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サウダージ
華藤 えれな著 / 円陣闇丸イラスト
幻冬舎コミックス
リンクスロマンス(2006.8)


ほの暗い照明、物憂げなアルゼンチンタンゴの音色―。
行方不明の兄を捜し、ブエノスアイレスへやってきた朔弥。
わずかな手がかりを頼りに訪れた店で兄を知る男と出会う。レオンと名乗る端整な容貌のその男は、情報と引き換えに朔弥をタンゴに誘う。強引に踊らされ、兄がマフィアに追われていることを知るが、実はレオンこそが兄を狙うマフィアだった。
自分と兄の命をたてに朔弥は服従を強要され、レオンに身を任せるようになるが…。
レオン・カナレス・セラーノ(年齢不詳)×志塚朔弥(しづかさくや・28歳)

マフィアと刑事です。
舞台はアルゼンチン・ブエノスアイレス。
全編を通して、お話のバックにアルゼンチン・タンゴの調べが流れています。
マフィアという裏社会、スラム、麻薬、監禁調教…となかなか暗くハードな素材がいっぱいですが、あまり暗さは感じず(暗いんだけれど)むしろ、「甘い」と私は思いました。“詰めが甘い”とかいう場合の甘いではなくて、甘い雰囲気が流れているという意味です。タンゴと一緒に甘い香りが漂っている。

神奈川県警・薬物取締り課所属の朔弥は、有給休暇を取り、両親の死を報せるために、アルゼンチンに行ったまま行方不明となった兄・幸成(ゆきなり)を探しに行く。兄が働いていたと思われるタンゴ・バーへ行くが兄の姿はもうない。すると一人の男が現れ、幸成の行方を知りたければ自分とタンゴを踊るよう強引に誘われます。店のオーナーだというその男・レオンは、幸成はマフィアを裏切り追われる身だと朔弥に話します。そして命が惜しければ日本に帰れと、官能的なキスを仕掛けてくる。

突然のことに驚いた朔弥は店を飛び出しますが、レオンの忠告を無視し、その足で兄が住むスラムの家へと向かいます。しかし、そこで突然男たちに追われ、逃げ出した朔弥の前に再びレオンが現れる。
助かった・・・と思った朔弥に向けられたのは、レオンの握る銃。
実はレオンこそが幸成を追うマフィア・セラーノファミリーのアンダーボス(ヤクザで言えば若頭)だったのです。

幸成と自分の命を引き換えに、レオンは朔弥に服従を強いてきます。それも「命ある限り」。レオンは朔弥のこれからの人生全てを俺に捧げろと要求してきます。
当面の安全の補償と反撃の機会を探るため、朔弥はそれを受け入れます。

犬のように首輪を嵌められ、鎖で繋がれて一部屋に監禁され、レオンの手で官能に馴らされてゆく。日本には朔弥の「死亡届」が出されてしまい、その報道によっておびき出された兄・幸成までが捕まってしまう。
しかし、朔弥が傍にいる限り、レオンは兄の命の補償をするという。

闇の手にしっかりと捉えられてしまった朔弥と、冷酷で無情なマフィアのアンダーボス・レオンとの、がっつり勝負(?)となるわけです。
薬物にも屈しない強靭な精神をもつ、美しい野獣のような朔弥。その気丈さはレオンを惹きつけていきます。
自分を辱め屈辱を与えたレオンを憎みながらも、彼の孤独を知り、それに触れるたび、情に流されそうになる自分を自覚する朔弥。

「監禁調教」は苦手だけれど朔弥はとても気が強く反発心も強いので、ただ屈辱を与えられているというだけではなかったのが私には受け入れやすかったです。それに、最初にも書いたけれど、あらゆる場面でずっとタンゴが流れていて、どことなく甘いんですよね。そして、Hでも朔弥は闘う姿勢のまんまなので、エロさとか色気があんまりない(笑)。
はじめこそ、レオンは傲慢で冷酷無情な男のように思えますが、彼の生い立ちや、マフィアのアンダーボスであることで一時も気の休まらない緊張感を強いられる人生など、その「孤独」が見え始めると、イメージはどんどん変わっていきました。意外にも「マフィア」にしては、彼は情が厚くて優しすぎるタイプなんですね。
レオンは、最初から、朔弥に惚れてますよね。
話が進むほど、レオンの最初の傲慢な「一生を捧げろ」という言葉は「求愛」に思えてきます。
「サウダージ」とは“望郷”とか“失ったものを恋しく思う”という意味だそうですが、朔弥とレオンの生い立ちや過去を絡め、二人が抱えてきたものをシンクロさせてるのもいい感じでした。

やがて、兄の幸成の件にセラーノ内部の人間が関わっていることがわかってきます。日本のヤクザでいうと、跡目争いの内部抗争というやつですね?
ヤクザと刑事が舞台をブエノスアイレスに移し、マフィアと刑事とタンゴになると、とたんにセクシーさが増しますね(笑)

追いつめられ、肩を撃たれたレオンと朔弥は小さな廃墟にたどり着きます。翌日の朝、そこで決着をつけるというレオン。
そして朔弥に、お前はひとりで日本に帰れとレオンは言う。一生を捧げろという契約は破棄すると。
自分がレオンに惹かれていることをずっと認めなかった朔弥は、分岐点に立たされます。
「愛していないなら、出て行ってくれ」というレオンに、決断する朔弥。

ギリギリでないと「愛してる」と認められない意地っ張りなオトコマエ受け。
「生まれたままのおまえを俺にくれ」という朔弥の言葉がキましたね。
レオンはいつでも緊張を強いられる生活のため、ここまで何度となくあった朔弥とのsexで一度も服を脱いでおらず、黒の皮手袋さえほとんど取らないんですよね。
そういうレオンが初めて全てを脱いで、朔弥を抱く。
攻めが脱ぐことにこんなに萌えたのは初めてかもしれません(笑)

甘いハードボイルドというと矛盾していますが、がちがちに硬い話よりも私にはこのくらい甘くて愛情が見える方が向いてるみたいです。
二人とも表向きは反発してますが、結構ラブラブですよね。
面白く、あっという間に読みました。
私はかなりこの雰囲気好きでした。

タンゴって、もともととってもセクシーな踊りだと思いますが、男同士が腰を密着させ足を絡めて踊るタンゴは、更に淫靡で凄くいいですね。
なんだかんだ言ってもストレートなラテン男のレオンの甘さやセクシーさが素敵でした。黒皮手袋っていいな。年齢不詳というのもレオンの孤独な過去の一部だけれど、もしかして同い年か「年下」ということで、こんなとこにも萌えツボがありました(笑)

そうそう、外国人と日本人のカップルのお話は、主役や舞台を毎回変えてのシリーズになるそうですよ。
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