場の雰囲気など、大変リアルです。「なんちゃって医師」じゃありません。
臨場感ある2人の仕事の様子がきちんと書かれることによって、医師としての2人、仕事をする男としての2人の責任感やプライド、その優秀さやカッコよさが、更に人物の魅力となって感じられます。
でも、ガチガチの硬派なお話ではないし、ハードな雰囲気は全くありません。
春原さんは、描写がソフトで綺麗な比喩を多用するかたで、随所に「甘さ」はたっぷりと感じられます。

仕事はきっちり、恋愛は甘く、と、私などはこのバランスがかなりいいと思いましたし、好みでした。
他の春原さんも読んでみたいと思いました。
これで「とりあえずのエンドマーク」なんですけど、また機会があったら同人誌だけでなく、商業誌として出していただけたらな~と思います。
面白かったです。
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