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セカンドセックス
清白 ミユキ著 / 巴 里挿画
プランタン出版
LAPIS more(2006.9)


以前の恋人が忘れられない明良は、見知らぬ男・三上と寝てしまう。一夜限りと思っていた関係はその後も続き、いつしか三上が以前の恋人よりも気になる男になっていた。
そんなとき、己のことを語らない三上がいずれは大きな財閥を継ぐ男なのだと偶然知ってしまい、男との見えない壁を感じ、距離を取り始める。
三上とホテルに入ることを拒んだ明良は、いつ誰が来るかもわからないホテルの地下駐車場の車中で男に無理やり犯されてしまい―。
三上洸一郎(みかみこういちろう・32歳)×高原明良(たかはらあきら・17歳)
世界に名だたる大企業・三上グループの専務で御曹司の攻めと高校生の受け。

明良には恋人がいました。高校受験を本格的に考え出す時期、家庭教師にきてくれた大学生・阿良川優次(あらかわゆうじ)。海洋生物学者になりたいという夢を持っていた優次は、しかし、子供を庇った交通事故で亡くなってしまいました。
優次が亡くなったあとも彼が忘れられず、思い出の場所、水族館を足繁く訪れていた明良は、そこで三上と名乗る男に声をかけられます。
水族館のにスーツ、とそぐわないその男は、半年ほど前からたびたび見かけるようになっていました。長身で、怜悧で精悍な容貌ながら、不器用な誘いの言葉を口にする大人の男。
なぜか惹きつけられた明良は、誘われるまま、食事のあと、三上と寝てしまいます。

それきりの関係と思っていた明良でしたが、三上は別れ際携帯アドレスと電話番号を無理矢理交換し、それ以来、何度も明良を誘ってくるようになります。
会えば、食事をしてセックス。まるでセフレか援助交際のような関係に抵抗を感じつつも、明良は次第に三上に惹かれていく自分を感じはじめます。

恋人が亡くなったということをどこかでまだ現実として受け入れられず、心が残ったままの明良。
わりとよくある設定ですが、パターンとしては、そのせいで「もう恋愛はしない」と頑なになっている場合が多い中、明良は決してその状態を良しとして心を閉ざしているわけではなく、現実を受け入れ、新しい恋に踏み出せるものなら、そうしたいと願っているところがちょっと違うでしょうか。
優次が亡くなってからも声をかけられることはあったものの、心は動かなかった。しかし三上に出会って、明良の気持ちは動きはじめます。そのあたり明確な理由があるわけではないんですが、あえて言えば「運命」なのか(笑)。でも「我知らず」ということってありますからね。そのへん納得させられてしまうような感じです。
できるなら、三上と恋がしたいと明良は思う。
なのに突然亡くなってしまうという別れ方をした優次との恋に、きちんと折り合いをつけ終わらせることができないんですね。
亡くなった恋人に頑固に操立てをしているわけではないけれど、やはり優次を忘れ自分だけが新しい恋に踏み出すことに躊躇する。
そのうえ、三上の素性を知り、高校生との関係が世間に知られれば、三上にとってどんなスキャンダルになるかを考えると、さらに踏み出せない。

三上には、何か秘密があるだろうというのは読んでいる方にはわりと最初から察せられます。
明良にとっては驚愕のその事実は、しかし二人の障害となるような扱いではなくて、三上の想いの深さを表すエピソードとして使われている。
展開がわかるとは言え、そういうまとめは上手いと思うし、わかりやすいところに落ち着く安心感を感じます。
お話全体の雰囲気は淡々としているようでいて、明良の逡巡する気持ち、三上の想いはちゃんと伝わってきていました。
三上を好きになりながら、優次を忘れられない気持ちも大変よくわかるので、どう決着をつけるのかと思っていましたが、亡くなってしまった命に対して「新しい命」の誕生を新しい一歩として結ぶところもなかなか良かったですね。

非常に薄い本なんですが、良い感じにまとまっていて楽しめました。
清白(すずしろ)さんは、新人さんだそうです。
エロも頑張ってましたね~(笑)
三上との初めてのHで痛い思いをさせられるのは何だか妙にリアルだったし、ラストのHも濃かったです。
次もちょっと楽しみにしたい感じです。

ひとつだけ気になってしまったのは文章のクセですね。
「~れば」という語尾が頻繁に使われており、特にHシーンでは多用されていて、その言い回しがものすごく気になりました。
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