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夏の残像
義月 粧子著 / 奥田七瀬イラスト
笠倉出版社
クロスノベルス(2006.8)


音楽事務所に勤める櫻澤は、ある企画で元同級生・伊崎と再会する。
学生時代、櫻澤は、憧れていたスポーツマンで男前の伊崎に告白されたが、自分の臆病さから最低のやり方で振ってしまっていた。気まずいまま、スポンサー側の伊崎と仕事を共にすることになるが、巧妙に避けられ、櫻澤との過去が伊崎を深く傷つけていた事を知る。
罪悪感がつのる一方、疎まれても伊崎に再び惹かれてしまう櫻澤だったが…。
伊崎祥久(いざきよしひさ)×櫻澤稜(さくらざわりょう)
年齢は設定されていませんでした。多分20代半ばくらい。

「夏の残像 第一話」
「夏の残像 第二話」の二編。
再会ものです。

中学生の頃に自分がゲイだと自覚していた稜は、「性」に一番興味のあるその中高時代、心よりも身体を目的としたつきあいを数多くしていました。
そんな稜が、身体とは別に憧れていたのが高校の同級生・伊崎。バスケ部のエースで真面目で真っ直ぐな伊崎に稜は惹かれていましたが、ある日、伊崎に突然「好きだ」と告白されます。
もちろん嬉しいと思ったものの、ふと、奔放なSEXばかりを繰り返していた自分が、清廉で潔癖な伊崎には似合わないのでは…との迷いが心に生まれてしまいます。
自分はゲイだからいいが、伊崎がどうだかはわからない。一時の気の迷いかもしれない。
自分のせいで伊崎を汚してしまうのでは・・・と思った稜は、とっさに拒否の言葉を投げつけてしまいます。
それも、まるで伊崎をバカにするような、ひどい言葉を。
それ以来、二人は校内でも避け合い、大学進学を機に顔を合わせることは全くなくなっていたのですが、音楽事務所に勤めた稜の企画の仕事で、広告代理店に勤めていた伊崎と偶然再会します。
衝撃の再会後、イベントを成功させるために一緒に仕事をすることになるんですが、気持ちは「誤解に擦れ違い、ここに極まれり」というほど行き違ってるので、かなり刺々しい状態になります。

高校時代、稜が伊崎の告白を断った理由、わかるんですけど、ちょっと書き込みが足りない感じがしてイマイチその気持ちに共感しづらいせいか、稜の言葉が「ちょっと言い過ぎでは」と思うくらいひどく思えたんですよ。
でも、再会したあとの伊崎の方も、これがまた「そこまで言うか」というくらいヒドイんです(笑)

視点は稜側なので、稜の気持ちは少しずつわかるようになっていきますが、伊崎の方は、そこまで言うのはまだ過去を忘れていなくて、つまりまだ稜に想いがあるのだろうと想像できても、それにしてもキツイ。
無視することはもちろん、イヤミや当てこすりをちくちくどころかズバズバ言うので、読んでて哀しくなりました(笑) 稜も悪い部分はあるんですけど、それでも哀しくて泣けそうだったよ…。
このへんのイヤ~な感じは義月さんらしいです(笑)
受け側に入れ込んで読む方は、かなり腹立つと思います。

先に書いたように稜が伊崎の告白を断ったときの言葉もキツかったので、伊崎が「好き」と「憎らしさ」の狭間で煩悶するのもわかるんですけどね。
二人とも言葉を取り繕わないどころか、イヤミや棘を加味させるので、「ここまで言う人っていないよな、普通」と思うくらい凄い。というか、大人としてあまりにレベルが低い。
酷すぎて、ちょっと爽快かもしれない(笑)・・・というのが義月さんの味か?と思ったりします。

「夏の残像 第二話」は、はっきり言ってバカップルです。
ベタベタなのね。今後は伊崎がたっぷりと甘やかしてくれそうで、今まで言った数々の暴言の罪滅ぼしじゃないけど(笑)安心しましたが。

ここに至るまでの「第一話」は「痴話喧嘩」だったのでしょうね。凄い痴話喧嘩でしたね~(笑)
しかし、これからも喧嘩する際は口に気をつけないと、修復が凄く大変そう。
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