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堕天使の背骨
鳩村 衣杏著 / ひたきイラスト
ムービック
ゲンキノベルズ(2006.7)


「どこにもやらない。もう二度と―」
司書として働く淑仁のもとに突然現われたのは、出版社社長となった義弟の晶。
養父から虐待を受け晶の家に引き取られた淑仁は、17の夏、晶と関係を持つが、彼の将来を思い姿を消していた。再会するなり強引に淑仁を連れ帰った晶は、何も言わずに消えた淑仁への愛憎から、淑仁を無理矢理抱く。
冷めやらぬ積年の想いを抱いて再び出逢った二人。
罪に濡れた羽は穢れ、堕ちてゆくだけだとしても、共に生きてゆけるなら―。
許されない想いの果ては―?
今給黎晶(いまきいれあきら・31歳)×椎名淑仁(しいなよしひと・34歳)

幼い頃、自分を産んでくれた母は愛人と失踪、その時養父だった男に虐待を受けていた淑仁は、階段から突き落とされ背中に怪我を負ってしまいます。
養父は逮捕され、淑仁はそれ以来施設で暮らしますが、8歳の時、今給黎家に引き取られます。
今給黎昌直(いまきいれまさなお)は出版社の社長。妻は優しく、家は裕福で、今給黎家には5歳の一人息子・晶がいました。

虐待を受けているうちに、自分の心を閉ざしてしまった淑仁。
ですが、引き取られたその日、晶と一緒にお風呂に入り、
淑仁の背中の傷を見た幼い晶が泣き叫び、驚いて風呂に駆けつけた両親に「見ちゃ駄目!」と泣きながら立ちはだかって守ろうとしてくれたことに、淑仁の心は溶けていきます。ずっと我慢していた淑仁は晶に呼応するように大声で泣き、晶が自分の痛みを理解してくれ、泣いてくれて、自分を守ってくれたように、自分も晶を何があっても、命に替えても守ろうと決心します。

それ以来、本当の兄弟のように成長してきた二人。
しかし、長ずるにつれて淑仁の心の中には弟に対するものとは違う「恋情」が芽生え始めます。
そして晶からも同じ想いを告げられ、拒んだものの、結局は晶を受け入れてしまいます。
いけないことだと思いながらも幸せを感じていた淑仁。

しかし、その出来事は別荘の管理人によって父の耳に届き、淑仁は呼び出され真偽を問い正されたのち、恐ろしい事実を聞かされます。
晶と淑仁は、母親違いの、血の繋がった実の兄弟だと。

なんとまあ、苦手な「兄弟もの」なんですよね(笑)
この作品は「彼の背に甘い爪痕を残し」の番外編です。
前作で、ちょっと冷たく傲慢な、イヤミな感じの出版社社長をしていた今給黎晶のお話。
前作が好きだったので、「兄弟」と知りつつ、えいやっと買ってみました。

「兄弟」だということを知るが故に、どんなに晶を愛していても冷たく拒否するしかない淑仁。そんな淑仁に晶は愛憎と蔑みで冷たく接してきます。
二人の間の擦れ違いの一番大きいネックは「兄弟」であるということ。
晶は真実を知りません。
父はすでに亡くなっているので、誰に咎められるわけではないんですが、やはり幼い頃に「守ろう」と誓った晶を、罪の関係に引き摺り落し汚すことがどうしてもできずに淑仁は揺れ動きます。

そのへんの淑仁の気持ちに、「兄弟」が駄目な私はやはりどうしても“萌え”や“共感”を感じることができなかったんですが、淑仁の背中の傷に象徴される堕天使のイメージが、実はと~っても好きでした。
そして最後まで読んだら、プロローグで語られる、幼い頃の二人の出会いと、ラスト近く、晶がつぶやく「誰かが羽を抜いたから、うちに来てくれた」という結びつきにジーンとしちゃって(笑)。
そして晶の背にも傷が出来て…兄弟という禁忌と、堕天使という言葉の意味と、ひたきさんの素敵な表紙がすべて繋がって、「いや~兄弟って萌えだな」と思ってしまいましたよ(笑) 
伏線の背中の傷と「天使」というモチーフの使い方が綺麗だと思いました。

お話はこれだけでも読めますが、前作と時間的に被っていて、前作のラストの山場がこちらにも持ってこられています。両方読むと、「そんなとこに淑仁がいたのか」とちょっと楽しいです(笑)。
チラッと前作の二人も出てますし、あのイヤミな社長がこんな風に考えていたのか、こんなに切ない恋をしてたのか…と思って見るのも、なかなかよろしいかと。
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