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竜と仔猫
高尾 理一著 / 櫻井しゅしゅしゅイラスト
心交社
ショコラノベルス(2006.9)


母を亡くし、姉を守りながら健気に生きる芳丘雅人は、顔も知らぬ父が極道だったせいでヤクザが大嫌い。ある日、雅人は姉の働く店でチンピラと揉めている所を黒志会の会長―侠気と獰猛な魅力に溢れた男、志堂嵩瑛に救われる。
だが翌日、志堂に呼び出された雅人は姉が借金で破滅寸前だと知らされ、肩代わりを条件に『志堂が飽きるまで』彼の愛人としてお務めすることになってしまう!
早く捨てられたいと願っていた雅人だが、無垢な身体に教え込まれる濃密な行為と、荒々しい志堂の意外な優しさに心は揺れ始め―。
志堂嵩瑛(しどうたかあき・36歳)×芳丘雅人(よしおかまさと・18歳)

借金を帳消しにする代わりに愛人に…雅人は姉の由佳子が作った2千万にも上る借金のせいで、兵頭組系黒志会会長・志堂の愛人にされてしまいます。
よくあるパターンですね。最近こういうのばっかりに当ってるような気がして、同じ料理を皿とつけあわせを変えて何度も出されている気分です。

愛人になることを承知させられてしまった雅人は、志堂のマンションに連れ帰られた日から、散々に抱かれる日々が続きます。2千万を雅人の身体で返すにはいったいどのくらい?という雅人に志堂の答えは「俺が飽きるまで」。
早く飽きられて捨てられたいと思う雅人ですが、身体が陥落していくのと同時に、知らず知らずのうちに心までが志堂に惹かれていきます。

金で買われた愛人と言う立場であり、18歳という、ヤクザに対抗するには頼りない年齢でありながら、雅人は自立心旺盛で、しっかりした男の子というのが良かったです。
それに引き換え、姉の由佳子というのが…。
駄目な男に貢いで、何度裏切られても男が愁傷な顔で謝ってくれば簡単に赦してしまう。自分だけが男を救えると思っていたり、自分だけは他の女とは違うと思い込んでいる典型的なダメンズウォーカー(渡り歩いてないのでウォーカーとは言わないか)。家にある金や、亡き母が雅人のために積み立てた学資保険まで使い込まれても、男を庇い、そんな男に貢いだあげくの果てに借金を2千万まで溜めてしまうんですね。
大抵の同性は眉を顰めるような女ですが、男はあんまりこういう女の悪口を言いませんね。それはどうでもいいんですけど。

そんな姉の尻拭いのために大嫌いなヤクザの愛人になることなんてないだろうと思うんですが、しっかり者で姉想いの弟が選んだ道は「愛人」。
けれど、雅人は激しく抱かれる日々を送りながらも、自分のことは自分でしようとし、夢である司法書士の道も諦めずに、志堂に勉強したいと頼んだりします。

そして志堂も、最初こそ雅人を裸にしてその場でクルクル回らせて品定めをするなどと屈辱を与えるようなことをしますが、それ以降は、Hは相当激しいながらも優しく雅人を扱い、雅人の欲しいものはなんでも買ってやれと部下には命じ、雅人の希望の専門学校へも二つ返事で通わせようとしてくれます。「借金」は口実で、雅人自身が欲しかったのは見え見えです。本人も最後に白状してますが、雅人が抵抗したり、怒ったり、拗ねたり、そしてやがて懐いてきたりするようになるのを、可愛いとか思いながら喜んでいるのが丸分かり。

志堂と雅人がいつ両想いになるかということより、姉の由佳子がまた何かしでかしやしないかと、そっちの方が心配でした(笑)。全てを打ち明けて謝ってても、信用できないんですもん。
けれど雅人はどんなに姉に嫌悪感を抱かされても、やはり赦してしまうんですね。そういう心の清潔さとか真っ直ぐさがまた雅人の魅力でもあるかもしれません。
ヤクザの愛人になっても、自分の道は失わずにやっていけそうな気がします。それでいて、志堂に何かあったときは、身を挺して守ることもするんでしょう。10年後くらいが楽しみな少年ですよね。志堂はそのとき46か…。

「龍」は志堂の背中の刺青、「仔猫」は言わずと知れた雅人のことですが、雅人は可愛い仔猫でもなく、気位の高い猫でもなく、やんちゃな仔猫という感じかな。志堂に甘えて鼻先を擦り付けたり、抵抗する時は足で蹴ったりするところも猫っぽい。
この手のお話の中では、甘い部類に入ると思います。
読みやすく、なかなか楽しんで読めました。
由佳子には、今後も見張りをつけといた方がいいと思います。
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