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桜の檻
春原 いずみ著 / 佐々 成美〔画〕
オークラ出版
プリズム文庫(2006.8)


トップネイリストである修輔は、写真集撮影のため、カリスマモデル『OZ』を担当することになった。年齢・本名共に不詳のOZとの出会いは、一気に修輔を高校生の頃の気持ちに引き戻した。なぜなら、OZは初恋の義視にそっくりだからだ。自分の前から姿を消した義視のせいで、修輔は本気の恋ができなくなっていた。
しかし、この出会いで、かつての気持ちがよみがえり―。
秋庭修輔(あきばしゅうすけ・26歳)×西村義視(にしむらよしみ・32歳)

初恋、そして再会ものです。

修輔が高校生の時、家庭教師をしてくれた6歳年上の美貌の青年・義視。修輔は義視と過ごすうちに、義視に恋をします。
しかしバイオリンの名手だった義視は、音楽院への留学のため、桜の降りしきる季節、修輔にキスと別れの言葉を残し、日本を捨ててパリへ行ってしまいます。

初恋に傷ついた修輔は、それ以来ずっと本気の恋を避け続けました。ほぼ10年後、ネイルアーティストとなった今は、精悍で整った容姿で話題を呼び、浮名を流す日々。
そんな時、もたらされた仕事で、修輔は「OZ」と呼ばれるカリスマモデルと出会いますが、「OZ」は、本名、年齢共に不詳なものの、その姿は今でも忘れられない義視そのもの。
「OZ」が義視だと確信する修輔の心は、一瞬にして10年前の初恋の当時に還り、なんとか「OZ」からその消息と本音を聞きたいと思うのですが、「本人」と認めたあとも、義視は核心をはぐらかすばかり。
しかも、現在、義視にはパトロンがいて、籍さえも移され、現在は「御厨(おず)義視」となっていることがわかります。
音楽を目指してパリに渡ったはずが、なぜモデルになっているのか。そのへんが、再会後、義視が修輔を避けなければならない理由になっています。

儚く美しい謎の美青年を一途に恋する年下の攻め・・・というお話。
けっこう切ない・・・はずなんですが、詩的で情緒的な文章が美しい代わりに、ドロドロとした切なさや苦しさは一切取り払ってしまったような印象があります。綺麗なんだけど、淡々とした感じがしました。
静かで優しい雰囲気はなかなかいいと思いますが、「胸にせまる」という感じはなかったですね~。

そして、つっこみどころも結構あるんですよ(笑)。
まるで運命に引き裂かれたような、綺麗な桜吹雪の下での別れのシーンと再会後の二人なんですけど、そもそも義視が日本を離れたのは留学し音楽家として高みを目指すためで、つまりその目標のために、修輔を自分の意思で捨てていったんだと思うんです。あっさり(笑)。けっこう容赦ない理由だと思うんですけど。「別れ」を綺麗に演出しすぎじゃないかなぁ。「別れ」の時が桜吹雪の下で、その瞬間にずっと囚われてしまった・・・という意味がタイトルの「櫻の檻」なんですけど、修輔は確かに囚われていたかもしれませんが、義視は行きたくて行ったので、意外とそうでもないように思えるのですが(笑)。
そして、ラスト、義視のパトロン(つまり愛人)は、どうしてあっさり義視から手を引いたんでしょうか。彼なりの美学なんでしょうが、わかりにくくて、すごい肩透かしでしたね(笑)。

修輔の切ない初恋の成就がメインなので、いろいろ障害がありそうでも、まわりのことはあまり意味がないように思います。「切なくも綺麗な修輔の初恋の想い」にただ身を委ねれば、なかなかしっとりと気持ちいいです(笑)
ネイルアーティストという職業柄、爪に施すいろいろな技術のこともでてきて、毎日砂埃まみれの小学生男子を子に持つ母には無縁の世界ながら、その美しいアートに「へ~ぇ」とちょっと憧れも掻き立てられました。「20代、独身」のお勤めの頃だったら、ついフラっとネイルサロンのドアを叩いてしまったかもしれません。
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