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捨てたもんじゃねぇ
綺月 陣著 / 水名瀬 雅良〔画〕
フロンティアワークス
ダリア文庫(2006.8)


「二週間あれば、本気で誰かに惚れることだって…あるんだ」
元気と明るさだけが取り柄の瀬戸亮は、山道で事故に遭った所を料亭民宿の主・柿野坂皓市に拾われる。
無愛想で口煩い皓市に反発する亮だったが、時折見せる彼の優しさにやがて惹かれていった。しかも、成り行きで店を手伝うことになり、ついには恋心を自覚してしまう。
だが、皓市は相変わらずつれなくて…。
柿野坂皓市(かきのざかこういち・26歳)×瀬戸亮(せとりょう・21歳)

「捨てたもんじゃねぇ」
「捨てたもんじゃねぇ2」の二編。

大学を辞め、家には勘当されて、福岡からバイクで東京を目指す亮。目的は、やはり自分に黙って大学を辞め東京へ行ってしまった隼人(はやと)。亮は隼人が好きだったのです。
しかし、静岡に向かい、そこで一泊して東京を目指すつもりだった亮は、途中で道を間違え、内陸の山奥に迷いこみます。しかも大雨と風に合いほとんど遭難状態。そしてやっと見つけた料亭民宿の前で、強風に煽られ倒れた木を避けたはずみにバイクごと転倒。気を失ってしまいます。
目覚めた亮の目の前にいたのが、料亭民宿・柿野屋(かきのや)の主、皓市。皓市が亮を助けてくれたのでした。

皓市は無愛想の仏頂面で、亮をガキ扱いし、助けてくれたわりには優しさの欠片もありません。しかし料理の腕は一流。、和食の達人。
柿野屋は、皓一の父、母、そして皓市の3人で営む家内操業でした。しかし、仕入れの途中で雪崩に合い、父母は他界。ひとりとなった皓市は民宿は諦め、食事を出すのみで営業していたんですが、立地条件が少々悪く、泊り客のいなくなった柿野屋は閑古鳥の巣窟となりました。

バイクが壊れ、財布もなくしてしまった亮は成り行きで柿野屋を手伝うことになり、二人で柿野屋を盛りたてていきます。
中退とはいえ外語大学にいた亮が、1キロ先の駅前まで行き、外人の観光客を店に案内すると、美味しい料理に喜んだ客が携帯サイトに情報や写真を載せて紹介してくれたおかげで、客が集まり始めます。亮も店の手伝いをする傍ら、ビラを作って配ったり。
もともと温泉郷で観光客は多く、民宿は無理でも足湯や日帰り温泉としてのサービスも始めると、皓市の素晴らしい美味しい料理が評判を呼び、また皓市、亮、二人のイケメンも話題にもなって、店は順調に繁盛していきます。

好きな男を追って大学を簡単に辞めてしまい、家を飛び出して東京に行こうなんざ、亮は今時の若者で、そして大方の若者よりもさらに無責任でいい加減です。明るくて元気で物怖じしないところはいいんですが、何の目的もないフラフラしている若者でもあるわけです。
しかし16歳から料理の世界に飛び込んだ皓市は、そんな若者とは対極にいます。無愛想で寡黙で仏頂面は怖いくらいですが、短髪に作務衣をきりりと着て、料理に注ぐ情熱、責任感、愛情は揺ぎ無いもので、まさにこれこそ「日本男児」と見本にして出したいような武士みたいな男です。

無口で黙々と厨房で料理を作る皓市と、元気で愛想のいい接客で動き周る亮。この柿野屋の雰囲気が凄くいいんですよ。皓市の作る料理も美味しそうだし、何よりキビキビ一生懸命朝早くから夜遅くまで働く二人がいい。仕事に対する皓市の姿はとてもカッコ良くて、皓市に惹かれていく亮の気持ちがよくわかります。
皓市を好きになるにつれて、亮が自分自身を振り返り、ちゃらんぽらんだった意識を変えていくというのもいい。
親を亡くし、本当は村を出て働きに行こうとしていた皓市にも、亮の明るさはすごく救いだというのがわかるし、亮がいなければ、皓市がいなければ、絶対にできない「柿野屋」という感じがするんです。

でも、往々にして、こういう寡黙な日本男児は恋愛には不得手です(笑)。
亮は皓市のそばでずっと柿野屋を二人でやっていこうと思い始めているのに、バイクの修理代はもう溜まっただろう、と勝手に亮を送り出す段取りまでつけてしまいます。本音は引き止めたくたって、日本男児はそんなこと言いませんや(笑)。

「捨てたもんじゃねぇ2」でもやはり、寡黙な皓市が亮をやきもきさせます。
仕事一筋の皓市は、一日の仕事が終わったあとも、厨房で仕込みや研究に余念がありません。恋人同士となった今も、新メニューのイワナの燻製にかかりきりで、夜中過ぎまで鍋をかき回しており、必然的に夜の営みはお預けとなり、1ヶ月。
悶々とする亮の不満が溜まった頃、なんと、東京に行く当初の目的だった隼人が柿野屋を訪ねてきてしまうのです。隼人より今は皓市が好きになってしまった亮は焦りまくります。亮が隼人を好きで追いかけていたことは、出逢ったころに皓市にも話してあるからです。
誤解されたくない亮は、何とか皓市と話をしようとしますが、皓市はいつもの無表情で隼人に挨拶をし、亮を隼人との観光に送り出し、「泊めてほしい」という隼人も受け入れてしまう。
ほったらかされ続けたあげく、嫉妬さえしてくれない皓市に、亮の不満は爆発します。
しかしね~、たとえ嫉妬してたって、頑固な日本男児は眉一筋動かしませんや(笑)。

痛くない、怖くない綺月さんばかり選んで読んでますが、これも面白かったです。
築150年の古い日本家屋で、1キロ内に民家もない閉鎖的な場所で、コツコツ一生懸命働きながらも楽しそうで幸せそうな二人が凄くいいです。
板前の、無口だけれど男前の旦那と、綺麗で元気で愛嬌ある女房の営む料亭民宿。行ってみたくなります。でも泊りはできません。人手も足りないし、防音設備のない築150年の家では、夜になると喘ぎ声が響き渡り、地震のように揺れまくるので安眠できませんから。いや、私も含めて、ここに来て下さる方々にとっては、そんなの「望むところ」ですがね(笑) しかし皓市がものすごく嫌がると思います(笑)
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