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夜に溺れるキスをして
妃川 蛍著 / 有馬かつみイラスト
プランタン出版
プラチナ文庫(2006.9)


初恋の垣内に、高3の夏一度だけ抱かれた。痛みさえ甘く、汗の匂いも愛おしかった。
――極道の子で、夜の街で生きてきた比永。あの夏の記憶を抱いた心は、固く閉じたまま…。だが比永絡みの犯罪に垣内の教え子が巻き込まれた。
比永は単身乗り込むが、催淫剤を打たれてしまう。頬に快感を滲ませ悶える様子に、垣内は「クスリのせいにして、溺れちまえばいい」
震える欲望を扱き、熟れた蕾を剛直で穿った。
その熱さに、比永は疚しさを感じつつ蕩かされて…。
垣内守亮(かきうちしゅうすけ)×比永梦月(ひながむつき)
ちゃんとした年齢は設定されていませんでしたが、多分30歳ちょいくらい?
同い年、再会ものです。

高校の入学式で初めて出会い、親友となった二人。三年間同じクラスになり一緒に過ごすうちに、お互いの心に特別な想いが生まれます。
しかし、二人とも「親友」という関係を壊すことができず、それぞれが想いを胸に秘めて、それまでと変わらずに「親友」として過ごしていければそれでいいと思っていました。
ところが、そんな関係さえも壊してしまう出来事が起こります。

実は比永は、ヤクザの息子でした。
「親友」であった垣内にさえそのことは隠していた。
しかし、東英会(とうえいかい)組長だった比永の父が逮捕され、組は一斉捜索を受け、解散を余儀なくされるという事件が起こります。
極道の子供であることで息子たちが特別視されることがないようにと、比永の父は世間には極力素性が知れることのないようにしていましたが、これをきっかけに「比永」の家が極道であることが近所中に知られてしまいます。
そのために、とうそうその土地を離れることになってしまう。
比永は垣内に何も告げないまま姿を消そうとしますが、報道で事件を知った垣内が比永を訪ねてきて…自分に黙って消えようとしていたと憤る垣内に比永は無理矢理抱かれてしまうのです。

それ以来、十年以上会うことのなかった二人が比永の経営するホストクラブで再会します。教師になった垣内が、ホストクラブで働き始めた教え子を連れ戻しにきたのをきっかけに、垣内は毎晩のようにクラブを訪れるようになる。
二人の心には高校生の頃と同じように互いを想う気持ちがあるんですが、大人になって変貌したお互いの姿に、流れた月日に、溝が深く大きくなっているのを感じます。

こういうとき一気に溝を飛び越えて、まず身体の関係に持っていってしまう攻めは多いんですが、このお話はそういうふうにはならないんですよね。
お互いに好きなのに、二人とも過去のことには触れず、想いを告げることもせず、そうかと言って旧交を温めるというわけにもいかず、距離を計るような接し方をする。ぶつけたい想いや聞きたいことはたくさんあるのに、それを上手に取り繕うことができるほどの大人にお互い成長してしまった。大人だからこその不器用さみたいなのが見えて、このジリジリした感じは結構好きでした。でももしかすると、そこが面白くないと思う人もいるかな?盛り上がらないものね(笑)
ですが事が動くには、ちょっとした事件が起こります。ヤクザの息子とは言え、組はとうに解散しており本人もヤクザではないですが、そのへんはヤクザ絡み。
この事件もそうなんですけど、比永のピンチにはあっというまに垣内が助けにくるというパターンが三回繰り返されます。これがホントに助けにくるのが早いのね(笑)。展開としてはもっとハラハラさせる手もアリだと思いますが、「あれ、もうきた」(笑)。で、無駄にハラハラさせるミエミエの手が嫌いな私は、そういうところも好きだった(笑) 

このお話は、いろいろと私の「好き」に合ってたように思います。楽しんで読めました。
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