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honey
雪代 鞠絵著 / 門地かおりイラスト
心交社
ショコラノベルズ(2006.9)


両親を失い天涯孤独の身となった十四歳の雪村史緒は、エリート外科医で二十七歳の久保貴志に引き取られる。
同居生活三年目のある夏の日、貴志との些細な諍いが原因で、史緒は階段から転倒―目を覚ますと、貴志に関する記憶を一切失い、別人格になっていた。
負けん気が強く生意気だった史緒とは違い、無邪気で素直になったシオは、貴志に幼い恋心を抱く。
ひたむきにセックスを求めるシオを相手にしない貴志だったが、シオを通して史緒の本質に気づき、惹かれ始める…。
久保貴志(くぼたかし・29歳)×雪村史緒(ゆきむらしお・16歳)

「honey」
「雨が優しく終わる場所」の二編。

14歳のとき、天涯孤独となった史緒は、27歳の外科医・貴志に引き取られ一緒に暮らし始めます。家事がまるで駄目な貴志の代わりに、それらを一手にこなし、そうやって生活を始めて三年目。
ゲイである貴志の家には、同僚で先輩の医師・天野(あまの)がしょっちゅうやってきて、史緒の目の前でいちゃついたり、また、血の繋がらない史緒を、貴志が引き取ったその経緯のこともあって、史緒は貴志に対して、いつも生意気な憎まれ口を叩いていました。

そしてある朝、貴志との言い争いで興奮した史緒は階段から転落してしまいます。目覚めると、自分の名前も過去も貴志との関係も、何もかもの記憶を忘れてしまっていました。記憶喪失となったシオ(記憶喪失前と喪失後で、名前の表記が分けられています)は、それまでの生意気さは影を潜め、どことなく幼く無邪気で素直で、全くの別人のよう。
けれど、最初は自分に起きたことに不安のあまり暴れ出しパニックになってしまいます。それを宥めるために、天野がシオに吹き込んだのは「貴志とシオは恋人同士」という嘘。しかし、それを信じたシオは、貴志へとひたむきな恋心をぶつけるようになります。

初めは「子供」とまともに相手にしない貴志でしたが、ふと、生意気だった史緒の本質は、こちらの方ではないかと気づきます。やがて、貴志もシオに惹かれ始める。
そして、病院で検査中のシオがいなくなるという事件が起き、行き先のヒントとなるものを探した貴志は、史緒の部屋で、史緒が書いた貴志についてのメモ、貴志への恋心を綴ったそれを見てしまいます。
そしてシオを見つけた貴志は、その夜、シオを抱くんですね。

他人である貴志が何故、史緒を引き取ったのか。
史緒の父が浮気をし、その相手が実は貴志の母でした。なんと二人は交通事故で一緒に亡くなってしまいます。父の浮気、事故死に心身を壊した母は、入退院を繰り返したあと、風邪による肺炎であっけなく死亡。
母の葬式の日、ひとりきりになった史緒の存在を持て余すような親戚連中を見た貴志は、史緒を引き取ることにするんですね。
貴志には、自分の母のしたことに対する負い目があり、史緒をきちんと学校に通わせ成人するまで面倒を見てやろうという思いがある。そして、ゲイである自分と暮らすことに史緒が警戒心を抱かずに済むように、実は天野が恋人であるという嘘までついています。
記憶を失くした史緒に、天野が「二人は恋人同士」と言ったのは、あまりに重いこのあたりの事情を隠し、他人の二人が一緒に住む不自然でない理由を作るためだったんですが…この天野さん、ものすごく飛んでるキャラでして悪魔なのか、天使なのか(笑) 二人の仲を 面白がって引っ掻き回しているようにも思えるんですが、もしかすると、二人の気持ちを知っていたようにも思えるんですよね。それとも、朴念仁の友人への史緒の恋を成就させてあげたかったのかな。

史緒がずっと貴志に対して生意気な態度をとってきたのにも、複雑な思いがあります。実は、史緒は貴志にひと目ぼれしていました。
なのに、貴志からは、自分はゲイだけれど子供には興味はない、そして天野が恋人と言われて、傷ついてしまう。けれど、そばにいたくて、せめて貴志の役に立って、自分を必要だと言われたくて、史緒は決して得意ではなかった家事を頑張るようになるのです。生意気な態度は、貴志と天野への苛立ちと、自分の思いを隠すため。
貴志が見つけた史緒のメモには、貴志の生活パターン、嗜好、ちょっとした習慣などが全て書き付けられています。記憶喪失になったシオは、強がりの仮面が脱げてしまった史緒なんですよね。
史緒の気持ちがいじらしく、切ないな~と思います。

シオの記憶は、医者の見立てでは一時的なもので、それほど長引かずに回復するだろうと言われます。
けれど記憶が戻れば、記憶を失っていた間に起きたことをシオは忘れてしまう。
貴志と想いが通じ合い、身体をつなぐことができたのに、その優しい時間を失くしてしまうと怖がるシオ。
「ちゃんと覚えていてね?」「ずっと覚えているよ」
そう約束するんですが、抱き合った翌朝、シオは再び階段を落ち、あっけなく記憶は戻ってしまうのです。
そして、貴志との間にあった出来事を全て忘れてしまう。

このあとが「雨が優しく終わる場所」に続きます。
二人の想いは通じ合ったのに、史緒はそれを覚えていません。また記憶を失う前の強がりで生意気な仮面を被った史緒に戻ってしまいます。
けれど、貴志は史緒の本当の気持ちをもう知っています。以前は史緒に無関心とまではいかないものの、放任だった貴志は、史緒の全てを受け入れるように優しく接します。
貴志の変化に戸惑う史緒。
そして、このお話では、史緒はなんと今度は交通事故に遭い、一時的にとはいえ、両手両足が動かせなくなってしまうんです。

ここまでで異常に感想が長引いているので、このあと端折りますが(笑)、ここから先は、ちょっと介護プレイ(そんなのあるんですか)な雰囲気。食べさせてもらい、身体を拭いてもらい、着替えさせてもらい…下の世話まで。
妙なイヤラシさは全くないですが。

29歳と16歳という、かなりの年齢差で、苦手パターンのはずですが、これはあまり気になりませんでした。
大人×子供を問題にしないのではなく、その差もちょっとしたハードルになってるからかな。「子供は相手にしない」という貴志は真っ当だと思うし、それがジリジリと惹かれていくのが何だかいいし、子ども扱いに憤ったり哀しく思ったりする史緒は可愛かったし。

記憶喪失の時と、回復後、それぞれの二人の想いがよく伝わってきて、切なくて、面白かったです。
そして貴志の同僚で先輩の天野ですけど、アクが強いひとですね~(笑) 悪い人のようでいい人のようで、底が知れません。天野編とかあったりする予定なのかな。なきゃおかしいと思うくらい強烈な個性でしたね(笑)。

それにしても、ケーキにはちみつをかけて食べるのはどうなんでしょう…。
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